王懿

王懿の生涯と功績

王懿（おう い、367年頃 - 438年）は、前秦から南朝宋にかけて活動した歴史的な軍人です。名は司馬懿と同じであったため、史書では字の仲徳として知られています。彼の出身は太原郡祁県です。

経歴

王懿は後漢の司徒王允の弟、王懋の子孫として生まれました。17歳の時、彼は混乱の中にあった前秦において、兄の王叡と共に挙兵しましたが、慕容垂との戦いに敗れてしまいます。彼は黄河を渡り、翟遼のもとに留まることになりました。その後、東晋に帰順し、彭城に移りますが、同族の王愉から冷遇を受け、桓玄の下に仕官することになります。

王懿の兄、王叡は桓玄打倒のために反乱を計画しましたが、王懿は兄にその危険を指摘します。しかし、計画は漏れ、王叡は桓玄に殺され、王懿は逃亡を余儀なくされました。その後、劉裕らが建康を制圧すると、王懿は中兵参軍に任命されました。

戦闘での活躍

義熙5年、王懿は南燕を討つべく出陣し、数多の戦闘で連勝を収めます。義熙6年、盧循の大軍が建康に迫った際、彼は「匹夫の号令を恐れるものではない」と言い、勇敢に戦地に向かいました。この戦闘において彼は盧循の仲間である范崇民を撃破し、その功績により新淦県侯に封じられました。

その後、義熙12年に劉裕が北伐を行った際、王懿はその重要な役割を担い、統率の下で長安を制圧します。劉裕が洛陽への遷都を考える中、王懿は慎重な意見を述べ、その意見は尊重されました。彼は永初2年に冀州刺史に任命され、その後徐州刺史に転任します。

元嘉2年、安北将軍の号を受け、元嘉7年には北伐に参加し北魏の軍を撃退。その功績もあり、王懿は順調に昇進を続けますが、元嘉9年には一時期免官されることがありました。また、元嘉10年からは徐州刺史を兼任し、元嘉13年には鎮北大将軍に昇進しました。

最后の日々

王懿は438年、元嘉15年の5月に亡くなります。死後、彼には桓侯という諡号が贈られました。彼の子、王正修が彼の後を継ぎましたが、悲劇的なことに家僮によって殺害されるという事件が起きました。

人物像と逸話

王懿は若い頃から陰陽の知識に通じており、学問にも秀でていました。彼にまつわる逸話は多く、特に慕容垂との戦いで重傷を負った際、食事を与えた青衣の童子や白狼に導かれたエピソードは有名です。

また、彼が北伐を行った際、戦勝に沸く中でも、敵軍の反攻を恐れて憂える姿勢は、彼が戦争に対していかに真摯であったかを物語っています。王懿は彭城に仏寺を建立し、白狼と童子の像を建てて、彼の出会った者たちを忘れないようにしました。

王懿の生涯は、英雄的な戦闘での活躍や数々の逸話、家族との関係、そして彼の洞察力と人柄の深さを示しています。

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