磯部町恵利原

三重県志摩市磯部町恵利原

三重県志摩市に位置する磯部町恵利原は、豊かな自然と歴史が息づく地域です。かつては磯部九郷最大の集落として栄え、現在でもその名残を各所に見ることができます。

地理

恵利原は志摩市の北西部に位置し、北と西は伊勢市と接しています。地質学的には仏像構造線が通り、石灰岩の露頭も点在します。三方を山に囲まれ、南東部に平地が広がっています。集落は、川辺と呼ばれる地区と和合山麓の2か所に分かれています。

主な地形

山：和合山、恵利原浅間山（295m）、島路山
峠：逢坂峠
川：磯部川（神路川）
湖沼：神路湖（神路ダムによるダム湖）

隣接地域

北：伊勢市宇治館町
東：志摩市磯部町五知、磯部町沓掛、磯部町上之郷、磯部町下之郷
南：志摩市磯部町迫間、磯部町築地
西：伊勢市宇治今在家町

川辺

川辺は、磯部町恵利原の一部に位置する地域で、磯部町の中心街を形成しています。明治時代から開拓が進められ、鉄道駅、銀行、商店、官公署などが集まっています。住所上は独立した大字として認められていませんが、自治会が組織され、行政上も1つの地区として扱われることがあります。

歴史

近世まで

恵利原は、古代から人々が生活を営んでいた場所です。佐美長神社や磯部神社の境内からは、土師器、須恵器、縄文土器、弥生土器などが発見されています。また、三重県立志摩高等学校のグラウンド拡張工事の際には、完全形の土器が見つかりました。

鎌倉時代には「江利原」や「依梨原」と表記されていましたが、安土桃山時代には現在の「恵利原」の表記が登場しました。江戸時代には恵利原村として鳥羽藩の支配下にあり、初期の村高は765石でした。恵利原村から伊勢国宇治へ至る道は逢坂越えと呼ばれ、難所でしたが、4つの茶屋が立ち並び、多くの旅人で賑わいました。

近代以降

明治時代以降、3度の大合併を経て、現在まで大字として存続しています。1912年には、宮地沖と呼ばれる水田地帯で磯部川の改修が行われました。第二次世界大戦頃までは磯部町で最も人口の多い地域でしたが、戦後は町の中心街が南下した影響で、他の地域に追い抜かれました。1948年には三重県立志摩高等学校磯部校舎と磯部中学校が開校しました。1965年には伊勢有料道路が開通し、1968年には志摩水道が完成しました。

1994年には、世界祝祭博覧会を機に、伝統の恵利原早餅つき保存会が結成されました。

沿革

1889年：町村制施行に伴い、答志郡磯部村大字恵利原となる。
1896年：答志郡が英虞郡と合併し、志摩郡磯部村大字恵利原となる。
1955年：磯部村が神原村東部、的矢村と合併し、志摩郡磯部町恵利原となる。
2004年：磯部町が志摩郡4町と合併し、志摩市磯部町恵利原となる。

地名の由来

「えり」という漁具で川魚を獲っていたことに由来する説
矢を納める道具である「箙」にちなむ説
衣服の原料を織り成す所という意味の「衣輪原」「衿原」に由来する説

世帯数と人口

2019年7月31日現在の世帯数と人口は以下の通りです。

世帯数: データなし
人口: データなし

学区

恵利原の学区は以下の通りです。

小学校：志摩市立磯部小学校
中学校：志摩市立磯部中学校

恵利原早餅つき

恵利原早餅つきは、恵利原に伝わる独特の餅つきです。通常の餅つきの3倍の速さで餅をつき、1tもの餅米を2日間でつき上げます。天保年間に伊雑宮御田植祭で餅を振る舞う際に、数をこなすために高速でつくようになったとされています。2人で1本の杵を持ち、囃子唄に合わせて餅をつきます。

観光

天の岩戸（恵利原の水穴）

名水百選に選ばれた湧水地です。岩戸伝説の舞台の一つとされ、付近にはオオシマザクラの古木があります。桜の季節には「桜祭」が開催され、賑わいます。

おうむ岩（おうむ石）

和合山にある巨大な一枚岩です。岩の反響を楽しむことができ、展望台からは田園風景を一望できます。

交通

鉄道

恵利原地区内には鉄道は通っていません。最寄りの駅は近鉄志摩線上之郷駅または志摩磯部駅です。

バス

三重交通バスが運行しており、主なバス停は「川辺」と「恵利原」です。また、磯部地域予約運行型バスハッスル号も利用できます。

道路

国道167号：地区南部を通り、鳥羽市や阿児町鵜方へ通じます。
三重県道32号伊勢磯部線：通称「伊勢道路」で、志摩市と伊勢市を結びます。
三重県道61号磯部大王線：恵利原を起点に、的矢湾岸、太平洋岸を通って大王町波切に至ります。

道路施設

アメニティ道路磯部ステーション：伊勢道路の休憩施設です。

施設

史跡

佐美長神社：伊勢神宮の別宮である伊雑宮が所管する神社です。
磯部神社：旧磯部村の神社を合祀した神社です。
巌峯山池渓寺：曹洞宗の寺院です。

出身者

谷崎重幸：ラグビー監督。

その他

磯部の御神田（伊雑宮御田植祭）の奉仕区の1つです。

日本郵便

郵便番号は517-0209で、集配局は磯部郵便局です。

脚注

注釈

（注釈なし）

WEB

（記載なし）

出典

（記載なし）

参考文献

磯部郷土史刊行会 編『磯部郷土史』磯部郷土史刊行会、昭和38年5月10日。
磯部町史編纂委員会 編『磯部町史 下巻』磯部町、平成9年9月1日。
織田武雄・林屋辰三郎 責任編集『講談社版 新訂 日本の文化地理 第11巻 奈良・和歌山・三重』講談社、1974年7月20日。
「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典 24 三重県』角川書店、1983年6月8日。
近畿日本ツーリスト 編『『'05-'06 伊勢 鳥羽 志摩 松阪』ツーリスト情報版255』近畿日本ツーリスト出版センター、2005年3月31日。
平凡社地方資料センター 編『「三重県の地名」日本歴史地名大系24』平凡社、1983年5月20日。

外部リンク

* 恵利原早餅つき保存会

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