穴部

穴部（けつぶ）について

穴部とは、漢字を部首に基づいて分類したグループの一つであり、特に「穴」という字が関連する漢字を含んでいます。康熙字典においては214部首の中で116番目、また5画の部首としても22番目に位置しています。

概要

「穴」という漢字は、基本的に洞穴やその空間を意味します。人間が中に入ることができる空間を指し、洞穴に住むことを「穴居」と呼びます。さらにこの概念は、洞穴を利用した住居や動物の巣穴、墓穴、物に開けられた穴などにも広がります。また、「穴」には動詞としての意味もあり、実際に穴を穿つ行為を表すこともあります。

古典文献『説文解字』では、この「穴」という字を「土室」として解釈し、「家」を表す「宀」部首と声々符の「八」との組み合わせで構成されている形声文字であると説明しています。しかし、甲骨文を考察すると、洞穴や土室を象形的に表したものであるとも解釈できます。穴部はこのように、空間や洞穴に関する意味を持つ漢字をまとめたものです。

字体差

漢字の「穴」については、地域によって字体に差異が見られます。特に1画目に関しては、印刷書体である明朝体において短い縦棒として書かれることが一般的で、日本や韓国はこの形に従っていますが、中国の新字形や台湾の国字標準字体、香港の常用字字形表では点画になっています。また、冠部分にある「八」の形も、地域によって違いがあります。日本や韓国では右側の払いが「儿」形に変わりますが、台湾や香港ではそのままの形が用いられ、中国の新字形では長い点画として表現されます。

部首の通称

この部首には使用する言語により様々な通称があります。日本では「穴」や「あなかんむり」と呼ばれ、中国では「穴寶蓋」や「穴字頭」、韓国では「구멍혈」（gumeong hyeol）と称されています。英語圏では「Radical cave」という名称で呼ばれることが一般的です。

部首字

穴部の部首字は「穴」です。

中古音と現代音

「穴」の発音については、時代によって異なります。中古音では「広韻」では胡決切および屑韻、入声に位置し、詩韻でも同様の音韻に属しています。また、現代音では普通話のピンインが「xué」で注音は「ㄒㄩㄝˊ」、ウェード式は「hsüeh2」です。広東語ではJyutpingが「jyut6」となり、イェール式では「yut6」となります。日本語では、漢音で「ケツ」（クヱツ）、呉音で「ケチ」（クヱチ）、訓読みで「あな」となります。そして、朝鮮語では「혈」(hyeol)という音であり、訓読みは「구멍」（gumeong）となっています。

例字

穴部に含まれる漢字には、穴、究、穹、空、穽、突、窄、穿、窈、窓、窒、窟、窪、窮、窯、窺、竄、竇、竈、竊などが挙げられます。これらはすべて空間や穴に関連する概念を持っています。

穴部は、漢字の中で空間や洞穴に密接に関連する漢字を集約した重要な部首であり、漢字の発音や字体の多様性が見られる興味深い分野でもあります。

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