続・社長三代記

映画『続・社長三代記』（ぞく・しゃちょうさんだいき）は、東宝が製作・配給を手がけた人気コメディシリーズ『社長シリーズ』の第5作として、1958年3月18日に公開されました。

本作品はモノクロ、東宝スコープ方式で製作されており、当時の日本の映画館で上映されたワイドスクリーンの雰囲気を伝えています。

概要

シリーズ全作品を通じて見ても、『続・社長三代記』は非常にユニークな位置を占める作品です。その最大の特異性は、レギュラー出演者としてお馴染みの名優、加東大介が、この作品で初めて、そして唯一、会社のトップである社長という主役の座を演じた点にあります。

スタッフ

本作の製作には、清水雅が名を連ね、森岩雄が企画を担当しました。脚本は、シリーズの多くの作品で筆を執った笠原良三が担当し、サラリーマンの日常と人間模様を巧みに描き出しています。音楽は宅孝二が手掛け、作品のムードを盛り上げています。撮影は小原譲治、美術は村木与四郎、録音は西川善男、照明は西川鶴三、編集は大井幸三がそれぞれ担当しました。チーフ助監督は鈴木勝弥が務め、全体を統括するプロデューサーは藤本真澄が担当。そして、本作の監督は松林宗恵が務めました。これらの手堅いスタッフワークが、作品の骨子をしっかりと支えています。

キャスト

出演者には、シリーズを彩る豪華な俳優陣が集結しました。

二代目社長である浅川啓太郎を演じるのは、言わずと知れたシリーズの顔、森繁久彌です。
その妻、浅川厚子役には久慈あさみが配されました。
社長秘書として、シリーズに欠かせない存在感を放つ長谷川清役には小林桂樹が扮しています。
先代社長の妻であり、会社の会長を務める福原ヨネ役には三好栄子。
福原家の末娘、トメ子役には若々しい魅力の雪村いづみ。
そして、本作の中心人物である三代目社長、大場太平を加東大介が演じます。
大場太平の妻、まつ子役には杉葉子。
大場家の長女春枝役に団令子、長男一平役に大沢幸浩、次男三平役に市川かつじがそれぞれ配されました。
長谷川清の母、ちよ役にはベテランの英百合子。
秘書課長の中村明子役には清楚な司葉子。
新入社員の松村俊夫役には太刀川洋一。
経理部長の池田定吉を三木のり平が個性豊かに演じます。
姉妹会社の専務、奥村役には有島一郎。
バーのマダム、お園には艶やかな淡路恵子。
年増芸者〆駒に藤間紫、新橋の芸者梅千代に扇千景、英語の半玉うさぎに笹るみ子といった面々が花を添えます。
大場家の女中松下ヤエ子役には若水ヤエ子。
* その他にも、女探偵役の白石奈緒美、一杯飲み屋の女将役の三田照子、社長専用車の運転手役の加藤春哉、そして徳川夢声といった多彩なキャストが顔を揃え、物語を賑わせています。

同時上映

本作は、公開時に『おトラさんのホームラン』と同時上映されました。この作品は、西川辰美を原案、有崎勉（柳家金語楼）を原作とし、小田基義が監督、そして柳家金語楼が主演を務めたコメディで、『おトラさん』シリーズの第2作にあたります。

まとめ

『続・社長三代記』は、お馴染みの『社長シリーズ』レギュラー陣に加え、これまで様々な役でシリーズを支えてきた加東大介が社長という主役に抜擢されたという点で、ファンにとっては非常に記憶に残る一作と言えるでしょう。当時の日本の社会や会社組織を背景に、登場人物たちの人間的な魅力とユーモアが織り交ぜられた、温かみのあるサラリーマン喜劇として、今なお多くの人々に親しまれています。

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