肥前有馬氏

肥前有馬氏とは

肥前有馬氏は、鎌倉時代に肥前国高来郡有馬庄を拠点とした武家であり、華族でもあった日本の氏族です。戦国時代には、キリシタン大名として名高い有馬晴信を輩出しました。江戸時代には越前国丸岡藩の藩主家として存続し、明治維新後には華族の子爵家となりました。一族の通字は「純」または「澄」であり、いずれも「すみ」または「ずみ」と読みます。

歴史

鎌倉時代から室町時代

肥前有馬氏の家伝によれば、伊予の藤原純友の子孫とされていますが、実際には肥前国藤津荘の荘司である平清澄・直澄の子孫であると考えられています。建保年間中に、経澄が肥前国高来郡有馬庄の地頭職を与えられたことをきっかけに、有馬氏を名乗るようになりました。

鎌倉時代には高来郡南部を中心に勢力を拡大し、南北朝時代には菊池氏や少弐氏に従いました。室町時代の明応年間には、「肥前守貴純」の名が確認されています。

戦国時代から安土桃山時代

戦国時代には、当主である賢純の代に肥前6郡を支配下に置き、将軍足利義晴から一字を賜り「晴純」と改名しました。その孫にあたる有馬晴信は、キリシタン大名として非常に有名です。洗礼名はプロタジオ、後にジョアンと名乗りました。1582年には、大友宗麟や大村純忠とともに天正遣欧使節を派遣しました。

晴信は、竜造寺氏の南進に対抗するために島津氏と同盟を結びましたが、1586年に豊臣秀吉の九州征伐に際して秀吉に恭順し、本領である高来郡4万石を安堵され、日野江城を居城としました。朝鮮出兵では、小西行長軍に属して参戦しました。

江戸時代

有馬晴信は、関ヶ原の戦いで東軍に味方し、徳川家康から本領を安堵されましたが、1612年の岡本大八事件に関与したとして、江戸幕府によって甲斐国に流罪となり、処刑されました。

しかし、晴信の息子である直純は、父の遺領である4万石を与えられ、有馬氏は存続しました。1619年には、日向国延岡藩5万3000石に加増転封されました。その後、1691年には農民逃散の責任を問われ、3000石を減封された上で、越後国糸魚川藩5万石に転封。さらに1695年には、越前国丸岡藩主に転封となり、以降、廃藩置県まで同地を治めました。

2代丸岡藩主である一準の代に、外様大名から譜代大名となり、5代藩主の誉純は若年寄、最後の8代藩主である道純は老中を務めるなど、幕府の要職を歴任しました。

明治以降

最後の丸岡藩主であった有馬道純は、1869年の版籍奉還によって丸岡藩知事に任命され、華族に列しました。1871年の廃藩置県まで藩知事を務めました。

1884年7月7日に華族令が施行され、華族が五爵制になったことに伴い、翌8日には道純は旧小藩知事として子爵に叙せられました。

2代子爵の純文は宮内省の官僚として、東宮侍従や東久邇宮付家令、宮内事務官、帝室林野局技師などを歴任し、彫刻家としても才能を発揮し、多摩陵璽を刻みました。

3代子爵の純尚の時代には、有馬子爵家の邸宅は東京市淀橋区下落合にありました。

家紋

有馬氏の家紋は、大村氏と同じ「五瓜に剣唐花」（有馬瓜・大村瓜）を使用しましたが、本来の図案は「五瓜」でした。『寛政重修諸家譜』には、他に「有馬唐花（剣唐花）」と「丸に六つ唐花」が記載されています。

歴代当主

有馬経澄
有馬朝澄
有馬家澄
有馬連澄
有馬貞澄
有馬澄世
有馬満澄
有馬氏澄
有馬貴純
有馬尚鑑
有馬晴純
有馬義貞
有馬義純
有馬晴信
有馬直純
有馬康純
有馬清純
有馬一準
有馬孝純
有馬允純
有馬誉純
有馬徳純
有馬温純
有馬道純
有馬純文
有馬純尚
有馬匡澄（2011年より）

系図

（系図については、詳細な情報がないため割愛します。）

脚注

注釈

(注釈については、情報が提供されていないため割愛します。)

出典

(出典については、情報が提供されていないため割愛します。)

参考文献

浅見雅男『華族誕生 名誉と体面の明治』リブロポート、1994年。
新田完三『内閣文庫蔵諸侯年表』東京堂出版、1984年。
小田部雄次『華族 近代日本貴族の虚像と実像』中央公論新社〈中公新書1836〉、2006年。ISBN 978-4121018366。
華族大鑑刊行会『華族大鑑』日本図書センター〈日本人物誌叢書7〉、1990年。ISBN 978-4820540342。

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