蘇 (姓)

蘇（そ）について

蘇（そ）は、中国をルーツとする漢姓の一つであり、同時に朝鮮半島にも存在する姓です。この姓は、長い歴史の中で多くの人々に受け継がれてきました。

中華圏における蘇姓

中国において、蘇姓は比較的多く見られる姓です。2020年の国勢調査によると、中国本土では約654万人が蘇姓を名乗っており、これは全国で44番目に多い数字です。一方、台湾では2018年の統計で23番目に多く、約26万6千人がこの姓を持っています。

起源と変遷

蘇姓は、古代中国において主に河南省や河北省で発祥しました。戦国時代には、一部の氏族が南の湖南省や湖北省、西の陝西省に移住しました。秦漢時代には、東の山東省にも広がり、陝西省西部では有力な氏族として発展しました。その後、晋代には東南部の江蘇省、浙江省、安徽省、そして南部の広東省にも広がりました。

唐代になると、蘇姓を持つ人々は大量に南下し、四川省や福建省にまで移住しました。特に福建省では穏やかな発展を遂げました。北宋時代にはさらに西進し、四川省や雲南省に到達、また南下して広東省や広西チワン族自治区に進出し、さらに国境を越えてベトナム、ラオス、タイ王国にも分布しました。

明清時代には、多くの人々が台湾に移住し、現在では台湾における大姓の一つとなっています。

漢民族以外の蘇姓

蘇姓は、漢民族だけでなく、北方民族の間でも見られます。魏晋南北朝時代以降、北方民族が中原に進出する中で、改姓した人々がいます。具体的には、以下の例が挙げられます。

漢晋時代の遼東烏桓
北魏時代の鮮卑族抜略氏
西夏の党項族
金代の女真族
元末の蒙古義王和尚の一族
清代の満洲八旗の伊拉哩氏、蘇佳氏、蘇都哩氏、蘇爾佳氏など

著名な人物

蘇姓を持つ著名な人物は、歴史上の人物から現代の著名人まで、多岐にわたります。

中国

蘇秦: 戦国時代の縦横家。
蘇則: 三国時代の魏の東平相。
蘇飛: 後漢の人物。
蘇峻: 東晋の武将で、蘇峻の乱を起こしました。
蘇威: 隋の政治家。
蘇定方: 唐の軍人。
蘇世長: 唐の秦王府十八学士の一人。
蘇勗: 唐の秦王府十八学士の一人で、蘇威の孫。
蘇味道: 唐の詩人・宰相。
蘇洵: 北宋の文人で、唐宋八大家の一人。
蘇軾: 北宋の政治家、詩人、書家で、唐宋八大家の一人。蘇洵の長男で、東坡（とうば）の号で知られます。
蘇轍: 北宋の官僚・文人で、唐宋八大家の一人。蘇洵の次男。
蘇舜欽: 北宋の詩人。蘇舜元の弟。
蘇宣: 明代の篆刻家。
蘇炳文: 国民革命軍中将、黒竜江省省長、革命烈士。
蘇炳添: 中国の陸上競技選手（短距離走）。100メートル走でアジア記録の9.83秒を保持。
蘇欣悦: 中国の女子陸上競技選手（円盤投）

台湾

蘇貞昌: 中華民国の政治家。行政院長。
蘇嘉全: 中華民国の政治家。民主進歩党秘書長。
蘇慧倫: 台湾の歌手。
アレック・スー（蘇有朋）: 台湾の歌手。
蘇緯達: 台湾の野球選手。
蘇智傑: 台湾の野球選手（外野手）。

香港

蘇慧音: 香港の卓球選手

郡望と堂号

蘇姓の主な郡望としては、武功郡、扶風郡、藍田県、河内郡、河南郡などが挙げられます。堂号としては、武功、武陵、扶風、藍田、老泉、朝鮮などが知られています。

朝鮮における蘇姓

朝鮮半島にも蘇姓が存在し、「ソ」と発音されます。朝鮮における蘇姓は、主に晋州蘇氏がその大宗をなしています。

著名な人物

蘇世良: 李氏朝鮮の文臣。
蘇世譲: 李氏朝鮮の文臣。
蘇宣奎: 韓国の国会議員。
蘇秉勲: 韓国の国会議員。
蘇秉哲: 韓国の国会議員。
ソ・ジソプ: 韓国の俳優。
ソ・ユジン: 韓国の女優。
ソ・ミョン: 韓国の歌手。
* ソゴン: 日本のボーイズグループNEXZのメンバー。日系韓国人で、本名は蘇建。

人口と割合

全北益山市、南原市、高敞郡などに集団部落が形成されています。

まとめ

蘇姓は、中国と朝鮮半島において歴史と文化を彩ってきた姓です。そのルーツは古代中国に遡り、各地への移住や民族間の交流を経て、今日に至っています。著名な人物も多く、様々な分野でその名が知られています。

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