遠山景朝

遠山景朝：美濃の地を治めた初代遠山氏

遠山景朝（とおやま かげとも）は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活躍した武将であり、遠山氏の初代として知られています。彼は美濃国遠山荘の地頭として、現在の岐阜県恵那市、中津川市、瑞浪市の一部を含む地域を統治しました。

生涯

景朝は、藤原利仁の流れを汲む加藤景廉の長男として生まれました。父・景廉は源頼朝から厚い信頼を得ており、鎌倉幕府成立後には御家人として各地に荘園を与えられました。その中で、景朝は美濃国恵那郡の遠山荘を相続し、地頭として赴任しました。当初は加藤太郎と称していましたが、後に遠山左衛門尉景朝と名乗るようになりました。

景朝は、武将としての功績も数多く残しています。建仁3年（1203年）の比企能員の変では、父・景廉と共に北条時政の命を受けて比企能員を謀殺したとされる仁田忠常を討ち、その功績が『吾妻鏡』に記されています。また、承久元年（1219年）には、鎌倉幕府の四代将軍となる九条頼経が京都から鎌倉へ下向する際に随行しました。

承久3年（1221年）の承久の乱では、景朝は武田信光らと共に東山道の軍勢を率いて参戦しました。6月5日に大井戸（現在の可児市）を渡り、鵜沼に陣を敷きました。翌日には、東海道から来た北条泰時の軍と合流し、摩免戸（現在の各務原市）や印食の渡（現在の岐南町）を渡河、さらに洲俣（現在の墨俣）や杭瀬川の守りを突破して京へと進軍し、瀬田や宇治の戦いで朝廷軍を破ることに貢献しました。その後、北条泰時の命により、朝廷側の公家である一条信能を岩村に連行し、斬首しました。

承久年間（1219年～1222年）には、岩村城の敷地内に八幡神社を創建し、誉田別命と父・加藤景廉を祀りました。また、嘉禎元年（1235年）には、父の遺領である伊豆国狩野荘牧之郷の地頭職を弟・加藤景義と争い、幕府の評定衆による評議の結果、勝訴しました。

『吾妻鏡』には、嘉禎2年（1236年）に検非違使遠山判官として、また仁治2年（1241年）の椀飯の記事には御行騰遠山大蔵少輔景朝として名前が記載されています。

宝治元年（1247年）には、京都大番役を務めました。建長年間（1249年～1256年）にも所々に名前が見られますが、それ以降の記録はなく、建長年間に亡くなったと推定されています。

現在、恵那市岩村町の武並神社には、遠山景朝が祭神として祀られています。

子孫

景朝の息子たちは、それぞれ遠山氏の各家を興しました。長男の遠山景村（太郎右衛門）は木曽川以北に進出して苗木[[遠山氏]]の初代となり、次男の遠山景重（三郎兵衛）は遠山荘南部の淡氣郷（手向郷）を領して明知[[遠山氏]]の初代となりました。三男の遠山景員（六郎）は本家の岩村[[遠山氏]]を継承しました。

このように、遠山景朝は武将としての活躍だけでなく、遠山氏の繁栄の基礎を築いた人物として、歴史に名を残しています。

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