鈴木誠 (競輪選手)

鈴木誠（すずきまこと）

プロフィール

鈴木誠は、1965年 4月3日生まれ、千葉県市原市出身の元競輪選手です。日本競輪学校（現在の日本競輪選手養成所）第55期卒業。選手登録番号は11132で、日本競輪選手会千葉支部に所属していました。師匠は同じく競輪選手の吉井秀仁です。

同姓同名の福島支部の選手（84期・選手登録番号013608）がいますが、別人です。

経歴

千葉経済大学附属高等学校時代から自転車競技に取り組み、吉井秀仁に師事して競輪学校に入学。1985年 5月3日に花月園競輪場でデビューし、同月12日に弥彦競輪場で初勝利を飾りました。

デビュー当初から着実に力をつけていましたが、1987年の競輪祭新人王戦で坂本勉らを破って優勝したことで、一躍注目を集める存在となりました。

平成に入ると、競輪界の勢力図が変化する中で、鈴木は千葉の先輩である滝澤正光とともに南関東地区を牽引する役割を担うようになります。

1990年の高松宮杯競輪では、中野浩一、井上茂徳、滝澤正光といった当時のトップ選手たちを相手に、最終コーナーで8番手という絶望的な位置から直線で驚異的な追い込みを見せ、特別競輪（現在のGI）初制覇を成し遂げました。同年の競輪祭決勝では、果敢に先行して滝澤正光の優勝をアシストし、グランドスラム達成に貢献しました。

1991年の全日本選抜競輪では、特別競輪初優出の吉岡稔真の捲りを1センターでブロックし、さらに2センターでも小橋正義の捲りを阻止するという厳しいレースを制し、そのまま逃げ切って優勝。同年末のKEIRINグランプリ'91では、滝澤正光を連れて残り半周で捲りを放ち、そのまま押し切って優勝（史上5人目）し、この年の賞金王にも輝きました。

その後も、1992年にふるさとダービー（函館）と共同通信社杯ルビーカップレース（大垣）、1999年にふるさとダービー（伊東温泉）で優勝するなど、トップ選手として活躍を続けました。

2005年には、地元松戸で開催された日本選手権競輪で、伏見俊昭の番手からインコースを突いて差し切り、高橋健二の持つ特別競輪優勝間隔記録を13年7ヶ月ぶりに更新し、同大会史上最年長優勝記録（39歳11ヶ月）も達成しました。

2007年にはオールスター競輪で決勝に進出し、2008年から導入されたS級S班の初代メンバー18人のうちの一人に選出されました。

2014年4月15日、久留米競輪場で行われたS級決勝で優勝（49歳12日）。これは、当時のS級優勝最高齢記録で、後に萩原操、大竹慎吾、伊藤公人に次ぐ記録となりました。

2015年2月上旬、練習中の落車により左手首を複雑骨折し、3月の日本選手権競輪を欠場。1989年の第42回大会から続いていた日本選手権競輪連続出場記録も26回で途絶えました。同年9月11日に函館競輪場で復帰しましたが、198日もの長期欠場はデビュー以来初めてのことでした。

2018年 7月9日、現役引退を表明。前日の京王閣競輪場でのレースがラストランとなりました。晩年は落車による左股関節痛に悩まされ、懸命な治療を行いましたが、加齢により思うように回復せず、地元松戸競輪場で開催されるサマーナイトフェスティバルをファンへの挨拶の機会と捉え、引退を決意しました。7月15日に引退セレモニーが行われ、7月12日に選手登録が消除されました。

通算成績は、3058戦665勝、優勝109回（うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回）。年間賞金王1回。通算獲得賞金は17億853万1755円。

主な獲得タイトルと記録

1988年 - 競輪祭新人王戦（小倉競輪場）
1990年 - 高松宮杯競輪（大津びわこ競輪場）
1991年 - 全日本選抜競輪（久留米競輪場）、KEIRINグランプリ（立川競輪場）
2005年 - 日本選手権競輪（松戸競輪場）
年間賞金王1回 - 1991年
G1連続25回出場選手 - 2014年2月表彰
日本選手権競輪連続出場記録 - 26回（歴代2位タイ）

競走スタイル

デビュー当初は捲りを主体としていましたが、全盛期には全ての戦法を完璧にこなす「本物の自在型選手」と評されました。吉岡稔真が台頭するまでは、ライバルとしても知られていました。晩年は追込選手として活躍し、自分の走る位置とゴールまでの距離を的確に把握した上で、最適なコースを見極めて上位入着する技術を発揮しました。

エピソード

1992年のふるさとダービー函館開催中、ある女性ファンが「誠さん頑張って」と手書きで書いた横断幕を掲げました。これは、競輪における選手応援のための横断幕の始まりと言われています。

デビュー当時は、そのルックスで女性ファンから人気を集めましたが、カエルに似ていることから「ケロヨン」という愛称で親しまれていました。漫画「ギャンブルレーサー」では、鈴木の似顔絵の代わりにガマガエルのイラストが描かれていたこともありました。

ある年の観音寺開催の帰り、歌謡ショーのゲストだった歌手の岡花江と偶然飛行機で同乗し、交際を経て結婚しました。現在は、小田原競輪のインターネット中継で、覆面解説者「頂（いただき）」として、林雄一ふんするオダワライダーと掛け合いを演じています。

参考文献

『競輪打鐘読本バンクの"鬼"たちが叫びまくる!』宝島社、1997年。ISBN 978-4-7966-9343-1

外部リンク

* 現役時代の戦績 - KEIRIN.JP

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