阿倍毛人

阿倍毛人の略歴と業績

阿倍毛人（あべ の えみし）は、奈良時代に活躍した公卿で、当時の政権において重要な役割を果たしました。彼の家系については詳細が不明であるものの、大納言・阿倍宿奈麻呂の子であるとの説があります。官位は従四位上、参議にまで昇進しました。

経歴の詳細

阿倍毛人の公務キャリアは、天平18年（746年）に従五位下に叙爵されたことから始まります。その翌年には玄蕃頭に任命され、天平勝宝6年（754年）には山陽道巡察使という重要な役職に就きました。これらの職務を通じて、彼はその政治的手腕を発揮しました。

淳仁朝の時代においては、天平宝字3年（759年）に従五位上及び仁部大輔、また天平宝字6年（762年）には左中弁、天平宝字7年（763年）には正五位下として河内守の職務を担当し、その中で着実に昇進を果たしました。特に、天平宝字8年（764年）に藤原仲麻呂の乱が発生した際には、仲麻呂側に加勢しなかったとされ、翌年には正五位上に昇進し、さらには従四位下にまで昇叙されました。

その後、称徳朝には五畿内巡察使や大蔵卿、造東大寺次官などの要職を歴任しました。彼は神護景雲4年（770年）8月に称徳天皇が崩御した際には山陵司の職務を担いました。この時期、彼の政務に対する信頼が厚く、その手腕が評価されていたことが伺えます。

光仁天皇の即位に伴い、阿倍毛人は従四位上に叙せられ、翌宝亀2年（772年）11月には参議に任命され、正式に公卿の地位に列しました。しかし、宝亀3年（772年）11月17日に彼は亡くなりました。最終的には参議にして従四位上との官位にてこの世を去ったのです。

官歴

阿倍毛人の官歴は『続日本紀』に記録されており、以下の通りです：

• - 時期不詳: 正六位上
• - 天平18年（746年） 4月22日: 従五位下
• - 天平19年（747年） 3月10日: 玄蕃頭
• - 天平勝宝6年（754年） 7月20日: 御装束司（太皇太后・藤原宮子葬儀）
• - 天平勝宝6年（754年） 11月1日: 山陽道巡察使
• - 天平宝字3年（759年） 5月17日: 文部少輔
• - 天平宝字3年（759年） 6月16日: 従五位上
• - 天平宝字3年（759年） 11月5日: 仁部大輔
• - 天平宝字6年（762年） 1月9日: 左中弁
• - 天平宝字7年（763年） 1月9日: 正五位下、河内守
• - 天平神護元年（765年） 1月7日: 正五位上
• - 天平神護元年（765年） 10月15日: 従四位下
• - 天平神護2年（766年） 9月23日: 五畿内巡察使
• - 天平神護3年（767年） 2月28日: 大蔵卿
• - 天平神護3年（767年） 8月29日: 造東大寺次官
• - 神護景雲4年（770年） 8月4日: 山陵司（称徳天皇崩御）
• - 神護景雲4年（770年） 10月1日: 従四位上
• - 宝亀2年（771年） 5月14日: 伊勢守
• - 宝亀2年（771年） 11月23日: 参議
• - 宝亀3年（772年） 11月17日: 卒去（参議従四位上）

家族

阿倍毛人の父は阿倍宿奈麻呂ですが、母については記録が残っていません。彼自身の家系は多くの歴史的文献に登場し、奈良時代の政治・文化において重要な役割を担った一族であったことが伺えます。

出典

本記事は、以下の文献を基に作成されています。

• - 宇治谷孟『続日本紀 （中）』講談社、1992年
• - 宇治谷孟『続日本紀 （下）』講談社、1995年
• - 宝賀寿男『古代氏族系譜集成』古代氏族研究会、1986年

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