電力系通信事業者とは
電力系通信事業者とは、日本各地の
電力会社が出資して設立された
電気通信事業者、およびその事業を継承した事業者グループを指します。このグループは、
PNJグループ(パワー・ネッツ・ジャパン・グループ)とも呼ばれ、地域ネットワークから全国ネットワークまで、日本全国に張り巡らされた
光ファイバー網をインフラ基盤としています。
歴史
1985年の通信自由化により、
日本電信電話公社(電電公社)がNTTとして民営化され、それまで電電公社が独占していた通信市場に競争原理が導入されました。この動きに対応し、
第二電電(DDI)や日本テレコム、日本高速通信などの全国規模の新電電(NCC)に対抗するため、各地域の
電力会社9社が
電力系NCC、または
地域系NCCと呼ばれる通信事業会社を設立し、市場に参入しました。
DDIや日本テレコムはゼロから通信網を構築する必要がありましたが、電力系NCCは電力業務用の
光ファイバーを有効活用できるという大きな優位性を持っていました。さらに、各社が出資してアステル地域会社を設立し、簡易型
携帯電話PHSのサービスも展開していました。
PHSに加え、
携帯電話事業にも関わり、東京電力と
中部電力は日本移動通信(IDO)に、その他の
電力会社8社は各地域の
DDIセルラーグループの事業会社に出資していました。
現在の事業者
現在、主な電力系通信事業者としては、以下の企業が挙げられます。
北海道総合通信網 (HOTnet) - 北海道電力系
トークネット(旧 東北インテリジェント通信) -
東北電力系
KDDI - 旧 東京通信ネットワーク (TTNet)、東京電力系。パワードコム (PNJグループの幹事会社) を吸収合併後、KDDIに吸収合併。東京電力は、KDDIの前身である日本移動通信設立時から2011年まで、KDDIの大株主であった。
中部テレコミュニケーション (CTC) - 旧
中部電力系。
2008年に
KDDIの子会社化。
北陸通信ネットワーク (HTNet) - 北陸電力系
オプテージ (OPTAGE) -
関西電力系。旧大阪メディアポート (OMP)とケイ・オプティコム (K-OPT)が合併し、2019年に
関西電力から商号変更。
エネコム - 中国電力系。旧中国通信ネットワーク (CTNet) を継承し、2023年に現商号に変更。
STNet (旧 四国情報通信ネットワーク) -
四国電力系
QTnet (旧 九州通信ネットワーク) - 九州電力系
沖縄通信ネットワーク (OTNet) - 旧
沖縄電力系。
2010年に
沖縄セルラー電話の子会社となり、
KDDIの孫会社となる。
ファミリーネット・ジャパン - 東京電力系。マンションデベロッパーの大京とNTT-MEによって設立され、パワードコムを経て東京電力 (現 東京電力エナジーパートナー) に譲渡された。
事業の現状
多くの電力系通信事業者は、個人向け事業から撤退しています。HOTNet、TOHKnet、HTNet、OTNetは個人向け事業から完全に撤退しており、TTNetを合併したパワードコムも合併後に個人向け事業を売却しました。
NTT西日本エリアの電力系通信事業者は、個人向けFTTHサービスを展開していますが、HTNetは元から展開しておらず、OTNetは個人向けFTTHサービスを系列会社の沖縄セルラー電話に売却しています。そのため、個人向けFTTHサービスの市場シェアは、NTT東日本エリアや北陸電力エリアと比較して低くなっています。
関連項目
アステル
日本移動通信(IDO) - 東京電力・中部電力が出資
DDIセルラーグループ - 東電・中部電以外の8社と
京セラ・
第二電電の共同出資
楽天コミュニケーションズ(パワードコムより直収電話・中継電話事業を承継)
スピードネット
メディアエクスチェンジ
架空地線
アット東京
外部リンク
PNJグループのご紹介 - オプテージの法人向けサイト
この情報は、電力系通信事業者の歴史、現在の事業状況、および関連情報についてまとめたものです。