飯羽間遠山氏

飯羽間遠山氏について

飯羽間遠山氏（いいばまとおやまし）は、美濃国恵那郡遠山荘（現在の岐阜県恵那市）の飯羽間城を拠点とした遠山氏の一族です。遠山氏は鎌倉時代初期に加藤景廉が遠山荘の地頭となり、その子である遠山景朝が地名から遠山氏を名乗ったのが始まりとされています。

遠山氏の成立と飯羽間遠山氏の登場

遠山氏は、本家の岩村[[遠山氏]]を中心に、遠山荘各地に分家しました。これらの分家は、それぞれの居城名を冠して「遠山七頭」と呼ばれ、飯羽間遠山氏もその一つです。飯羽間城の初代城主は遠山六郎景義とされていますが、正確な分岐年代は不明です。

室町時代の飯羽間遠山氏

室町時代に入ると、飯羽間遠山氏の活動が史料に現れるようになります。永享3年（1431年）には『永享以来御番帳』に遠山飯間宮内少輔の名が見え、長享元年（1487年）には飯間孫三郎が足利義尚将軍の六角氏討伐に従軍した記録が残っています。

戦国時代の飯羽間遠山氏

戦国時代には、織田氏との関係が深まりました。天文年間（1532年-1555年）頃には、織田信長の伯母が飯羽間村城主の遠山右衛門（遠山加雲、同久兵衛）に嫁いでいます。元亀元年（1570年）には、苗木久兵衛（遠山友忠）が織田信長に従い比叡山包囲に参加しました。その後、飯羽間城主の遠山友勝は、苗木城主の遠山直廉の死後、信長の命で苗木城に移り、飯羽間城は子の遠山友忠が継ぎました。

武田氏の侵攻と飯羽間遠山氏の滅亡

元亀3年（1574年）、遠山友忠は上村合戦で父の友勝や他の遠山一族と共に戦いましたが敗北。その後、友忠は阿寺城に移りましたが、天正2年（1574年）に武田勝頼が東濃に侵攻すると、阿寺城主となっていた次男の遠山友重が討ち死にしました。また、飯羽間城も落城し、城将の飯羽間右衛門佐信次が生け捕りになったとされています。信長公記には、飯羽間右衛門尉が明知城攻めの際に謀反を起こしたとありますが、実際には明知城落城後、飯羽間城で武田勢と戦い捕虜になったとされています。捕虜となった飯羽間右衛門尉は、武田勝頼に武勇を認められ助命され、信濃伊那郡箕輪に所領を与えられましたが、天正10年（1582年）の武田残党狩りで子供2人とともに処刑されました。この落城により飯羽間城は廃城となり、飯羽間遠山氏は断絶しました。

飯羽間遠山氏のその後

飯羽間遠山氏は滅亡しましたが、天正11年（1583年）に生き残った遠山友忠・友政父子が徳川家康に仕え、戦功を挙げて苗木藩を立藩し、飯羽間遠山氏の血筋は苗木[[遠山氏]]を継ぐ形で存続しました。

まとめ

飯羽間遠山氏は、遠山氏の一族として美濃の地に根を張り、戦国時代には織田氏や武田氏といった大勢力との関わりの中で激動の時代を生き抜きました。その歴史は、地方豪族の盛衰を物語る貴重な例といえるでしょう。


参考文献

太田牛一; 中川太古『現代語訳　信長公記』（Kindle）中経出版〈新人物文庫〉、2013年
堀田正敦 編「国立国会図書館デジタルコレクション 利仁流遠山」『寛政重修諸家譜』
岩村町史刊行委員会編『岩村町史』岩村町、1961年
岐阜県百科事典制作委員会『岐阜県百科辞典　上』岐阜日日新聞社、1968年


外部リンク

* 織田信長家臣団研究会「信長伯母は誰に嫁いだか」 - ウェイバックマシン（2016年9月20日アーカイブ分）

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