1990年の音楽

1990年の音楽シーンを振り返る

1990年は、音楽業界にとって大きな変化と多様な動きが見られた年でした。国内外の音楽シーンで、数々の注目すべき出来事がありました。

日本の音楽シーン

バンドブームと音楽番組の変遷

1990年、日本ではLINDBERG、たま、BEGIN、JITTERIN'JINNといったバンドが牽引するバンドブームが到来しました。特に、テレビ番組「イカすバンド天国」は、このブームを加速させる大きな役割を果たしました。しかし、その一方で、長年親しまれてきたゴールデンタイムの音楽番組が相次いで終了しました。前年のTBS「ザ・ベストテン」に続き、3月には日本テレビ「歌のトップテン」、10月にはフジテレビ「夜のヒットスタジオSUPER」が放送を終え、音楽番組のあり方が大きく変化しました。

アニメソングのヒットとミリオンセラー

B.B.クイーンズの「おどるポンポコリン」が、アニメ「ちびまる子ちゃん」の副主題歌として大ヒットし、オリコン年間1位を獲得しました。アニメソングが年間TOP10入りを果たすのは、1983年の「CAT'S EYE」以来7年ぶりという快挙でした。また、サザンオールスターズは、アルバム『Southern All Stars』と映画サントラ盤『稲村ジェーン』で年間2枚のミリオンヒットを記録し、その人気を不動のものとしました。B'zも初のシングルオリコンチャート1位を獲得し、ここから彼らのシングルオリコン連続1位獲得記録が始まりました。

その他の出来事

2月にはローリング・ストーンズ、3月にはポール・マッカートニーが初の東京ドーム公演を開催し、大きな話題となりました。6月にはチェッカーズの藤井郁弥（現・藤井フミヤ）が結婚。7月には中森明菜が活動を再開し、復帰シングル『Dear Friend』がヒットしました。9月にはTM NETWORK|TM_NETWORKがTMNに改名し、新たなスタートを切りました。

CDプレーヤーの普及

この年、日本ではCDプレーヤーの普及率が34.3%に達し、音楽を聴くスタイルが変化しつつあることを示しました。

海外の音楽シーン

海外では、ポーラ・アブドゥル、マライア・キャリー、シネイド・オコーナー、ジャネット・ジャクソンといった女性アーティストが数多くのヒット曲をリリースしました。また、MCハマー、ディー・ライト、エニグマといった個性的なアーティストも人気を集めました。

主な洋楽シングル

ポーラ・アブドゥル - 『甘い誘惑』
ベル・ビヴ・デヴォー – 『ポイズン』
マイケル・ボルトン『 ハウ・アム・アイ・サポーズド・トゥ・リヴ・ウィズアウト・ユー』
マライア・キャリー『ヴィジョン・オブ・ラヴ』『ラヴ・テイクス・タイム』
レイ・チャールズ『エリー・マイ・ラヴ～いとしのエリー』
ディー・ライト – 『グルーヴ・イズ・イン・ザ・ハート』
キャシー・デニス『ジャスト・アナザー・ドリーム』
EMF - 『アンビリーバブル』
エニグマ – 『サッドネス（パート1）』
カオマ『ランバダ』
キャンディ・フリップ『ストロベリー・フィールズ・フォーエバー』
クインシー・ジョーンズ feat.レイ・チャールズ&チャカ・カーン：『アイル・ビー・グッド・トゥ・ユー』
ベット・ミドラー – フロム・ア・ディスタンス
George Michael – Freedom! '90
Kylie Minogue – Better the Devil You Know
Alannah Myles – Black Velvet
Jane Child – Don't Wanna Fall in Love
MC Hammer – U Can't Touch This
Gary Moore – Still got the Blues (For You)
Dolly Parton – Time for Me to Fly, White Limozeen
Pet Shop Boys – So Hard
シネイド・オコーナー『愛の哀しみ』
ジャネット・ジャクソン『エスカペイド』『オールライト』
ジャイヴ・バニー&マスター・ミキサーズ：『スウィング・ザ・ムード』
ジョニー・ギル – 『ラブ・ユー・ザ・ライト・ウェイ』
スカイ『リアル・ラヴ』
スティービー・B『ビコーズ・アイ・ラヴ・ユー』
ダイアナ・ロス - 『イフ・ウィ・ホールド・オン・トゥゲザー』
トゥデイ – 『ホワイ・ユー・ゲット・ファンキー・オン・ミー』
トミー・ペイジ『アイル・ビー・ユア・エヴリシング』
ニュー・キッズ・オン・ザ・ブロック - 『ステップ・バイ・ステップ』
The B-52's – 『ラヴ・シャック』
プリンス『シーヴス・イン・ザ・テンプル』
プライマル・スクリーム「ローデッド」
ポール・ヤング『オー・ガール』
リサ・スタンスフィールド『オール・アラウンド・ザ・ワールド』
ロクセット『愛のぬくもり』

主な洋楽アルバム

アンスラックス – Persistence of Time
バッド・レリジョン – Against the Grain
Blind Guardian – Tales from the Twilight World
ブリーダーズ – Pod
シャーラタンズ(UK) – Some Friendly
Eric Clapton – Journeyman
クリープス – Blue Tomato
セリーヌ・ディオン『ユニゾン』
デペッシュ・モード『ヴァイオレーター』
デュラン・デュラン - 『リバティ』
ブルース・ディッキンソン - 『タトゥード・ミリオネア』
バナナラマ『ポップ・ライフ』
クリス・アイザック - 『ハート・シェイプド・ワールド』
グリーン・デイ『39/スムーズ』
ジョニー・ギル『ジョニー・ギル』
EMF - 『シューベルト・ディップ』
エディ・ブリケル&ニュー・ボヘミアンズ – 『ゴースト・オブ・ア・ドッグ』
エヴリシング・バット・ザ・ガール『ランゲージ・オブ・ライフ』
M.C.ハマー『プリーズ・ハマー・ドント・ハーテム』
メガデス『ラスト・イン・ピース』
オジー・オズボーン『ジャスト・セイ・オジー』
ザ・フー『ジョイン・トゥゲザー』

年間ランキング

シングル年間TOP50（オリコン）

1. B.B.クィーンズ：『おどるポンポコリン』
2. 米米CLUB：『浪漫飛行/ジェットストリーム浪漫飛行』
3. LINDBERG：『今すぐKiss Me』
4. たま：『さよなら人類/らんちう|さよなら人類_らんちう』
5. プリンセス・プリンセス：『OH YEAH!』
6. 中森明菜：『Dear Friend』
7. THE BLUE HEARTS|THE_BLUE_HEARTS：『情熱の薔薇』
8. 工藤静香：『くちびるから媚薬』
9. サザンオールスターズ：『真夏の果実』
10. ダイアナ・ロス：『イフ・ウィ・ホールド・オン・トゥゲザー』

（以下略）

アルバム年間TOP50（オリコン）

1. 松任谷由実：『LOVE WARS』
2. サザンオールスターズ&オールスターズ：『稲村ジェーン』
3. プリンセス・プリンセス：『LOVERS』
4. 渡辺美里：『tokyo』
5. 杏里：『MIND CRUISIN'』
6. サザンオールスターズ：『Southern All Stars (初回盤)』
7. 今井美樹：『Ivory』
8. 久保田利伸：『BONGA WANGA』
9. 今井美樹：『retour』
10. 岡村孝子：『Kiss 〜à côté de la mer〜』

（以下略）

その他

音楽配信や音楽フェスティバル、武道館やドームでの公演も活発に行われました。また、多くのバンドが解散や活動休止を発表する一方、再結成するバンドも現れました。

解散・活動休止

JAGATARA
DEAD END
こおろぎ'73
SHADOW
BaBe
ARB
COMPLEX
D'ERLANGER
竜童組

再結成

サムラ・ママス・マンナ
スティクス
頭脳警察
ファウスト
ベイ・シティ・ローラーズ
ポゼスト
* 森田公一とトップギャラン

1990年は、音楽業界にとって激動の年であり、多様な音楽が生まれた年でした。この年の音楽シーンは、その後の音楽に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

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