1993年の鉄道
1993年（平成5年）は、日本の鉄道にとって多くの変化があった年です。各地で新たな路線や区間が開業・延伸し、利便性の向上が図られました。同時に、多数の駅が開業し、既存の駅においても移転や統合、名称変更が行われました。
この年は、特に都市部の鉄道網が拡充されました。福岡市では地下鉄空港線が博多駅から福岡空港駅まで延伸し、空港アクセスが大幅に改善。大阪市営地下鉄堺筋線も動物園前駅から天下茶屋駅まで延伸し、新たなターミナルが誕生しました。神奈川県では横浜市営地下鉄3号線が新横浜駅からあざみ野駅まで延伸し、市北部でのネットワークが強化されました。JR東海交通事業の城北線も尾張星の宮駅から枇杷島駅まで延伸開業しています。また、東京モノレール羽田線が羽田駅（移転）から羽田空港駅まで延伸し、羽田空港へのアクセスルートが整備されました。京浜急行電鉄空港線も穴守稲荷駅から羽田駅（後の羽田空港国内線ターミナル駅）まで延伸開業し、これも空港アクセス強化の一環となりました。
海外では、韓国鉄道庁の果川線が仁徳院駅から衿井駅まで開業。フランスではTGVがLGV北線の一部区間（パリ北駅～アラス駅、後にリールまで延伸）で運行を開始しました。
多数の新駅が開業したことも特徴です。JR西日本では紀勢本線に広川ビーチ駅、山陰本線に東山公園駅が開業。平成筑豊鉄道や錦川鉄道にも新駅が誕生しました。横浜市営地下鉄3号線の延伸区間には多数の新駅が設置され、名古屋市営地下鉄鶴舞線延伸区間にも上小田井駅が開業しています。上毛電気鉄道にも東新川駅が誕生。神戸市交通局は西神南駅を開設しました。既存駅の名称変更も多く、JR中央本線（中央東線）では初鹿野駅が甲斐大和駅に、勝沼駅が勝沼ぶどう郷駅に、別田駅が春日居町駅に、石和駅が石和温泉駅に改称されたほか、JR山陰本線の知井宮駅が西出雲駅に、神西駅が出雲大社口駅に変わるなど、各地で駅名変更が実施されました。南阿蘇鉄道の阿蘇下田駅は阿蘇下田城ふれあい温泉駅に、JR九州長崎本線の三田川駅は吉野ケ里公園駅に改称されています。南海電気鉄道では岸ノ里駅と玉出駅が統合され、高架上に岸里玉出駅が新設されました。
JR四国では予讃線の新居浜駅から今治駅間が電化され、特急列車の高速化が進められました。JR北海道、JR西日本、JR四国、JR九州、西日本鉄道など、各地でワンマン運転が拡大されました。また、JR各社をはじめ、多くの私鉄や公営鉄道で大規模なダイヤ改正が実施され、特に名古屋鉄道犬山線と名古屋市営地下鉄鶴舞線の間で相互直通運転が開始されたことは特筆されます。
路線の廃止も散見されました。越後交通長岡線の一部区間、函館市交通局の市電本線・宮前線の一部区間、南海電気鉄道天王寺支線が運行を終了。新潟交通電車線の一部区間も廃止されました。大阪観光の箕面鋼索鉄道線は一時休止した後、正式に廃止となりました。JR貨物では豊肥本線の一部区間の第二種鉄道事業が廃止されています。
新型車両が多数登場した年でもあります。JR東日本では、後の標準型車両となる209系や、地方線区向けの701系、房総特急向けの255系などが登場。JR東海にはキハ75形、JR九州には787系やキハ125形などが加わりました。西武鉄道10000系・9000系、相模鉄道9000系、京成電鉄3400形、新京成電鉄8900形、名古屋鉄道3500系、西日本鉄道6000形といった大手私鉄の車両。帝都高速度交通営団06系・07系、東京都交通局6300形、名古屋市交通局3050形といった地下鉄車両も投入されました。これらの新型車両の運転開始に伴い、古い形式の車両が引退したり、他社へ譲渡されたりする動きも見られました。例えば、キハ181系やED76形などがJR線で定期運用を終了。上田交通が東京急行電鉄から、富士急行が京王帝都電鉄から、長野電鉄が帝都高速度交通営団から、近江鉄道が西武鉄道から、土佐電気鉄道がオーストリアから譲渡車両を導入しました。一方で、一部の古い形式（タキ64000形、デハ20形、1500N形、2000形、2000系、AE形、500形、800系、キハ800形、5000系、5200系など）が姿を消しました。この年登場した車両のうち、JR九州の787系がブルーリボン賞を、JR東海300系とJR貨物EF200形がローレル賞を受賞しています。
残念ながら、鉄道の安全を脅かす事態も発生しました。韓国の京釜線で列車脱線事故が発生。日本では平成5年8月豪雨による土砂崩れでJR九州の日豊本線や豊肥本線が長期不通となりました。東海道新幹線では、ワイヤロープ切断やレールへの異物放置といった悪質な事件が複数発生したほか、車内での殺人事件も発生しました。無人運転の大阪市営ニュートラムや、南海電気鉄道の車両基地でも事故が発生しています。
1993年は、路線の延伸や新駅開業など明るい話題が多い一方、災害や事故・事件といった厳しい現実も突きつけられた、鉄道史において多角的な出来事が詰まった一年と言えるでしょう。
新規開業・延伸
この年は、特に都市部の鉄道網が拡充されました。福岡市では地下鉄空港線が博多駅から福岡空港駅まで延伸し、空港アクセスが大幅に改善。大阪市営地下鉄堺筋線も動物園前駅から天下茶屋駅まで延伸し、新たなターミナルが誕生しました。神奈川県では横浜市営地下鉄3号線が新横浜駅からあざみ野駅まで延伸し、市北部でのネットワークが強化されました。JR東海交通事業の城北線も尾張星の宮駅から枇杷島駅まで延伸開業しています。また、東京モノレール羽田線が羽田駅（移転）から羽田空港駅まで延伸し、羽田空港へのアクセスルートが整備されました。京浜急行電鉄空港線も穴守稲荷駅から羽田駅（後の羽田空港国内線ターミナル駅）まで延伸開業し、これも空港アクセス強化の一環となりました。
海外では、韓国鉄道庁の果川線が仁徳院駅から衿井駅まで開業。フランスではTGVがLGV北線の一部区間（パリ北駅～アラス駅、後にリールまで延伸）で運行を開始しました。
駅の新設・変更
多数の新駅が開業したことも特徴です。JR西日本では紀勢本線に広川ビーチ駅、山陰本線に東山公園駅が開業。平成筑豊鉄道や錦川鉄道にも新駅が誕生しました。横浜市営地下鉄3号線の延伸区間には多数の新駅が設置され、名古屋市営地下鉄鶴舞線延伸区間にも上小田井駅が開業しています。上毛電気鉄道にも東新川駅が誕生。神戸市交通局は西神南駅を開設しました。既存駅の名称変更も多く、JR中央本線（中央東線）では初鹿野駅が甲斐大和駅に、勝沼駅が勝沼ぶどう郷駅に、別田駅が春日居町駅に、石和駅が石和温泉駅に改称されたほか、JR山陰本線の知井宮駅が西出雲駅に、神西駅が出雲大社口駅に変わるなど、各地で駅名変更が実施されました。南阿蘇鉄道の阿蘇下田駅は阿蘇下田城ふれあい温泉駅に、JR九州長崎本線の三田川駅は吉野ケ里公園駅に改称されています。南海電気鉄道では岸ノ里駅と玉出駅が統合され、高架上に岸里玉出駅が新設されました。
運行形態の変更
JR四国では予讃線の新居浜駅から今治駅間が電化され、特急列車の高速化が進められました。JR北海道、JR西日本、JR四国、JR九州、西日本鉄道など、各地でワンマン運転が拡大されました。また、JR各社をはじめ、多くの私鉄や公営鉄道で大規模なダイヤ改正が実施され、特に名古屋鉄道犬山線と名古屋市営地下鉄鶴舞線の間で相互直通運転が開始されたことは特筆されます。
廃止・休止
路線の廃止も散見されました。越後交通長岡線の一部区間、函館市交通局の市電本線・宮前線の一部区間、南海電気鉄道天王寺支線が運行を終了。新潟交通電車線の一部区間も廃止されました。大阪観光の箕面鋼索鉄道線は一時休止した後、正式に廃止となりました。JR貨物では豊肥本線の一部区間の第二種鉄道事業が廃止されています。
車両の動向
新型車両が多数登場した年でもあります。JR東日本では、後の標準型車両となる209系や、地方線区向けの701系、房総特急向けの255系などが登場。JR東海にはキハ75形、JR九州には787系やキハ125形などが加わりました。西武鉄道10000系・9000系、相模鉄道9000系、京成電鉄3400形、新京成電鉄8900形、名古屋鉄道3500系、西日本鉄道6000形といった大手私鉄の車両。帝都高速度交通営団06系・07系、東京都交通局6300形、名古屋市交通局3050形といった地下鉄車両も投入されました。これらの新型車両の運転開始に伴い、古い形式の車両が引退したり、他社へ譲渡されたりする動きも見られました。例えば、キハ181系やED76形などがJR線で定期運用を終了。上田交通が東京急行電鉄から、富士急行が京王帝都電鉄から、長野電鉄が帝都高速度交通営団から、近江鉄道が西武鉄道から、土佐電気鉄道がオーストリアから譲渡車両を導入しました。一方で、一部の古い形式（タキ64000形、デハ20形、1500N形、2000形、2000系、AE形、500形、800系、キハ800形、5000系、5200系など）が姿を消しました。この年登場した車両のうち、JR九州の787系がブルーリボン賞を、JR東海300系とJR貨物EF200形がローレル賞を受賞しています。
事故・災害・事件
残念ながら、鉄道の安全を脅かす事態も発生しました。韓国の京釜線で列車脱線事故が発生。日本では平成5年8月豪雨による土砂崩れでJR九州の日豊本線や豊肥本線が長期不通となりました。東海道新幹線では、ワイヤロープ切断やレールへの異物放置といった悪質な事件が複数発生したほか、車内での殺人事件も発生しました。無人運転の大阪市営ニュートラムや、南海電気鉄道の車両基地でも事故が発生しています。
1993年は、路線の延伸や新駅開業など明るい話題が多い一方、災害や事故・事件といった厳しい現実も突きつけられた、鉄道史において多角的な出来事が詰まった一年と言えるでしょう。
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