WCW世界TV王座

WCW世界TV王座：栄光と終焉の歴史

WCW世界TV王座は、かつてアメリカのプロレス団体WCW（ワールド・チャンピオンシップ・レスリング）が管理、認定していたタイトルです。その前身であるNWAミッドアトランティックTV王座、そしてNWA世界TV王座を含め、その歴史を紐解きます。

NWA時代の幕開け

1974年、NWA（ナショナル・レスリング・アライアンス）のジム・クロケット・プロモーションズ（ミッドアトランティック・チャンピオンシップ・レスリング / MACW）において、NWAミッドアトランティックTV王座が創設されました。これは、MACWのTV番組用のタイトルとして設けられたもので、初代王者はトーナメント決勝でオレイ・アンダーソンを破ったダン・ミラーでした。

その後、イワン・コロフ、ポール・ジョーンズ、アンジェロ・モスカ、ミスター・レスリング、リック・フレアー、グレッグ・バレンタイン、ルーファス・ジョーンズ、リッキー・スティムボート、バロン・フォン・ラシク、ジョニー・ウィーバー、マスクド・スーパースター、ロディ・パイパー、ロッキー・ジョンソン、ジミー・バリアント、ロン・バス、ジョー・ルダック、レロイ・ブラウン、マイク・ロトンド、ディック・スレーター、ザ・グレート・カブキなど、錚々たるメンバーがこの王座を戴冠しました。

1980年代中盤、MACWのオーナーであるジム・クロケット・ジュニアは、ビンス・マクマホン・ジュニア率いるWWF（現WWE）の全米侵攻に対抗するため、NWA会長に2度目の就任を果たします。そして、NWA世界ヘビー級王者のリック・フレアーを独占、同時期にジョージア地区、セントラル・ステーツ地区、フロリダ地区を吸収合併するなど、NWA内での勢力を拡大していきました。その流れの中で、ミッドアトランティックTV王座は1985年3月にNWA世界TV王座と名称を変更。タリー・ブランチャードから王座を奪取したダスティ・ローデスが、NWA世界TV王座の初代王者となりました。

NWA世界選手権となった後は、主にMACWのテレビ番組『ワールド・チャンピオンシップ・レスリング』内でタイトル戦が繰り広げられ、アーン・アンダーソン、リック・スタイナー、ニキタ・コロフらが王者として名を連ねました。しかし、MACWも経営が悪化し、最終的にジム・クロケット・ジュニアはテッド・ターナーに団体を売却することになります。

WCWへの移行と王座の変遷

MACWがテッド・ターナーに売却され、番組名を冠したワールド・チャンピオンシップ・レスリング（WCW）として団体名が改称されてからも、しばらくはNWA世界TV王座の名称が用いられました。スティングやグレート・ムタといった人気レスラーもこの王座を獲得しています。しかし、1991年にWCWはNWAを脱退。MACW時代から引き継いでいた世界ヘビー級王座、世界タッグ王座、USヘビー級王座と共に、TVタイトルの名称もWCW世界TV王座へと変更されました。

WCW世界TV王座は、主に中堅クラスのレスラーによって争われるタイトルとして扱われ、若手時代のスティーブ・オースチンをはじめ、ボビー・イートン、バリー・ウインダム、リッキー・スティムボート、スコット・スタイナー、ポール・オーンドーフ、ロード・スティーブン・リーガル、ラリー・ズビスコ、ジョニー・B・バッド、ダイヤモンド・ダラス・ペイジ、レックス・ルガー、ウルティモ・ドラゴン、アレックス・ライト、ディスコ・インフェルノ、ペリー・サターン、ブッカー・T、リック・マーテル、クリス・ベノワ、デイブ・フィンレイ、クリス・ジェリコ、コナン、リック・スタイナーなど、数多くのレスラーたちがこの王座を巡り激闘を繰り広げました。

王座の終焉

しかし、WCW世界TV王座は、1999年11月29日に当時の王者スコット・ホールによってベルトがゴミ箱に投げ捨てられるという屈辱的な形で一時封印されてしまいます。その後、2000年2月16日にジム・ドゥガンがゴミ箱の中からベルトを発見し、王者として復活を遂げましたが、2000年4月10日にWCW幹部のエリック・ビショフとビンス・ルッソによって全王座が空位となり、再び封印されることとなりました。そして、2001年3月にWCWがビンス・マクマホン率いるWWFに買収されると共に、WCW世界TV王座は完全にその歴史に幕を閉じたのです。

WCW世界TV王座は、その歴史の中で数々の名勝負、そしてドラマを生み出してきました。その栄光と終焉は、プロレスファンにとって忘れられない記憶として刻まれています。

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