アンジェロ・モスカ

アンジェロ・モスカ：フットボールとプロレス、二つの世界を制した男

アンジェロ・モスカ（"King Kong" Angelo Mosca、1937年2月13日 - 2021年11月6日）は、アメリカ合衆国マサチューセッツ州ウォルサム出身の元アメリカンフットボール選手であり、プロレスラーです。

フットボール選手としてのキャリア

ノートルダム大学ではアメリカンフットボールの花形選手として活躍し、NFLドラフトでフィラデルフィア・イーグルスに指名されました。しかし、1958年にカナディアン・フットボール・リーグ（CFL）のハミルトン・タイガーキャッツに入団。CFLでは長きにわたり活躍し、グレイ・カップを4度獲得。その功績が認められ、1987年にはCFL殿堂入りを果たしました。

プロレスラーへの転身

タイガーキャッツ在籍中の1968年、同じくCFL出身のジン・キニスキーの勧めにより、オフシーズンを利用してプロレスラーとしてデビュー。当初はベビーフェイスとして活動し、エドワード・カーペンティアとのタッグなどでキャリアをスタートさせました。1969年には、スチュ・ハートが主宰するカルガリーのスタンピード・レスリングで、アーチー・ゴルディーから北米ヘビー級王座を奪取しています。

1971年には日本プロレスの第13回ワールドリーグ戦に初来日。ジャイアント馬場、アントニオ猪木、大木金太郎には敗れたものの、吉村道明をはじめとする中堅日本人選手からは勝利を収めました。外国人陣営では、ザ・デストロイヤー、アブドーラ・ザ・ブッチャー、キラー・カール・コックスに次ぐ4位の戦績を残しています。

1972年にCFLを引退してプロレスに専念してからは、ヒールのラフ&パワーファイターとして活躍。国際プロレスへの参戦や、サンフランシスコ版USヘビー級王座の奪取、NWAミッドアトランティック地区でのTV王座獲得など、各地でタイトルを獲得しました。また、ビル・ロビンソンやマイク・シャープ・ジュニアからもタイトルを奪取しています。1978年には、ジョージア・チャンピオンシップ・レスリングでスタン・ハンセンとの抗争を繰り広げました。

全日本プロレス参戦と、その後のキャリア

1980年1月には全日本プロレスに参戦し、ブルーザー・ブロディとのタッグチーム "ザ・キングコングス" で、ジャイアント馬場&ジャンボ鶴田のインターナショナル・タッグ王座に挑戦。王座奪取はなりませんでしたが、鶴田から1本先取する意地を見せました。

帰国後は、NWAミッドアトランティック地区の提携団体であるカナダ・オンタリオ州トロントのメイプル・リーフ・レスリングを主戦場とし、ベビーフェイスとしてアイアン・シークとNWAカナディアン・ヘビー級王座を巡る抗争を展開しました。以降、同王座を5回に渡って獲得し、ジミー・スヌーカ、レイ・スティーブンス、マスクド・スーパースターらとも対戦しました。

1981年1月からは、キングコング・モスカのリングネームでWWFに登場。ボブ・バックランドのWWFヘビー級王座に挑戦するも、王座獲得には至りませんでした。アンドレ・ザ・ジャイアントやブルーノ・サンマルチノとのシングルマッチも行っています。

1982年以降は、プエルトリコのWWCやNWAのフロリダ地区などを転戦し、各地でタイトルを獲得。1984年からは、息子のアンジェロ・モスカ・ジュニアとの親子タッグを結成しました。その後、WWFに再登場し、メイプル・リーフ・レスリングのカラー・コメンテーターも務めました。

引退後

1980年代後半にプロレス界から引退後は、オンタリオ州のセントキャサリンズに居住し、不動産業を営む傍ら、ナイアガラ地域におけるCFLの興行にも携わりました。

2021年11月6日、84歳でその生涯を閉じました。

得意技

エルボー・ドロップ
ショルダー・ブロック
ベアハッグ
バックブリーカー
パイルドライバー
ネック・ハンギング・ツリー

獲得タイトル

スタンピード北米ヘビー級王座：1回
NWA USヘビー級王座（サンフランシスコ版）：1回
NWAミッドアトランティックTV王座：2回
NWAカナディアン・ヘビー級王座（トロント版）：5回
NWAブラスナックル王座（トライステート版）：1回
NWAジョージア・ヘビー級王座：1回
NWA南部ヘビー級王座（フロリダ版）：1回
NWAバハマズ・ヘビー級王座：1回
NWAフロリダ・グローバル・タッグ王座：1回（w / ボビー・ダンカン）
AWA大英帝国ヘビー級王座：1回
* WWCカリビアン・ヘビー級王座：1回

アンジェロ・モスカは、アメリカンフットボールとプロレスという、全く異なる二つの分野で成功を収めた稀有な人物でした。その波乱万丈な人生は、多くの人々に感動を与え続けています。

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