タレントゲーム

タレントゲーム：芸能界とゲームの融合史

タレントゲームとは、有名芸能人やタレントをメインキャラクターに据えたコンピュータゲームのジャンルです。漫画やアニメを原作とするゲームと同様に、タレントの知名度を活かした販売戦略が採られることが多く、広い意味ではキャラクターゲームの一種に分類されます。

1980年代：タレントゲームの隆盛と課題

1980年代前半、ファミコンやMSXの普及に伴い、家電メーカー系列のレコード会社がゲーム市場に参入。所属タレントを起用したゲーム開発は、レコード会社にとって新たな収益源となりました。代表例として、「堀ちえみ ストロベリーパズル」や「聖飢魔II 悪魔の逆襲」などが挙げられます。一方、ゲームメーカーが芸能事務所に企画を持ち込み、開発された作品も存在します。「たけしの挑戦状」や「さんまの名探偵」などがその代表例です。しかし、多くの作品ではタレントの知名度に頼り切り、ゲームとしての完成度が低いものが少なくありませんでした。芸能界の流行の移り変わりが激しいことから、発売から数ヶ月で販売が低迷するケースも多く見られました。

1990年代以降：新たな展開と衰退

1990年代に入ると、タレントゲームは「クソゲー」と揶揄されるようになり、ブームは終焉を迎えます。しかし、PCエンジンCD-ROM²の登場や32ビットゲーム機の普及により、ゲームにおける演出技術が向上し、実写を取り込んだり、声優を起用する作品が増加しました。「どきどきON AIR」や「ボイスアイドルマニアックス プールバーストーリー」といった声優を起用した作品も登場しました。しかし、2000年代に入ると、レコード会社がゲーム事業から撤退する傾向が強まり、タレントゲームの数は減少しました。

一方で、パチンコ・パチスロでは、タレントを起用した機種が多数登場し、成功を収めています。特に、『CRフィーバーダウンタウン劇場』以降、多くのタレントを起用した機種が人気を博しました。

2010年代には、スマートフォン向けソーシャルゲームの流行を背景に、タレントゲームが再び注目を集めるようになりました。特に、「野田ゲー」シリーズは、お笑い芸人・野田クリスタルが自ら開発した作品として話題を呼びました。

復刻における課題

近年、レトロゲームの復刻配信が盛んに行われていますが、タレントゲームの復刻は、タレントの肖像権の問題などから非常に困難です。タレントの所属事務所や、過去の事務所、さらにはタレント本人の承諾が必要となるため、権利処理に多大な時間と労力を要します。タレントが芸能界を引退していたり、亡くなっていたり、あるいは不祥事を起こしていた場合は、復刻はほぼ不可能となります。「たけしの挑戦状」のように、権利関係の調整を経て配信された例もありますが、非常に稀です。そのため、中古市場では、希少価値から高値で取引される作品も見られます。

代表的なタレントゲーム一覧

以下に、ジャンル別に代表的なタレントゲームを挙げます。

アクションゲーム
たけしの挑戦状
聖飢魔II 悪魔の逆襲
所さんのまもるもせめるも
カトちゃんケンちゃん
ジャッキー・チェン
ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!! 絶対に捕まってはいけないガースー黒光りランド
HYDE RUN

シューティングゲーム
新人類

対戦型格闘ゲーム
松村邦洋伝 最強の歴史をぬりかえろ!!
ジャッキー・チェン THE KUNG-FU MASTER

アドベンチャーゲーム
さんまの名探偵
中山美穂のトキメキハイスクール
No.Ri.Ko
稲川淳二シリーズ

ロールプレイングゲーム
ラサール石井のチャイルズクエスト
ファンキーファンタジー

ボードゲーム
芹澤八段の詰将棋
谷川浩司の将棋指南シリーズ
羽生名人のおもしろ将棋
井出洋介名人の実戦麻雀シリーズ
所さんのまーまーじゃん!

スポーツゲーム
ハイパーオリンピック殿様版
ジャンボ尾崎のホールインワンシリーズ
中嶋悟F-1ヒーローシリーズ
タイガー・ウッズ PGA TOURシリーズ

音楽ゲーム
STOLEN SONG
Dancing Stageシリーズ
AKB48グループ ついに公式音ゲーでました。

恋愛ゲーム
AKB1/48シリーズ
乃木恋

その他
松本亨の株式必勝学シリーズ
ゴルビーのパイプライン大作戦
ボイスアイドルマニアックス プールバーストーリー
野田ゲーシリーズ

まとめ

タレントゲームは、ゲーム史において独特のジャンルとして存在し、その歴史は芸能界のトレンドと密接に関連しています。権利問題などの課題は残りますが、レトロゲームの復刻や新たなプラットフォームの登場によって、今後も進化を続ける可能性を秘めていると言えるでしょう。

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