京都御苑

京都御苑：歴史と自然が織りなす国民公園

京都御苑は、京都市上京区に位置する環境省所管の国民公園です。寺町通、烏丸通、丸太町通、今出川通に囲まれた広大な区域は、東西約700m、南北約1300m、総面積92ヘクタールに及びます。そのうち65ヘクタールが環境省によって管理されています。江戸時代から残る9ヶ所の外周御門と6ヶ所の切り通しが、往時の面影を今に伝えています。

歴史

京都御苑の歴史は、明治維新後の東京奠都に端を発します。御所を囲んでいた公家屋敷の多くが東京へ移転し荒廃したため、明治天皇の命により緑化整備が行われました。かつて140もあった宮家や公家の邸宅は撤去され、皇宮付属地として整備された後、戦後に国民公園として開放されました。

御苑の中心をなす京都[[御所]]の歴史は、平安時代の土御門内裏にまで遡ります。明徳3年（1392年）に南北朝が合一して以降、明治に至るまで歴代天皇が御所として使用しました。織田信長や豊臣秀吉によって修築・整備が行われ、江戸時代には公家町が形成されました。

宝永5年の大火後には、丸太町通以北の町家区域を整理し、公卿らに分与することで現在の京都御苑の原型が築かれました。明治時代には公家たちが東京へ移住し、御所周辺は再び荒廃しましたが、岩倉具視の建議により保存と整備が進められました。大正天皇の大礼を機に大規模な改修工事が行われ、現在の姿に近いものとなりました。

戦後は厚生省の管理を経て、現在は環境省が管理しています。昭和34年（1959年）には「京都御苑」という町名が新たに設置され、市街地の中でも際立った広さを誇る区画となりました。

見どころ

御苑内には、京都[[御所]]、京都仙洞[[御所]]、京都大宮[[御所]]などの宮内庁関連施設をはじめ、公家屋敷の遺構、環境省京都御苑管理事務所、国民公園協会が管理するグラウンドやテニスコート、休憩所、資料館、レストラン、カフェ、土産店、駐車場などがあります。

自然

500種以上の植物が生息し、約5万本の樹木が植えられています。マツ、ケヤキ、シイ・カシ類、イ[[チョウ]]などのほか、ウメ、モモ、サクラ、サルスベリなどの花木も豊富です。また、スミレやタンポポなどの草花、400種以上のキノコ類も見られます。

野鳥の観測地としても知られ、100種以上の野鳥が確認されています。アオバト、ビンズイ、トラツグミ、ゴイサギなどが代表的です。昆虫類も豊富で、チョウ類55種、トンボ類26種、セミ類8種などが生息しています。

「母と子の森」「トンボ池」「出水の小川」などの自然に親しむための施設も整備されています。「森の文庫」では自然に関する書籍が読め、閑院宮邸跡の収納展示室では自然や歴史について学ぶことができます。

建造物・遺構

京都[[御所]]: かつての天皇の住まい。
京都仙洞[[御所]]: 退位した天皇の御所。
京都大宮[[御所]]: 皇太后の御所。
閑院宮邸跡: 明治時代まで存在した宮家の邸宅跡。収納展示館として公開。
桂宮邸跡: 邸宅の築地塀と表門、勅使門が現存。
猿ヶ辻: 御所の鬼門に位置する、猿の彫刻がある場所。
各公家邸宅跡: 賀陽宮、西園寺、鷹司、有栖川、土御門、近衛、一條などの邸宅跡。
白雲神社: 西園寺家邸宅跡にある神社。
宗像神社: 花山院家邸宅内にあった鎮守社。
縣井: 一条家邸宅跡にある井戸。一条美子（昭憲皇太后）の産湯に使われたと伝えられる。
厳島神社: 九条家の鎮守社。茶室「拾翠亭」が隣接。
二条[[御所]]石垣: 足利将軍の「花の御所」の石垣。
出水の小川: 嘉陽宮家邸宅の庭園遺構。
学習院跡: 公家の教育機関「京都学習院」の跡。
近衛家跡: 近衛池やしだれ桜「近衛桜」が残る。

外周御門

9ヶ所の外周御門（堺町御門、下立売御門、蛤御門、中立売御門、乾御門、今出川御門、石薬師御門、清和院御門、寺町御門）と石垣が、かつての公家町の広さを偲ばせます。

特に蛤御門は、元治元年の蛤御門の変（禁門の変）の舞台となり、現在も銃弾の痕が残っています。

イベント

葵祭: 賀茂御祖神社（下鴨神社）と賀茂別雷神社（上賀茂神社）の例祭。京都御苑の建礼門前大通りが出発地点となります。
時代祭: 平安神宮の例大祭。京都御苑の建礼門前大通りが出発地点となります。

アクセス

京都市営バス
京都市営地下鉄烏丸線：丸太町駅、今出川駅
京阪鴨東線：出町柳駅、神宮丸太町駅

京都御苑は、歴史と自然が調和した、京都市民にとってかけがえのない憩いの場です。散策や花見、バードウォッチングなどを楽しむ人々で賑わっています。

もう一度検索