李厳

李厳（り げん）

李厳（生年不詳 - 234年）は、中国後漢末期から三国時代の蜀漢に仕えた武将・政治家。字は正方。後に李平と改名。

生涯

劉璋への仕官と劉備への降伏

若い頃からその才能を高く評価され、荊州で官吏として活躍。劉表に重用されました。208年、曹操が荊州に侵攻すると、益州へ逃れ劉璋に仕官。成都県令としてその能力を発揮しました。213年、劉備が益州に侵攻すると、李厳は護軍として綿竹で劉備軍を防ぎましたが、後に降伏。劉備から裨将軍に任命され、その才能を認められました。

蜀漢での活躍

劉備が益州を平定すると、犍為太守・興業将軍に任じられ、蜀漢の建国に貢献。諸葛亮らと共に蜀の法律である『蜀科』の制定に尽力し、楊洪を推挙するなど、人材発掘にも才覚を発揮しました。218年には、馬秦・高勝らの反乱を鎮圧し、輔漢将軍に昇進。219年には、孟達と共に申耽を攻撃し、その降伏に貢献しました。

劉備の死と諸葛亮との関係

222年、劉備が夷陵の戦いで大敗すると、李厳は白帝城に呼び寄せられ、尚書令に任命されました。劉備の臨終の際には、諸葛亮と共に劉禅（後主）を補佐するよう遺詔を受け、中都護として軍事を統括、永安に駐屯しました。劉禅の即位後、都郷侯に封じられ、仮節を与えられました。

李厳は諸葛亮に対し、王を称して九錫を受けるよう勧めたことがありましたが、諸葛亮はこれを拒否しています。226年には前将軍に昇進。諸葛亮が北伐のために漢中に本陣を移すと、後方支援を任され、江州に駐屯しました。この頃、かつて魏に降伏した孟達に手紙を送り協力を呼びかけ、諸葛亮も孟達に李厳の働きぶりを賞賛する手紙を送っています。

失脚と晩年

230年、驃騎将軍に昇進。曹真が漢水へ侵攻を試みた際には、諸葛亮の命で2万の兵を率いて漢中に駐屯しました。231年、諸葛亮が北伐（祁山の戦い）を再開すると、李厳は兵糧輸送の任務を担いましたが、長雨による輸送の遅延を理由に撤退を進言。しかし、実際には兵站を嫌って補給を怠っていたとも言われています。撤退後、李厳は責任を逃れるため、諸葛亮が敵を誘うために撤退したと劉禅に讒言しましたが、諸葛亮によってその虚偽が暴かれました。その結果、李厳は免官となり庶民に降格、梓潼郡へ流されました。

失脚後、李厳は諸葛亮が自分を復帰させてくれると期待していましたが、234年に諸葛亮が死去したことを知ると絶望し、病死しました。

評価

陳寿は、李厳を「才幹により栄達し尊重されたが、その行動を観察し品行を辿ってみると、災いを得たのは全て身から出た錆であった」と評しています。また、楊戯の「季漢輔臣賛」では、その晩節を全うできなかったことを厳しく批判しています。

李厳は、蜀漢において諸葛亮に次ぐ地位にあったと考えられており、その才能は高く評価されていました。しかし、その驕慢な性格と責任感の欠如が、最終的に彼の失脚を招いたと言えるでしょう。

三国志演義

小説『三国志演義』では、劉備軍と互角に戦う武将として描かれていますが、諸葛亮の計略によって捕らえられ、降伏する場面が描かれています。

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