みすず (列車)

快速・普通列車「みすず」：信州を繋ぐ列車の歴史と現状

「みすず」は、東海旅客鉄道（JR東海）と東日本旅客鉄道（JR東日本）が、飯田線・中央本線・篠ノ井線・信越本線を経由して飯田駅 - 岡谷駅 - 松本駅・長野駅間を運行する快速・普通列車です。この列車は、長野県内の南信地域と県都長野を結ぶ重要な役割を担っています。

運行概況

2022年3月14日現在、「みすず」は以下の列車が運行しています。

飯田発長野行き: 飯田駅～岡谷駅間は快速「みすず」、岡谷駅～長野駅間は普通「みすず」として運行。
松本発飯田行き: 全区間を快速「みすず」として運行。

過去には、以下のような列車も存在しましたが、2014年3月15日のダイヤ改正で全区間普通列車となり、「みすず」の愛称は使用されなくなりました。

天竜峡発松本行き: 朝の1本が全区間普通列車として運行。岡谷駅～松本駅間のみ「みすず」の愛称が付いていました。
長野発飯田行き: 朝の1本が岡谷駅まで快速「みすず」として、岡谷駅～飯田駅間は愛称のない普通列車として運行。
松本発飯田行き: 日中の1本が岡谷駅まで快速「みすず」として、岡谷駅～飯田駅間は愛称のない普通列車として運行。この列車は、通過駅がみどり湖駅のみでした。

「みすず」は、辰野駅 - 塩尻駅間を、通称「辰野支線」ではなく塩嶺トンネルルートで岡谷駅を経由して運転します。また、岡谷駅でスイッチバックを行います。

使用車両

「みすず」は、すべて電車で運行されています。

現在の車両

211系：JR東日本長野総合車両センター所属

過去の車両

169系：JR東日本長野総合車両所所属。1998年12月改正で115系に置き換えられました。
115系：JR東海静岡車両区所属。2007年3月改正で313系に置き換えられました。
115系：JR東日本長野総合車両センター所属。2014年3月改正で211系に置き換えられました。
313系：JR東海神領車両区所属。2014年3月改正で「みすず」としての運用を終了しました。

かつてJR東海の115系で運行されていた列車は、2007年3月18日のダイヤ改正で313系1700番台に置き換えられ、転換クロスシートを装備した普通列車として運行されていました。この313系は、長野駅まで乗り入れる唯一の運用でしたが、2013年3月16日の改正で松本駅以北への乗り入れはなくなりました。

停車駅

現行ダイヤ（2016年3月26日現在）

快速運転区間の停車駅：
飯田駅 - 〔桜町駅〕 - 〔伊那上郷駅〕 - 元善光寺駅 - 市田駅 - 伊那大島駅 - 上片桐駅 - 七久保駅 - 〔伊那本郷駅〕 - 飯島駅 - 伊那福岡駅 - 小町屋駅 - 駒ケ根駅 - （大田切駅） - 宮田駅 - （赤木駅） - 沢渡駅 - （下島駅） - 伊那市駅 - 伊那北駅 - （田畑駅） - 北殿駅 - 木ノ下駅 - 伊那松島駅 - 沢駅 - 羽場駅 - （伊那新町駅） - 宮木駅 - 辰野駅 - 川岸駅 - 岡谷駅 - みどり湖駅 - 塩尻駅 -（この区間各駅停車）- 松本駅 -（この区間各駅停車） →（長野駅）
（）は長野行きのみ停車、〔〕は飯田行きのみ停車
松本駅～長野駅間は各駅に停車します。

過去のダイヤ（2012年3月17日現在）

快速運転区間の停車駅：
飯田駅 - 元善光寺駅 - 市田駅 - 伊那大島駅 - 上片桐駅 - 七久保駅 - 飯島駅 - 伊那福岡駅 - 小町屋駅 - 駒ケ根駅 - （大田切駅） - 宮田駅 - （赤木駅） - 沢渡駅 - （下島駅） - 伊那市駅 - 伊那北駅 - （田畑駅） - 北殿駅 - 木ノ下駅 - 伊那松島駅 - 沢駅 - 羽場駅 - （伊那新町駅） - 宮木駅 - 辰野駅 - 川岸駅 - 岡谷駅 - 〔みどり湖駅〕 - 塩尻駅 - 広丘駅 - 村井駅 - 〔平田駅〕 - 〔南松本駅〕 - 松本駅 - 田沢駅 - 明科駅 - 西条駅 - 坂北駅 - 聖高原駅 - 冠着駅 - 姨捨駅 - 稲荷山駅 - 篠ノ井駅 - 今井駅 - 川中島駅 - 安茂里駅 - 長野駅
（）は長野行き快速「みすず」のみ停車、〔〕は岡谷方面行き快速「みすず」の一部のみ停車
ダイヤ改正の度に停車駅が増加しました。

沿革

「みすず」のルーツは、長野県内のローカル準急「天竜」に遡ります。気動車が使われていた時代もありましたが、「かもしか」への改称と快速列車への格下げを経て、現在の形になりました。

国鉄時代には、特急への格上げも検討されましたが、スピード面の課題から断念。急行形電車の座席を転換クロスシートに改造し、「新急行」としてテコ入れが図られました。しかし、最終的には全列車が快速「みすず」に格下げされ、老朽化により急行形電車の使用は終了し、現在は近郊形電車で運行されています。

年表

国鉄時代

1961年：新宿駅・長野駅～天竜峡駅に気動車準急列車「天竜」を新設。
1966年：「天竜」が急行列車に昇格。
1968年：「天竜」の新宿駅発着列車を「こまがね」に分離。
1973年：「天竜」の下り1本を電車化。車両は80系。
1973年：「天竜」の全列車が電車化。車両は下り1本が80系、その他は165系。
1975年：長野県内循環運転の気動車急行「すわ」「のべやま」を分割し、小淵沢駅～長野駅間を電車急行「天竜」に変更。
1978年：「天竜」の全列車が165系に。
1983年：塩嶺トンネル開通に伴い、「天竜」の松本駅以南が快速列車化。飯田線発着編成が塩尻駅で分割併合。
1986年：「天竜」を急行列車「かもしか」と快速列車「みすず」に分離。

民営化後

1988年：急行列車「かもしか」を廃止し、快速列車「みすず」に一本化。
1998年：169系から115系へ変更。

2000年代の動き

2004年：1往復を除き飯田線内を各駅停車化。
2007年：朝の飯田行きを全区間各駅停車化。313系も「みすず」に使用開始。
2008年：長野行き1本を全区間各駅停車とし、列車種別も普通列車とする。岡谷駅～長野駅間を各駅停車化。
2009年：朝の上諏訪行き「みすず」を廃止。長野行きを岡谷駅～長野駅間は普通列車とする。

2010年代の動き

2012年：小町屋駅に停車開始。
2013年：1.5往復を松本駅発着とし、長野駅発着列車は上下1往復のみとする。天竜峡行きを飯田行きに見直し。
2014年：「みすず」として運転する列車を飯田発長野行きと松本発飯田行きの1往復に削減。
2016年：快速「みすず」が南松本駅・平田駅に停車開始。JR東日本区間は各駅停車化。


「みすず」は、その歴史の中で様々な変遷を遂げながら、長野県内の人々の足として活躍しています。

関連項目

日本の列車愛称一覧

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