アルマヴィル (アルメニア)

アルマヴィル：古代からの歴史を持つアルメニアの都市

アルマヴィルは、アルメニア西部に位置する都市で、アルマヴィル地方の中心都市です。その歴史は古く、紀元前から様々な文明の影響を受けてきました。ソビエト連邦時代にはホクテンベリアン、オクテンベリアンと呼ばれ、それ以前はサルダラバードなどと名を変えてきました。人口は減少傾向にありますが、豊かな歴史と文化を持つ都市として知られています。

歴史

上世

アルマヴィル地域には、紀元前5000年から6000年ごろには人が居住していました。この時代に作られた黒曜石の石器や青銅器、陶器などが出土しており、古代からの人々の営みが確認できます。紀元前1980年には街並みが建設され、ウラルトゥ王アルギシュティ1世によってArgishtikhiniliという要塞が築かれました。紀元前331年にアケメネス朝からアルメニアが独立すると、アルマヴィルはオロンティド朝の首都として選ばれました。

この地からは、ギルガメシュ叙事詩をエラム語で綴ったアケメネス朝時代の粘土板や、ヘーシオドスやエウリピデスの詩を刻んだコイネーの碑が見つかっています。歴史家モヴセス・ホレナツィは、アルマヴィルがアルメニア王国の最初の首都であったと述べています。紀元前149年ごろには、ヴァガルシャク王がパルティアの植民地を築き、宗教施設を建設したという伝承も残っています。

ティグラネス2世は、クレオパトラ7世への復讐のため、パレスチナに遠征団を派遣し、多くのユダヤ人を捕虜にしてアルマヴィルで開拓に従事させました。その後、ユダヤ人らの開拓地はイェルヴァンダシャトに移りましたが、アルタクシアス1世の時代に再びアルマヴィルに戻りました。紀元360年代には、ペルシャ王シャープール2世がアルタシャトから3万人のアルメニア人とユダヤ人を引き連れて侵攻し、街は破壊されました。

645年にアラブに占領されるまで、アルマヴィルはセレウコス朝、アルサケス朝パルティア、アルメニア王国、ローマ帝国、サーサーン朝、ビザンティン帝国など、様々な勢力の影響を受けました。

中世

アラブによる統治は800年から825年ごろまで続き、9世紀にはサージュ朝、バグラティオニ朝の支配を受けました。1045年にはビザンティン帝国が奪還しましたが、1064年にセルジューク朝に割譲され、セルダラバードと改称されました。セルジューク朝の衰退後は、グルジア、アゼルバイジャンのアタベク、ホラズム・シャー朝の支配を経て、1239年にはモンゴル帝国に占領され、イルハン朝の管轄となりました。その後もチョバン朝、ジャライル朝、黒羊朝と支配勢力が変わり、1400年にはティムール帝国の支配下に入りましたが、すぐに黒羊朝によって奪還されました。

オスマンとペルシャの領地争い

黒羊朝の統治は、1468年に白羊朝のウズン・ハサンが征服するまで続きました。1501年にはサファーヴィー朝のイスマーイール1世がこの地を征服し、その後、オスマン帝国とサファーヴィー朝の間で領有権が争われました。1514年、34年、48年、53年とオスマン帝国が一時的に占拠した後、1585年にアルマヴィルは完全にオスマン帝国の支配下に入りました。1603年にはサファーヴィー朝のアッバース1世が奪還しましたが、その後もオスマン帝国による支配が繰り返されました。

ロシア帝国支配下

1804年から1813年のロシア・ペルシャ戦争を経て、1828年のトルコマーンチャーイ条約により、この地域の支配権はペルシャからロシアに移りました。1840年には、アルメニア州のセラダラバード郡からエレバン県へと行政区画が変更されました。

1917年の革命とアルメニア＝オスマン帝国戦争

1917年の二月革命後、この地域はロシア臨時政府特別ザカフカース委員会、ザカフカース民主連邦共和国の支配下に入りましたが、いずれも短命に終わりました。1918年5月にアルメニア共和国が成立すると、オスマン帝国が侵攻し、戦いが行われました。アルメニア側は辛勝しましたが、オスマン帝国はエレバンを占拠し、バトゥミ条約への署名を強要し、エレバン県の大部分を獲得しました。ムドロス休戦協定によりオスマン帝国陸軍が撤退すると、1918年11月にアルマヴィルはアルメニア共和国に復帰しました。

ソビエト支配下

1920年11月29日、赤軍が侵攻し、アレクサンドロポリ条約によりアルメニアは共産化されました。1935年には、地名が十月革命にちなんでホクテンベリアンと改称されました。アルメニアがソ連からの独立を宣言した2年後、ホクテンベリアンはアルマヴィルへと再び改称されました。

スポーツ

アルマヴィルには、サッカークラブのアラクス・アルマヴィルが本拠地を置いています。

アルマヴィルは、その長い歴史の中で様々な文化が交錯し、豊かな遺産を育んできた都市です。その歴史的背景を理解することで、アルメニアの文化や歴史に対する理解も深まるでしょう。

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