マイケル・シクルナ

バロン・ミケル・シクルナ：世界を舞台に活躍した大型ヒール

1929年7月29日マルタ共和国生まれのマイケル・シクルナは、プロレスラーとして世界的な成功を収めた人物です。リングネームは「バロン・ミケル・シクルナ」。その巨体と圧倒的なパワー、そして巧みなヒールワークで、数々のファンを魅了しました。彼の活躍は、カナダ、アメリカ、日本、オーストラリアと、国境を越えて展開されました。

カナダでのキャリアとWWWFでの活躍

カナダに移住後、1950年代にトロントでプロレスデビュー。当初は「マイク・バレンティノ」名義で活動し、カナダやNWAサンフランシスコ地区で経験を積みました。1960年代半ば、WWWF（後のWWF、現WWE）に移籍すると、リングネームを「バロン・ミケル・シクルナ」に変更。マルタ十字の施されたマントをトレードマークに、大型ヒールとして頭角を現します。ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンでは、ブルーノ・サンマルチノのWWWF世界ヘビー級王座に挑戦。マルタ式バックブリーカーでサンマルチノを追い詰めるなど、その実力をいかんなく発揮しました。また、スマッシャー・スローンとのタッグで、WWWF USタッグ王座も獲得しています。

国際的な活躍：日本、オーストラリア遠征

1967年には日本プロレスに初来日。アントニオ猪木やジャイアント馬場といった日本のトップレスラーと対戦し、その存在感を示しました。1968年にはオーストラリアにも遠征し、ワールド・チャンピオンシップ・レスリングにおいてIWA世界ヘビー級王座とIWA世界タッグ王座を獲得するなど、海外でも成功を収めました。テキサスでは「リッパー・シクナ」として活動し、ジョニー・バレンタイン率いるヒール軍団の一員として、ミル・マスカラスやワフー・マクダニエルらと激しい抗争を繰り広げました。

WWFでの成功：タッグ王座戴冠とキャリア晩年

WWWFに復帰したシクルナは、キャプテン・ルー・アルバーノをマネージャーに迎え、キング・カーティス・イヤウケアとのタッグチーム「キング&バロン」を結成。1972年にはカール・ゴッチ＆レネ・グレイ組からWWWF世界タッグ王座を奪取し、第3代王者となりました。その後もWWFを主戦場とし、国際プロレス、全日本プロレスなどにも参戦。全日本プロレスではチャンピオン・カーニバルにも出場しています。新日本プロレスにも参戦し、MSGシリーズに出場するなど、その活躍は多岐に渡りました。キャリア晩年はベテランレスラーとしてWWFに貢献し、ベビーフェイスのドミニク・デヌーチとのシングルマッチは、忘れがたい名勝負となりました。1976年にはモハメド・アリ対アントニオ猪木戦のプロモーションとして、ゴリラ・モンスーンとの試合にも出場しました。

晩年と功績

1984年に現役を引退後は、ニューヨーク・タイムズのドライバーとして第二の人生を歩みました。しかし、プロレス界への貢献は高く評価され、1996年にはWWF殿堂入りを果たしました。2010年3月20日、癌のため80歳で死去。彼の残した功績は、多くのプロレスファンに長く記憶されることでしょう。

得意技と獲得タイトル

シクルナの得意技は「マルタ式バックブリーカー」。これは変形のカナディアン・バックブリーカーで、相手の脇下から首の部分に両手を回し、自分の頭を相手の背中に押し付けるようにして担ぎ上げる、怪力技でした。ブルーノ・サンマルチノ戦では、この技が反則と判定される場面もありました。

獲得タイトルは、WWWF USタッグ王座、WWWF世界タッグ王座、WWE殿堂入り、NWA世界タッグ王座（サンフランシスコ版）、IWA世界ヘビー級王座（オーストラリア版）、IWA世界タッグ王座（オーストラリア版）など、数々の輝かしい実績を残しました。

バロン・ミケル・シクルナは、その卓越したレスリング技術とカリスマ性で、世界中のプロレスファンを魅了した真のレジェンドです。彼の活躍は、これからも語り継がれていくことでしょう。

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