二上兵治

二上兵治

二上兵治（ふたがみ ひょうじ / へいじ、1878年2月25日 - 1945年11月19日）は、明治から昭和にかけて活躍した日本の官僚、政治家です。法学博士の学位を持ち、枢密院書記官長、行政裁判所長官、貴族院議員、枢密顧問官など、数々の要職を歴任しました。

生い立ちと学歴

二上兵治は、1878年（明治11年）に石川県射水郡高岡縄手中町（現在の富山県高岡市）で、酒造業を営む二上兵太郎の長男として生まれました。富山県尋常中学校（現在の富山県立富山高等学校）、第四高等学校を経て、1904年（明治37年）7月11日に東京帝国大学法科大学法律学科（英法）を首席で卒業しました。その優秀な成績を評価され、銀時計を授与されました。

官僚としてのキャリア

大学卒業後、二上兵治は逓信省に入省しました。同年11月には、文官高等試験行政科試験に合格し、そのキャリアをスタートさせました。

逓信省では、東京郵便局郵便課長、逓信省通信局外信課長、同参事官兼逓信書記官・通信局外信課長、兼大臣官房秘書課長などを歴任し、着実にその地位を築いていきました。1911年（明治44年）には、枢密院に転じ、書記官に就任しました。その後、枢密院議長秘書官も兼任し、1916年（大正5年）10月から1934年（昭和9年）6月まで枢密院書記官長を務めました。

政治家としての活動

1924年（大正13年）1月17日には、貴族院議員に勅選され、1939年（昭和14年）8月28日まで在任しました。1934年6月から1939年（昭和14年）4月までは行政裁判所長官を務め、その後は枢密顧問官として、その生涯を終えるまで職務に励みました。

年譜

1904年（明治37年）7月16日：通信属に任じられ、当分の間、通信局に勤務
1905年（明治38年）
6月24日：通信事務官に任じられ、東京郵便局郵便課長兼軍事郵便課長に就任
12月1日：通信局外信課兼法規課に勤務
1906年（明治39年）
1月16日：通信局外信課長に就任
7月14日：逓信省参事官を兼任
10月20日：逓信省参事官兼逓信書記官・通信局外信課長に就任
1908年（明治41年）
2月12日：英仏独三国への出張を命ぜられ、リスボンで開催された万国電信会議に委員として出席
6月20日：イタリア、オーストリア、ハンガリー、ロシア各国への出張を命ぜられる
1909年（明治42年）2月9日：帰国
1910年（明治43年）
4月1日：大臣官房文書課兼秘書課に勤務
9月3日：大臣官房秘書課長を兼任
1911年（明治44年）6月19日：枢密院書記官に就任
1913年（大正2年）4月15日：枢密院議長秘書官を兼任
1914年（大正3年）
8月29日：高等捕獲審検所事務官を兼任
10月2日：行政裁判所評定官に就任
1915年（大正4年）
3月11日：宮内省御用掛に就任
3月19日：行政裁判所評定官を兼任
1916年（大正5年）
10月13日：枢密院書記官長に就任
11月7日：帝室制度審議会委員に就任
12月1日：文官普通試験委員長に就任
12月6日：高等捕獲審検所検察官に就任
1920年（大正9年）4月27日：法学博士の学位を授与
1922年（大正11年）2月3日：故議定官枢密院議長元帥陸軍大将公爵山縣有朋葬儀委員に就任
1924年（大正13年）
1月17日：貴族院議員に勅選
1月22日：文官高等懲戒委員に就任
3月8日：臨時御歴代史実考査委員会委員に就任
1926年（昭和元年）
12月25日：大喪使事務官に任命
12月30日：長官官房に勤務
1927年（昭和2年）
2月4日：大正天皇霊柩供奉
7月14日：大礼準備委員に任命
12月30日：大礼使参与官・長官官房勤務に就任
1928年（昭和3年）
10月29日：大礼行幸供（大礼使参与官）
10月31日：特に親任官の待遇を受ける
1929年（昭和4年）5月13日：法制審議会委員に就任
1934年（昭和9年）6月15日：行政裁判所長官（親任官）、文官普通分限委員会会長に就任
1939年（昭和14年）
8月26日：枢密顧問官に就任
8月28日：貴族院議員を辞任
11月17日：民法改正調査委員に就任
12月6日：内閣、家事審判制度調査委員会委員に就任
1941年（昭和16年）
5月7日：内閣、文官制度委員会委員に就任
12月17日：高等捕獲審検所評定官に就任

栄典

二上兵治は、その功績により数々の位階と勲章を授与されました。

位階

1905年（明治38年）7月20日：従七位
1907年（明治40年）2月12日：正七位
1909年（明治42年）3月20日：従六位
1911年（明治44年）8月10日：正六位
1913年（大正2年）9月30日：従五位
1914年（大正3年）10月20日：正五位
1919年（大正8年）3月10日：従四位
1924年（大正13年）3月15日：正四位
1928年（昭和3年）11月6日：従三位
1933年（昭和8年）11月15日：正三位
1939年（昭和14年）9月15日：従二位
1945年（昭和20年）11月19日：正二位

勲章等

1906年（明治39年）4月1日：勲六等単光旭日章（明治三十七八年事件の功）
1911年（明治44年）12月26日：勲五等瑞宝章
1914年（大正3年）3月27日：双光旭日章
1915年（大正4年）
11月1日：勲四等授瑞宝章
11月10日：大礼記念章
1916年（大正5年）
4月1日：旭日小綬章（大正三四年事件の功）
大正三四年従軍記章
1919年（大正8年）3月19日：勲三等授瑞宝章
1920年（大正9年）
9月7日：勲二等授瑞宝章（対独平和条約等締結並に大正四年乃至九年事件の功）
大正三年乃至九年戦役従軍記章
1926年（大正15年）10月28日：勲一等授瑞宝章（帝室制度審議会委員及御歴代史実考査委員会委員の功）
1931年（昭和6年）3月20日：帝都復興記念章授与
1934年（昭和9年）4月29日：旭日大綬章（昭和六年乃至九年事変に於ける功）
1940年（昭和15年）8月15日：紀元二千六百年祝典記念章

外国勲章等佩用允許

1909年（明治42年）3月11日：ポルトガル王国：ヴィラ・ヴィソーザ無原罪の聖母騎士団勲章
1912年（明治45年）1月31日：清国：二等第三双竜宝星
1913年（大正2年）1月22日：フランス共和国：レジオンドヌール勲章ジュヴァリエ
1927年（昭和2年）12月15日：フィンランド国：白薔薇勲章グランクロア
1934年（昭和9年）3月1日：満洲国建国功労章
1941年（昭和16年）12月9日：満洲国：建国神廟創建紀念章

親族

娘婿には、湯河元威、林敬三、草鹿浅之介、石坂修一、矢野外生（農林省官吏）がいます。

脚注

参考文献

『貴族院要覧（丙）』昭和21年12月増訂、貴族院事務局、1947年。
衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 貴族院・参議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。
竹内理三ほか編『富山県姓氏家系大辞典 角川日本姓氏歴史人物大辞典16』角川書店、1992年。
『富山大百科事典 下巻』北日本新聞社、1994年。
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
秦郁彦編『日本近現代人物履歴事典』東京大学出版会、2002年。
内閣「故枢密顧問官二上兵治外一名位階追陞の件」 アジア歴史資料センター Ref.A12090709600

外部リンク

* 国立国会図書館 憲政資料室 二上兵治関係文書

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