伴国道

伴国道（とものくにみち）

伴国道（768年 - 828年）は、平安時代初期に活躍した公卿です。父は左少弁の大伴継人であり、官位は従四位上・参議、勲等は勲六等でした。

生涯

神護景雲2年（768年）に生まれた伴国道は、延暦4年（785年）に父・継人が藤原種継暗殺事件に関与したとして処刑されたため、連座して佐渡国へ流罪となりました。しかし、佐渡ではその聡明さと優れた能力が認められ、国守から師友として仰がれ、行政を補佐する重要な役割を担いました。彼は問題解決や公文書作成など、幅広い分野でその才能を発揮したとされています。

延暦22年（803年）には恩赦により平安京に戻り、弘仁2年（811年）には陸奥少掾に任ぜられました。同年に行われた征夷将軍・文室綿麻呂による蝦夷征討にも参画したと考えられています。その後、陸奥権介を経て、弘仁4年（813年）に従五位下に叙爵し、宮内少輔、民部少輔、伊予介などを歴任しました。彼は内官（在朝官人）と外官（地方官）の両方で優れた業績を残し、その能力の高さを証明しました。弘仁10年（819年）には従五位上に昇叙しています。

嵯峨朝末期の弘仁13年（822年）には正五位下・右中弁に抜擢され、翌弘仁14年（823年）には淳和天皇の即位に伴い、従四位下・左中弁へと急速に昇進しました。同年5月には参議兼右大弁に任官し、公卿の仲間入りを果たしました。また、淳和天皇の諱（大伴）を避けるため、大伴宿禰姓から伴宿禰姓へ改姓しました。

天長2年（825年）には従四位上に昇叙すると共に、按察使と武蔵守を兼帯し、東国の地方統治にも携わりました。天長5年（828年）には陸奥按察使として陸奥国に赴任しますが、同年11月12日に赴任先で亡くなりました。享年61歳。最終官位は参議従四位上でした。

官歴

延暦4年（785年）：流罪（佐渡国）
延暦22年（803年）11月15日：恩赦
弘仁2年（811年）正月11日：陸奥少掾
弘仁3年（812年）正月12日：陸奥権介
時期不詳：正六位上
弘仁4年（813年）正月7日：従五位下
弘仁6年（815年）正月12日：宮内少輔
弘仁7年（816年）正月：伊予介
弘仁10年（819年）正月7日：従五位上
弘仁12年（821年）9月26日：民部少輔
弘仁13年（822年）2月：右中弁、10月1日：正五位下
弘仁14年（823年）4月19日：従四位下、左中弁、4月28日：大伴氏から伴氏へ改姓、5月14日：参議兼右大弁
天長2年（825年）正月4日：従四位上、正月11日：兼按察使武蔵守、右大弁勘解由長官如元
天長3年（826年）正月21日：兼相模守、3月3日：兼武蔵守
天長5年（828年）2月：兼陸奥按察使、11月12日：卒去（参議従四位上）

系譜

父：大伴継人
母：不詳

生母不明の子女

男子：伴高道
男子：伴経道
男子：伴安道
男子：伴国清
女子：遍昭妻
五男：伴善男（811-868）
男子：伴国恒
男子：伴河男

参考文献

森田悌『日本後紀 全現代語訳』下巻、講談社〈講談社学術文庫〉、2007年。
森田悌『続日本後紀 全現代語訳』上巻、講談社〈講談社学術文庫〉、2010年。
武田祐吉、佐藤謙三 訳『読み下し 日本三代実録』上巻、戎光祥出版、2009年。
黒板勝美・国史大系編修会 編『公卿補任 第一篇』吉川弘文館〈新訂増補国史大系〉、1982年。
宝賀寿男 編著『古代氏族系譜集成』上中下、古代氏族研究会、1986年。国立国会図書館書誌ID:000001831027。

もう一度検索