女流棋士 (囲碁)

囲碁の女流棋士

囲碁における女流棋士とは、女性のプロ棋士を指します。彼女たちは、男性棋士と同様に男女混合の棋戦に参加する一方で、女性限定の女流棋戦にも出場できます。

制度

日本棋院

日本棋院では、女流棋士は性別に関わらず、ほとんどの棋戦で男性棋士と同じ扱いを受けます。昇段規定も同様です。しかし、女流棋士のみが出場できる女流棋戦も存在します。

棋士採用試験においては、一般採用枠とは別に、女流特別採用枠が設けられています。一般採用枠は男女関係なく受験可能で、過去には複数の女性棋士がこの枠で入段しています。2018年からは、女流棋士の採用を促進するため、女流特別採用推薦棋士制度が導入されました。これは、院生研修で優秀な成績を収めた女性が、師範の推薦によって棋士になれる制度です。また、将来有望な小学生を対象とした英才特別採用推薦棋士制度も存在します。

女流特別採用棋士などは、正棋士と同様に棋戦に出場できますが、給与や対局料で差があります。しかし、一定の段位に昇段すると正棋士と同等の扱いになります。

関西棋院

関西棋院にも、日本棋院と同様の女流特別採用制度があり、外来棋士採用試験での優遇措置もあります。

歴史

江戸時代まで

古代中国では、囲碁は知識階級の男性の遊戯とされていました。日本に伝来後、平安時代には女性のたしなみとなり、古典文学にもその様子が描かれています。しかし、鎌倉時代以降は男性の遊戯という傾向が強まりました。江戸時代には、家元制度の整備とともに、一部の女性棋士が現れました。

大正～昭和時代

喜多文子は、日本棋院設立に貢献し、多くの弟子を育てました。杉内寿子や伊藤友恵など、多くの女流棋士が活躍し、初の女流タイトル戦である女流選手権が設立されました。1970年代からは、小川誠子や小林千寿などが活躍し、女流棋戦の数も増加しました。また、小川はNHK杯囲碁トーナメントで聞き手を務め、解説役の棋士と聞き手の女流棋士というスタイルが定着しました。

平成時代

平成以降は、青木喜久代、小林泉美、加藤啓子、梅沢由香里、謝依旻、万波佳奈、矢代久美子、鈴木歩など、多くの女流棋士が活躍しました。特に謝依旻は、女流三冠を独占するなど、圧倒的な強さを見せました。その後、藤沢里菜が台頭し、謝のタイトルを奪取するなど、女流棋界は戦国時代を迎えました。

令和時代

令和に入ると、上野愛咲美や藤沢里菜が、男女混合棋戦で好成績を収めるなど、女流棋士の活躍が目覚ましいです。特に、上野愛咲美は、最多対局及び最多勝を記録し、女流棋士のレベルが過去最高に達していることを示しました。また、仲邑菫が韓国棋院に移籍するなど、国内外で女流棋士の活躍が注目されています。

女流棋戦

女流棋戦は、女流棋士のみが出場できる棋戦で、数多くのタイトル戦が存在します。

国際棋戦

国際棋戦には、世界各国の女流棋士が参加し、国際的な交流を深めています。

主な女流棋士

日本

明治時代

喜多文子
吉田操子
増淵辰子
伊藤友恵

戦前・戦中の昭和

杉内寿子
本田幸子
楠光子
小林禮子

戦後の昭和

（多数の女流棋士が活躍）

平成・令和

（多数の女流棋士が活躍）

海外

アジア

（多くの女流棋士が活躍）

ヨーロッパ

スベトラーナ・シックシナ
Diana Koszegi
* Mariya Zakharchenko

男女混合棋戦での実績

日本

日本の女流棋士の対男性棋士の勝率は、約3割台と将棋の女流棋士よりも高い傾向にあります。吉原由香里、小林泉美、青木喜久代などは、男性棋士に勝ち越した実績もあります。

七大タイトル戦での優勝やリーグ入りはまだありませんが、藤沢里菜が若鯉戦で優勝、上野愛咲美が竜星戦で準優勝するなど、男女混合棋戦でも目覚ましい活躍を見せています。

また、鈴木歩、謝依旻、上野愛咲美、仲邑菫、藤沢里菜などが棋聖戦Cリーグ入りを果たし、藤沢里菜はCリーグに残留を続けています。

藤沢里菜は名人戦、謝依旻も名人戦の最終予選まで進出しました。

藤沢里菜と上野愛咲美が、それぞれ天元戦で本戦勝利を達成し、上野愛咲美は7大タイトル戦本戦で勝利した2人目の女流棋士となりました。

若手棋戦

杉内寿子、小山栄美、青木喜久代、謝依旻、藤沢里菜、上野愛咲美などが、若手棋戦で優勝や準優勝の成績を収めています。

韓国

芮廼偉が、韓国でタイトルを奪取した初の女流棋士です。崔精は韓国囲碁棋士ランキングで30位以内に入り、国際棋戦で決勝まで進出した実績があります。

仲邑菫が、棋力向上を目的として韓国棋院に移籍し、活躍しています。

まとめ

女流棋士は、囲碁界において重要な存在であり、その活躍は囲碁界全体の発展に大きく貢献しています。今後も、彼女たちの活躍から目が離せません。

もう一度検索