寺澤辰麿

寺澤辰麿

寺澤辰麿（てらざわ たつまろ、1947年2月25日 - ）は、日本の財務官僚です。国税庁長官、横浜銀行頭取、コンコルディア・フィナンシャルグループ社長などを歴任しました。

生い立ちと学歴

島根県出身で、鳥取県立鳥取西高等学校を経て、1971年6月に東京大学法学部第1類（私法コース）を卒業しました。血液型はO型です。

大蔵省入省から主計局時代

1971年7月に大蔵省に入省し、銀行局銀行課に配属されました。その後、大阪国税局調査部、外務省在アルゼンチン大使館勤務を経て、主計局で主計官補佐として予算編成に携わりました。竹下、宮澤、村山の各蔵相秘書官事務取扱も務めました。

1989年6月には主計局主計企画官（財政計画担当）に、1990年7月には主計局主計官兼法規課に、1992年6月には主計局主計官（農林水産担当）に就任しました。

理財局、国税局時代

1994年7月、理財局資金第一課長に異動しました。これは、当時の大蔵次官の評定により、主計局から異動したものでした。その後、理財局総務課長、名古屋国税局長を歴任しました。

主計局復帰とメリハリ予算

1997年7月、主計局次長（次席）として主計局に復帰。1999年7月には主計局次長（筆頭）に昇進しました。この間、効率的な予算配分を重視した「メリハリ予算」を提唱し、緊縮財政路線への転換を主導しました。その結果、自民党からは「景気回復を遅らせた」と批判され、2000年6月に関税局長に異動しました。

寺澤自身は、関税局長への異動を「左遷ではなく、セーフガード問題があったから起用された」と述べていました。

理財局長、国税庁長官

2001年7月には理財局長に就任しました。これは、金融庁の人事異動が影響したものでした。2003年7月には国税庁長官に就任しました。

退官後

2004年7月に財務省を退職し、独立行政法人都市再生機構理事長代理に就任しました。2007年7月には在コロンビア日本国大使館特命全権大使に任命され、2010年10月まで務めました。

2011年6月には横浜銀行頭取に就任し、2015年6月には地銀協会長にも選出されました。2016年4月にはコンコルディア・フィナンシャルグループ社長に就任しましたが、2018年にはグループの会長兼取締役会議長への昇格案が取締役会で否決され、退任しました。その後、横浜銀行特別顧問、日本関税協会横浜支部長、日本テニス協会理事などを務めています。

2020年11月には、瑞宝重光章を受章しました。

略歴

1971年7月：大蔵省入省（銀行局銀行課）
1972年8月：大阪国税局調査部
1974年7月：大臣官房付（外務研修）
1975年5月：外務省在アルゼンチン大使館三等書記官
1975年7月：外務省在アルゼンチン大使館二等書記官
1978年7月：銀行局中小金融課長補佐（信用金庫・信用補完）
1980年7月：主計局法規課長補佐（第六）
1982年6月：主計局主計官補佐（農林水産第三係主査）
1984年6月：主計局主計官補佐（農林水産第一係主査）
1986年6月：竹下大蔵大臣秘書官事務取扱
1986年7月：宮澤大蔵大臣秘書官事務取扱
1988年12月9日：竹下大蔵大臣（首相による兼任）秘書官事務取扱
1988年24日：村山大蔵大臣秘書官事務取扱
1989年6月：主計局主計企画官（財政計画担当）
1990年7月：主計局主計官 兼 法規課
1992年6月：主計局主計官（農林水産担当）
1994年7月：理財局資金第一課長
1995年5月26日：理財局総務課長
1996年7月12日：名古屋国税局長
1997年7月：主計局次長（次席）
1999年7月：主計局次長（筆頭）
2000年6月：関税局長
2001年1月：財務省関税局長
2001年7月：理財局長
2003年7月：国税庁長官
2004年7月：財務省を退職

同期

藤井秀人（日本政策投資銀行副社長、財務事務次官）
福田進（内閣官房副長官補（内政担当）、国税庁長官）
高木祥吉（ゆうちょ銀行初代代表執行役社長、金融庁長官）
吉田和男（京都産業大学教授、京都大学大学院教授）
坂井隆憲（自民党衆議院議員、大蔵省大臣官房企画官）
志賀櫻（弁護士）
村井博美（財務省印刷局長）
吉永國光（東和銀行会長、同行頭取、国際協力事業団理事）
橋本孝伸（国税不服審判所次長）
窪野鎮治（国土交通省政策統括官、財務省印刷局長）
田村義雄（クロアチア大使、環境事務次官）

著書

『ビオレンシアの政治社会史―若き国コロンビアの“悪魔払い” (アジアを見る眼)』アジア経済研究所、2011年。ISBN 978-4258051137
* 『コロンビアの素顔』かまくら春秋社、2016年。ISBN 4774006793

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