星 (囲碁)

囲碁における「星」について

囲碁における「星」とは、碁盤上の特定の9つの交点を指す言葉です。具体的には、碁盤の左上隅から数えて、（4, 4）、（4, 10）、（4, 16）、（10, 4）、（10, 10）、（10, 16）、（16, 4）、（16, 10）、（16, 16）の9箇所を指します。

星の位置と名称

これらの9点には、碁盤上に目印として大きな点が記されているため、「星」という名称が用いられています。通常、単に「星」という場合は、盤上の四隅（4, 4）、（4, 16）、（16, 4）、（16, 16）の4点を指すことが多いです。残りの4点（4, 10）、（10, 4）、（10, 16）、（16, 10）は「辺の星」と呼ばれ、碁盤の中心（10, 10）は特に「天元」と呼ばれます。

また、辺の星から一路下を「星下」、一路横を「星脇」と呼ぶこともあります。

布石における星の役割

星は、布石において隅を占める着点として、小目と並んでよく打たれます。その特徴は、一手で隅を占めつつ、辺へのスピーディーな展開や中央への発展性にも優れている点です。ただし、隅の地には甘く、三々に侵入されると簡単に生きられてしまうという側面もあります。この点を逆手に取り、相手の侵入を誘って厚みを築き、中央での戦いを挑むのが、星打ちの戦略の一つです。

星からのシマリ

星からのシマリには、小ゲイマジマリ、一間ジマリ、大ゲイマジマリなどがあり、状況によって二間、鉄柱、コスミなども打たれます。小ゲイマや大ゲイマにシマっただけでは、隅を完全に確保したとは言えず、三々への侵入などの手段が残ります。さらに一手かけることで完全な地となります。

星へのカカリ

星へのカカリは、小ゲイマガカリが最も一般的です。一間ガカリはやや特殊な手法に属します。黒は右辺を重視するなら、受けを選択し、攻撃を志向するならハサミで打つなどの打ち方があります。また、状況によっては三々打ち込みやツケも有力な手段となります。特に近年では、人工知能の影響で、周囲に石がない段階での三々入りが多用されるようになりました。

星を主体にした布石

星を主体にした布石には、以下のようなものがあります。

二連星・三連星: 一辺の3つの星を占める布石。両隅を占めた場合は「二連星」と呼ばれます。外側からカカってくれば、ハサんで三々入りを促し、中央に大きな模様を築きます。内側に侵入してくれば、重くして攻め立て、主導権を握ります。武宮正樹が愛用した戦法として有名ですが、現代では地に甘いため、打たれることが少なくなってきました。
タスキ星: 対角の星を占める布石です。
中国流: 星、小目、辺の星脇を組み合わせた布石です。三連星に似た意図ですが、やや地に強く、発展性にも優れています。1970年代から流行し、現在でもよく打たれています。
高中国流: 中国流のバリエーションで、羽根泰正が得意としています。相手を戦いに誘う布石です。三連星と同じく地に甘いため、打たれることが少なくなっています。
* オールスター: 黒の三連星に対して白も三連星で対抗したときに発生する形です。「九連星」とも呼ばれます。1990年前後に流行しましたが、現在では黒有利と考えられており、プロの間では打たれなくなっています。

星打ちの歴史

星は置き碁で必ず出てくる着点でありながら、江戸時代には互先の碁で打たれることはほとんどありませんでした。幕末期になって、ようやく本因坊秀和や秀策が白番星打ちを試しています。明治に入ると、本因坊秀栄が白で星打ちを多用し、タスキ星や二連星の棋譜も残されています。

昭和に入り、呉清源・木谷實が打ち出した新布石において、星の価値は大きく見直されました。一手で隅を占め、辺や中央への展開を重視するスタイルに星打ちは最適であり、一躍人気の着点となりました。星を3連打する三連星布石もこの時期に登場しています。

新布石ブームが去った後も、星は隅を占める着点として完全に定着しました。武宮正樹による宇宙流布石、中国流や小林流など星を中心とした布石が次々と開発されています。また近年では、白番の布石として、スピード重視のため二連星が打たれることが多くなっています。

連珠における星

連珠盤（縦横15路）にも星は存在し、左上隅から数えて（4, 4）、（4, 12）、（8, 8）、（12, 4）、（12, 12）の5か所の交点を指します。このうち、連珠盤の中心（8, 8）は、碁盤と同様に「天元」と呼ばれます。

連珠では、初手は必ず天元に打たなければならないというルールがあります。

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