民主党 (韓国 1955-1965)

韓国民主党：激動の時代を駆け抜けた保守政党

1955年から1965年にかけて存在した韓国の政党、民主党は、その短い歴史の中に、韓国政治の激動を濃縮した存在でした。保守政党として、第一共和国時代は野党、第二共和国時代は与党、そして第三共和国時代には再び野党として活動しました。その興亡を通じて、韓国政治史における重要な役割を果たした民主党の軌跡をたどってみましょう。

創党と初期の活動

民主党の創設は、1955年の自由党による憲法改正強行（四捨五入改憲事件）に端を発します。この事件をきっかけに、民主国民党の保守派、自由党からの離党者、そして反李承晩勢力が結集し、1955年9月18日、民主党が誕生しました。

創党時の主要人物には、申翼熙、張勉、趙炳玉、郭尚勲、白南薫といった錚々たる顔ぶれが揃っていました。彼らは、民主主義の発展、自由選挙の実現、自由経済の促進、社会正義の実現、そして民族文化の振興などを掲げ、活動を始めました。しかし、大統領選挙での勝利は逃し、第一共和国時代は野党として李承晩政権に対抗しました。

第二共和国時代の躍進と崩壊

1960年4月19日の四月革命によって李承晩政権が崩壊した後、同年7月に行われた総選挙で、民主党は大勝を収めます。尹潽善が大統領、張勉が国務総理に就任し、民主党は第二共和国の与党となりました。しかし、党内には「旧派」と「新派」の派閥対立が激化し、分裂の危機に瀕します。1960年11月には旧派が新民党を結成、民主党は内部分裂という大きな傷を負いました。

そして、1961年5月16日、朴正熙少将を中心とする軍事クーデター（5・16軍事クーデター）が発生。軍事政権は民主党を解散させました。わずか1年足らずの与党生活は、内紛と軍事クーデターによって幕を閉じました。

再建と統合

1963年、政治活動が解禁されると、民主党は朴順天を総裁として再建されました。しかし、1963年10月の大統領選挙では候補者を擁立せず、旧派系が擁立した尹潽善を支持するという戦略に出ました。翌年の総選挙では、13議席を獲得し、野党第2党の地位を確保しました。その後、「国民の党」を吸収合併し、勢力を拡大します。

そして1965年、野党第一党であった民政党と統合し、「民衆党」を結成。民主党は、その歴史に幕を閉じました。

民主党の遺産

民主党は、短いながらも激動の時代を駆け抜けた政党でした。その歴史は、韓国政治における派閥争いの激しさ、民主主義と軍部の対立、そして政党政治の脆さを改めて私たちに示唆しています。現在の韓国最大野党である共に民主党は、複雑な経緯を経ていますが、その系譜を民主党に求める声もあります。民主党の歴史を理解することは、現代韓国政治を読み解く上で重要な鍵となるでしょう。

参考文献

韓国史事典編纂委員会・金容権編著『朝鮮韓国近現代史事典』日本評論社
金浩鎮著 李健雨訳『韓国政治の研究』三一書房
* 『統一朝鮮年鑑 65-66』統一朝鮮新聞社

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