神岡鉄道神岡線

神岡線：鉱山輸送から観光資源へ

神岡線は、富山県富山市の猪谷駅から岐阜県飛騨市の奥飛騨温泉口駅を結んでいた、神岡鉄道が運営していた鉄道路線です。この路線は、もともと神岡鉱山で産出される亜鉛鉱石の輸送を目的として建設され、1984年に国鉄から第三セクター鉄道として引き継がれました。しかし、鉱山の輸送方法がトラックに切り替わったことで貨物輸送が廃止され、2006年に全線が廃止されました。その歴史と、廃線後のユニークな活用について詳しく見ていきましょう。

概要

神岡線の前身は、国鉄の特定地方交通線である神岡線です。改正鉄道敷設法にも「富山県猪谷ヨリ岐阜県船津ニ至ル鉄道」として記載されていました。鉱山へは、かつて神岡軌道という専用鉄道が通じていましたが、神岡線の開業に伴い廃止されました。高原川沿いの山間部を走る路線で、その大部分がトンネルや橋梁で構成されていたことから「奥飛騨の地下鉄」とも呼ばれていました。

1984年に国鉄から神岡鉄道へ転換後も、鉱山からの硫酸輸送が行われていましたが、鉱山側のトラック輸送への切り替えにより、2004年に貨物輸送が終了しました。これにより収入の大部分を失い、経営が困難になったため、2006年末での廃止が決定されました。一時、経営移譲の動きもありましたが、実現には至りませんでした。

路線データ

神岡線の路線データは以下の通りです。

路線距離：19.9km
軌間：1067mm
駅数：8駅
複線区間：なし（全線単線）
電化区間：なし（全線非電化）
閉塞方式：スタフ閉塞式

線内には交換可能駅が神岡鉱山前駅のみで、2閉塞区間が存在していました。これはスタフ閉塞式としては珍しいケースです。しかし、廃止時点では神岡鉱山前駅での定期列車の交換は行われていませんでした。

運行形態

旅客列車はすべて各駅停車で、ワンマン運転でした。廃止直前には1日に9往復が運行されていましたが、一部は神岡鉱山前駅から奥飛騨温泉口駅までの区間運転でした。国鉄時代には富山駅への直通列車もありましたが、神岡鉄道転換後は線内折り返し運転のみとなりました。また、起点の猪谷駅では、降車時に精算券が渡されていました。

歴史

1959年：神岡町中山トンネル付近で起工式
1966年：国鉄神岡線として猪谷 - 神岡間が開業
1981年：第一次特定地方交通線として廃止承認
1984年：神岡鉄道神岡線として猪谷 - 奥飛騨温泉口間が開業
2006年：全線廃止

輸送・収支実績

（省略）

神岡までの代替交通機関

神岡線廃止後、猪谷駅と神岡町を直接結ぶバスは設定されていませんが、濃飛バスや富山地方鉄道の路線バスを利用して神岡へ行くことが可能です。また、高山駅や飛騨古川駅からも路線バスでアクセスできます。

廃線後の軌道と車両の活用

現在、廃線となった軌道の一部は観光用として保存され、軌道自転車で巡ることができます。また、鉄道車両も動態保存され、運転体験も可能です。かつては観光鉄道としての復活も模索されましたが、実現には至りませんでした。しかし、地元住民グループによる「レールマウンテンバイク」の運行が開始され、人気を集めています。

2016年には、廃線跡を活用した「ロスト・ライン・パーク」構想が始まり、車両の移設も行われました。2020年には、運転体験ができる観光鉄道も実現しました。現在では、「ガッタンゴー」という愛称で、以下の2つのコースが運行されています。

まちなかコース：旧奥飛騨温泉口駅 - 旧神岡鉱山前駅間（往復約6km）
渓谷コース：旧漆山駅 - 二ツ屋間（往復約6.6km）

駅一覧

猪谷駅
飛騨中山駅
茂住駅
漆山駅
神岡鉱山前駅
飛騨神岡駅
神岡大橋駅
奥飛騨温泉口駅

テレビ番組

日経スペシャル ガイアの夜明け 住民の足を守れ〜消えゆくローカル線 再生への闘い〜

脚注

（省略）

参考文献

寺田裕一『私鉄の廃線跡を歩くIII 北陸・上越・近畿編』JTBパブリッシング、2008年5月1日。ISBN 978-4-533-07145-4。

関連項目

日本の廃止[[鉄道路線一覧]]
ガッタン ガッタン それでもゴー

外部リンク

レールマウンテンバイク Gattan Go!! - 神岡・町づくりネットワーク
旧神岡鉄道気動車「おくひだ号」体験運転 - 飛騨市公式観光サイト「飛騨の旅」
動画で見るニッポンみちしる 神岡鉄道 - NHKアーカイブス

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