穂高温泉

長野県安曇野市に広がる穂高温泉郷

標高約760mに位置する穂高温泉郷は、長野県安曇野市に広がる、自然豊かな温泉リゾート地です。中房川と烏川がつくる扇状地「有明原」の扇頂部に位置し、周囲をアカマツの林が囲む静寂な環境の中に、多くの旅館やホテルが建ち並んでいます。

リゾートとしての魅力

穂高温泉郷は、温泉を満喫できるだけでなく、多様なレジャーや文化体験が楽しめる場所としても知られています。温泉付き別荘地をはじめ、美術館やゴルフ場といった文化・スポーツ施設が充実しており、滞在中は様々なアクティビティを楽しむことができます。

歴史にも触れることができるのも魅力の一つです。温泉街周辺には、穂高古墳群や古刹・松尾寺、有明山神社、道祖神といった歴史的建造物や史跡が点在しており、散策しながら悠久の歴史を感じることができます。2016年に開業した「安曇野しゃくなげの湯」は、日帰り温泉施設として人気を集めており、隣接する農産物直売所「Vif穂高」や「八面大王足湯」と共に、地元の賑わいの中心となっています。

温泉の供給

穂高温泉の源泉は、中部山岳国立公園内にある標高1450mの中房地籍に位置する「有明厚生温泉源泉」と「国民宿舎有明荘源泉」の2カ所です。これらの源泉から湧き出した温泉水を、全長85kmにも及ぶパイプラインで温泉街まで運んでいます。

このパイプラインは、断熱性の高いFW管を使用し、さらに保温テープや発泡スチロール、防食テープなどで丁寧に保護されています。標高差700mにも及ぶパイプラインには、6か所の減圧槽が設置され、途中の温度低下を防ぐ工夫が凝らされています。

長峰貯湯槽に貯留された温泉水は、複数の送湯本管を経由して有明地区や西穂高地区などに供給され、個人宅を含む約1500軒に届けられています。供給会社では、常に湯の温度や貯湯量、送湯量を監視しており、配管の補修や更新も計画的に行われています。

温泉の泉質

穂高温泉の泉質は「単純温泉（アルカリ性低張性高温泉）」です。2012年の分析によると、泉温は69.3℃、pHは8.6で、無色透明、無味無臭です。

適応症（浴用）

筋肉若しくは関節の慢性的な痛み又はこわばり（関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期）
運動麻痺における筋肉のこわばり
冷え性、末梢循環障害
胃腸機能の低下
軽症高血圧
耐糖能異常（糖尿病）
軽い高コレステロール血症
軽い喘息又は肺気腫
痔の痛み
自律神経不安定症
ストレスによる諸症状（睡眠障害、うつ状態など）
病後回復期
疲労回復
健康増進
不眠症

禁忌症（浴用）

病気の活動期（特に熱のあるとき）
活動性の結核
進行した悪性腫瘍又は高度の貧血などの身体衰弱の著しい場合
少し動くと息苦しくなるような重い心臓病又は肺の病気
むくみのあるような重い腎臓の病気
消化管出血
目に見える出血があるとき
慢性の病気の急性憎悪期

アクセス

公共交通機関: JR大糸線穂高駅からタクシーで約10分。あづみ野周遊バスや中房温泉行定期バスも利用可能です（季節運行）。
* 自家用自動車: 長野自動車道安曇野ICから約20分。北陸自動車道糸魚川ICから約1時間40分。

中房温泉との関係

穂高温泉は、中房地籍（中房渓谷）から引湯した温泉を使用していますが、近隣の中房温泉とは明確に区別されています。穂高温泉供給株式会社では、顧客に対し両温泉の混同を避けるよう注意を促しています。一方、中房温泉側も商標登録を行い、自らの温泉への便乗行為に対して強い姿勢を見せています。

穂高温泉郷は、自然と歴史、そして豊かな温泉が一体となった、魅力あふれる温泉リゾート地です。安曇野を訪れる際には、ぜひ足を運んでみてください。

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