逆機

逆機（ぎゃくき）とは

逆機は、機関車の向きが通常とは異なる状態で運行されることを指し、特に片運転台の機関車（蒸気機関車など）が転車台やデルタ線なしで列車を牽引または推進する際に用いられます。この運転方式は、「バック運転」とも言われます。

概要

逆機は、主にタンク機関車のように後方に窓がある機関車や、特定のテンダー機関車で行われてきました。タンク機関車やガーラット式機関車は炭水車を持たないため、逆機での運転が簡便です。一方、テンダー機関車は炭水車があるため、急制動時に座屈脱線のリスクが伴ったり、最高速度が制限される問題があります。

例えば、ドイツのプロイセン邦有鉄道のP8型蒸気機関車は、正方向では最高速度100 km/hでしたが、逆機時には速度が50 km/hに制限される事例がありました。このように、逆機での運転は機関車の種類によって難易度が異なります。

日本においても、JR西日本が運行していたC56-160では、「SLシーサイド号」「SL飛騨路号」「SLときめき号」「SL北びわこ号」「SL江の川号」など、逆機で運行するシーンが多々見られました。

逆機で運行される列車

現在の列車

• - SL冬の湿原号: 標茶駅には転車台がないため、釧路駅行きの下り列車は逆機で運行されています。

過去の列車

• - SLニセコ号: 蘭越駅に転車台がないため、札幌駅への行き下り列車は逆機での運転が行われました。
• - SL函館大沼号: 森駅に転車台がないため、函館駅へ向かう上り列車で逆機が使われました。
• - SLえちご阿賀野号: 1996年の運行時に、津川駅発新津駅行きの上り列車が逆機で運行されたケースがあります。
• - SLもおか: 1994年の運行開始当初から、茂木駅と下館駅間でも逆機による運行が行われました。
• - SLパレオエクスプレス: 2019年6月の不具合時に電気機関車に牽引される逆機運行が行われました。
• - かわね路号・南アルプス号: 過去には新金谷駅に転車台が設置される前まで、逆機での運行がありました。
• - SLシーサイド号: 氷見駅では同様に転車台がないため、逆機運行が行われました。
• - SL飛騨路号: 飛騨古川駅に転車台がないため、逆機での運行が必要でした。
• - SLときめき号: 穴水駅との間での逆機運行が行われました。
• - SL北びわこ号: 木ノ本駅から米原駅行きの上り列車も逆機での運行がありました。
• - SL江の川号: 石見川本駅や口羽駅に転車台がないため、逆機で運行されることがありました。

その他の運行例

• - 倉吉線では、C11形蒸気機関車が逆機で運行され、交換駅での機回しが必要でした。
• - 上山田線では、テンダー機関車による旅客列車が逆機で行われました。
• - SL豊の国号: 三重町駅発大分駅行きの下り列車も逆機で運行されました。
• - さくら: 特急列車として唯一、早岐駅 - 佐世保駅間での逆機運行が行われました。

結論

逆機運転は、機関車の特性や運行条件に応じてさまざまな方法で実施され、多くの列車に取り入れられています。この運転方式は、歴史的背景や機関車の仕様に深く根ざした特徴を持つ、興味深い運行形態だと言えます。

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