阿倍宿奈麻呂

阿倍宿奈麻呂（あべ の すくなまろ）

阿倍宿奈麻呂は、飛鳥時代の後期から奈良時代の初期にかけて活躍した日本の公卿です。名は少麻呂とも表記され、筑紫大宰帥の阿倍比羅夫を父に持つ重要な政治家でした。彼の官位は正三位・大納言であり、彼の経歴とその影響力は、当時の日本の政治において非常に大きなものでした。

経歴

彼の経歴は持統天皇7年（693年）に始まります。この年、彼は直大肆に任命され、食封50戸を与えられました。大宝元年（701年）には、大宝律令の制定に伴う位階制の施行により、従五位上に昇進しました。翌年の大宝2年（702年）、持統上皇の死去時には造大殿垣司を務め、その後、従四位下に昇叙されました。

慶雲元年（704年）、宿奈麻呂は引田朝臣から阿倍朝臣に改姓しました。この年、前任者の右大臣・阿倍御主人の死去により、彼が阿倍氏の氏上となったとも考えられます。慶雲2年（705年）には中納言に任命され、参議を経ずに中納言になる初の事例となりました。慶雲4年（707年）には、文武天皇の崩御時に造御竈司を担当しました。

和銅元年（708年）の元明天皇の即位にあたって、宿奈麻呂は再び中納言に任命され、同年7月の昇進により正四位上に叙されました。この年の9月には平城京の造営担当者として任命され、平城京における重要な建造事業を担いました。和銅2年（709年）には従三位に昇叙され、その後の和銅5年（712年）には、自身と同族の引田氏の者たちが阿倍氏に改姓することを許可されています。

元正朝の霊亀3年（717年）には正三位に昇進し、同年には阿倍他田朝臣への改姓も許されています。養老2年（718年）には大納言にまで昇進しましたが、養老4年（720年）に薨去し、最終的な官位は大納言正三位でした。

人物

阿倍宿奈麻呂は算術に優れ、藤原仲麻呂に算術を教授したとされ、またその算術のスキルを活かして、数多くの造営官司の任務についたと考えられています。彼の多才さは、当時の日本の行政や文化においても大きな影響を及ぼし、彼の名前は歴史に刻まれました。

官歴

彼の官歴は多岐に渡ります。直広肆から始まり、その後直大肆や中納言、正四位上、最終的には大納言に至るまで、彼は多くの重要な役職を歴任しました。彼の足跡は『続日本紀』等の歴史書にも記録されており、当時の政治の中での彼の存在感を物語っています。

系譜

宿奈麻呂の家系は彼の父、阿倍比羅夫に由来し、彼には男子として阿倍駿河、阿倍子島、阿倍毛人などがいました。これらの家系は阿倍氏の歴史の一部となっています。

阿倍宿奈麻呂が登場する作品

彼に関しては、安部龍太郎による小説『平城京』にも登場し、文学作品を通じてもその存在は語り継がれています。

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