阿児町安乗

三重県志摩市阿児町安乗について

阿児町安乗（あごちょうあのり）は、三重県志摩市に位置する地域で、古くから漁業が盛んな場所として知られています。特に「あのりふぐ」は、その美味しさから全国的に有名です。また、安乗には安土桃山時代から続く伝統芸能「安乗の人形芝居」（安乗文楽）が受け継がれており、国の重要無形民俗文化財に指定されています。

地理

安乗は志摩半島の東端に位置し、三方を海に囲まれた地形が特徴です。西には的矢湾が広がり、北から東にかけては太平洋に面しています。集落は、安乗崎の先端から少し離れた的矢湾の岸にあり、漁港を中心に形成されています。耕地は少ないものの、豊かな漁場に恵まれ、漁業がこの地の主要な産業となっています。また、安乗崎は、赤土の断崖が続く景勝地であり、江戸時代には灯明台が設置されていました。

歴史

安乗の歴史は古く、弥生時代の遺物や古墳群が発見されており、古代から人々が生活していたことがわかります。平安時代には「畔乗御厨」という内膳司領であり、伊勢神宮との間で訴訟があった記録も残っています。中世には廻船の寄港地として栄え、戦国時代には畔乗城が築かれましたが、後に廃城となりました。江戸時代には鳥羽藩の配下に置かれ、安乗港は志州四箇津の一つとして多くの船で賑わいました。しかし、沖合には暗礁が多かったため、難破も頻発しました。そのため、安乗灯明台が設置され、航海の安全が図られました。

産業

安乗は、古くから漁業が盛んな地域であり、特にトラフグ（あのりふぐ）は地域ブランドとして有名です。その他にも、クルマエビ、アジ、サバ、イサキ、イセエビ、ヒラメなど、季節に応じて様々な魚介類が水揚げされます。また、的矢湾では真珠やアオノリの養殖も行われています。近年では、漁業に加えて観光業も重要な産業となっています。安乗崎灯台や安乗文楽などの観光資源を活用し、多くの観光客が訪れるようになりました。

文化

安乗では、伝統的な漁村文化が色濃く残っています。特に、安乗の人形芝居（安乗文楽）は、安土桃山時代から続く伝統芸能で、国の重要無形民俗文化財に指定されています。毎年9月には安乗神社祭が開催され、境内で人形芝居が奉納されます。また、安乗の人々は、地域内の結束が強く、互いに助け合って生活しています。かつては、ほとんどの住民が漁業に従事し、男性は漁師、女性は海女になるのが一般的でした。

近代以降

明治時代に入ると、安乗崎に灯台が設置され、本格的な灯台が供用開始されました。その後、安乗村は村営の酒屋を営んだり、社会生活を規定する文書を作成するなど、独自の村づくりを進めました。昭和の大合併により阿児町の一部となり、現在では志摩市の一部となっています。近年では、漁業の後退や高齢化が進んでいますが、地域を活性化させるために、様々な取り組みが行われています。

安乗漁港

安乗漁港は、三重県営の第3種漁港として、漁業の重要な拠点となっています。定置網、刺し網、海女による潜水など、様々な漁法が用いられ、豊富な水産資源が水揚げされます。安乗漁港は、その美しい景観も評価されており、調査によると漁港の美観に関する面接調査で最も好感度が高いという結果も出ています。

交通

安乗には鉄道は通っていません。最寄りの駅は、近[[鉄志摩線]]鵜方駅で、路線バスで約25分です。安乗と志摩市街地を結ぶ県道514号線は、整備が進められています。

観光

安乗は、安乗崎灯台や安乗文楽などの観光資源に恵まれており、多くの観光客が訪れます。特に、安乗埼[[灯台]]は一般公開されており、周辺の景観も楽しめます。また、地域活性化のため、漁協青年部と旅館組合青年部が協力して、釣り大会などのイベントも開催しています。

参考文献

阿児町史編纂委員会 編『新版 阿児町史』阿児町、平成12年3月15日
磯部郷土史刊行会 編『磯部郷土史』磯部郷土史刊行会、昭和38年5月10日
「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典 24 三重県』角川書店、1983年6月8日
中村精貮『志摩の地名の話』伊勢[[志摩国立公園]]協会、1951年11月3日

関連情報

日本の漁港一覧#三重県
伊勢[[志摩国立公園]]
三重県の廃止市町村一覧

外部リンク

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典『安乗』 - コトバンク
安乗岬 - 観光三重（三重県観光連盟）
あのりふぐ協議会

安乗は、豊かな自然と歴史、文化が調和した魅力的な地域です。漁業と観光を両立させながら、地域を活性化させる取り組みが続けられています。

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