高階泰経

高階泰経（たかしな の やすつね）

高階泰経は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活躍した公卿です。若狭守・高階泰重の子として生まれ、後白河法皇の側近として朝廷で重要な役割を果たしました。

生涯

仁平元年（1151年）に近衛天皇の六位蔵人に任じられたのを皮切りに、久寿2年（1155年）には検非違使や左衛門少尉を兼任。後白河天皇の即位後も引き続き蔵人を務め、その側近として仕えました。同年には従五位下に叙爵し、以降、河内守、出羽守、摂津守といった地方官を歴任しました。

永万元年（1165年）に二条天皇が崩御し、六条天皇が即位すると、泰経は少納言として京官に復帰。仁安2年（1167年）には正五位下、承安元年（1171年）には従四位下へと順調に昇進しました。その後も右京大夫、伊予守、大蔵卿といった要職を歴任する一方で、後白河院の近臣として武家との折衝を担当し、院からの寵愛を受けました。しかし、治承・寿永の乱が起こると、政権の中枢にいた泰経もその影響を受け、治承3年（1179年）の平清盛による後白河院幽閉事件（治承三年の政変）で一時解官されました。

寿永2年（1183年）には従三位に叙せられ公卿に列しましたが、同年11月の木曾義仲による後白河院幽閉事件（法住寺合戦）で再び解官。元暦元年（1184年）に義仲が討たれると復帰しました。文治元年（1185年）には源義経・行家の謀反に関与した疑いを源頼朝からかけられ、子息の高階経仲と共に伊豆国へ流罪となりました。

文治5年（1189年）に赦免され再出仕を許されると、建久2年（1191年）には正三位に至りました。建久8年（1197年）に出家し、建仁元年（1201年）に72歳で亡くなりました。

「日本一の大天狗」

源頼朝が泰経に宛てた書状に「日本第一の大天狗は余人の事に非ず候か」という表現があり、これが誰を指しているのか長年議論されてきました。従来は後白河院を批判した言葉として解釈されてきましたが、近年では泰経自身を指しているのではないかという説も浮上しています。この問題については、研究者間で様々な意見が出ており、未だ決着を見ていません。

官歴

時期不詳：文章生
久安6年（1150年） 2月27日：非蔵人
仁平元年（1151年） 9月28日：六位蔵人
久寿2年（1155年） 10月23日：従五位下
久寿3年（1156年） 正月27日：河内守
保元3年（1158年） 5月6日：出羽守
応保元年（1161年） 9月13日：摂津守
永万2年（1166年） 4月28日：少納言
仁安2年（1167年） 4月28日：正五位下
承安元年（1171年） 12月28日：従四位下
承安5年（1175年） 4月7日：正四位下
安元元年（1175年） 12月8日：右京大夫
治承2年（1178年） 11月24日：大蔵卿
寿永2年（1183年） 2月21日：従三位
元暦元年（1184年） 3月27日：大蔵卿
文治元年（1185年） 正月20日：備後権守
建久2年（1191年） 12月13日：正三位
建久8年（1197年） 9月6日：出家
建仁元年（1201年） 11月23日：薨去

家族

父：高階泰重
母：藤原宗兼の娘
妻：藤原行広の娘
長男：高階経仲

登場作品

映画『源九郎義経』（1962年、演：菅貫太郎）
テレビドラマ『草燃える』（1979年、演：伊藤正博、柳生博）

参考文献

『大日本史料』
『国史大辞典』
『日本史大事典』
『公卿人名大事典』
『朝日日本歴史人物事典』
* 『公卿補任 第一篇』

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