1960年代の建築

1960年代の建築：モダニズムの深化と多様化

1960年代は、日本の建築界においてモダニズムが成熟し、多様な表現が試みられた時代でした。戦後の復興期を経て、高度経済成長を背景に、公共施設、文化施設、商業施設など、様々な用途の建築物が建設されました。

日本の主要作品

この時代を代表する建築家としては、前川國男、丹下健三、村野藤吾らが挙げられます。彼らは、モダニズムを基調としながらも、それぞれの個性的な表現を追求しました。

京都会館 (1960年、前川國男)：モダニズム建築の代表作であり、大規模な空間構成が特徴です。
東京文化会館 (1961年、前川國男)：音楽ホールとしての機能性と、重厚感のある外観が印象的です。
日比谷電電ビル (1961年、国方秀男)：機能性とデザイン性を兼ね備えたオフィスビルです。
横浜マリンタワー (1961年、清水建設 設計部)：港町のシンボルとして、特徴的なフォルムが目を引きます。
アテネフランセ (1962年、吉阪隆正)：独特な幾何学的なデザインが特徴的な学校建築です。
日本二十六聖人記念館 (1962年、今井兼次)：宗教的な空間構成と、素材の使い方が特徴的です。
出雲大社庁の舎 (1963年、菊竹清訓)：伝統的な建築様式を取り入れつつ、現代的なデザインを融合させた作品です。
新喜楽 (1940-1963年、吉田五十八)：数寄屋造りの粋を集めた料亭建築です。
神戸ポートタワー (1963年、伊藤紘一・仲威雄)：独特なフォルムのタワーで、港町のランドマークとなっています。
京都タワー (1963年、山田守)：観光客に親しまれる、斬新なデザインのタワーです。
日本生命日比谷ビル（日生劇場） (1963年、村野藤吾)：劇場としての機能性と、美しいデザインが融合しています。
大阪カテドラル聖マリア大聖堂 (1963年、長谷部鋭吉)：壮大な空間構成と、ステンドグラスが美しい教会建築です。
東京カテドラル聖マリア大聖堂 (1964年、丹下健三)： 幾何学的なデザインと、力強いコンクリートの造形が特徴的な教会建築です。
国立代々木競技場 (1964年、丹下健三)：オリンピックのために建設された、斬新なデザインの体育館です。
日本武道館 (1964年、山田守)： 武道の聖地として、荘厳な雰囲気が特徴的な建築です。
博多ポートタワー (1964年、内藤多仲)：港町のランドマークとして、独自の形状が印象的です。
ホテルエンパイア (1965年、大林組)：当時としては珍しい高層ホテルとして建設されました。
ソニービル (1966年、芦原義信)：銀座のランドマークとして、デザイン性の高い商業ビルです。
パレスサイドビル (1966年、林昌二)：オフィスビルとしての機能性と、洗練されたデザインが特徴です。
塔の家 (1966年、東孝光)：狭小住宅の可能性を追求した、個性的な住宅建築です。
埼玉会館 (1966年、前川國男)：モダニズム建築の代表作であり、地域文化の拠点としての役割を担っています。
大分県立図書館 (1967年、磯崎新)：図書館としての機能性と、現代的なデザインが融合しています。
親和銀行本店 (1967年、白井晟一)：重厚感のある外観と、独特な空間構成が特徴的な銀行建築です。
霞が関ビルディング (1968年、山下寿郎)：日本初の超高層ビルとして建設され、当時の建築技術の粋を集めた作品です。
ヒルサイドテラス (1969年-、槇文彦)： 集合住宅と商業施設が一体となった複合施設であり、街並みと調和したデザインが特徴です。
東京国立近代美術館 (1969年、谷口吉郎)：美術館としての機能性と、落ち着いたデザインが特徴的な建築です。

海外の主要作品

1960年代には、海外でも数多くの著名な建築物が誕生しました。これらの建築は、日本の建築にも大きな影響を与えました。

コンペ・受賞

1960年代には、多くの建築設計競技が開催され、建築家の才能を競い合いました。これらのコンペは、新しい建築デザインの潮流を生み出す原動力となりました。

福岡県文化センター設計競技（1960年）
練馬区庁舎設計競技（1962年）
ボストン シティ ホール（1962年）
日本武道館（1963年）
建築会館（1963年）
京都国際会館（1963年）
国立劇場（1963年）
チュニジア・チェニス都市計画国際オープンコンペティション(1960年)
ブラジャ・ヒロン戦勝記念碑計画国際オープンコンペティション(1963年)
ベルリン自由大学国際競技設計（1963年）
チューリッヒ新劇場の建築設計競技（1963年）
浪速芸術大学競技設計（1964年）
国立国際会館設計競技（1964年）
最高裁判所庁舎 (1968年)
アムステルダム市庁舎 (1967年)
国連住宅供給コンペティション（マニラ・ペルー 1969年）

まとめ

1960年代の建築は、モダニズムを基調としつつも、多様な表現が試みられた時代でした。建築家たちは、それぞれの個性を発揮し、数多くの名建築を生み出しました。これらの建築物は、現代の建築にも大きな影響を与えています。この時代の建築を振り返ることは、日本の建築史を理解する上で非常に重要です。

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