CDMA 1X WIN

CDMA 1X WINとは

CDMA 1X WIN（シーディーエムエー ワンエックス ウィン）は、KDDIおよび沖縄セルラー電話がauブランドで展開していた第3.5世代移動通信システムです。通称「WIN」として知られていました。2003年11月28日にサービスを開始し、auの主力サービスとして利用されましたが、4G LTEの普及に伴い、2022年3月31日にサービスを終了しました。

概要

CDMA 1X WINは、従来のCDMA 1Xに代わる高速データ通信サービスとして登場しました。データ通信にはCDMA2000 1x EV-DO Rel.0方式を採用し、下り最大2.4Mbpsの通信速度を実現しました。その後、Rev.A方式で最大3.1Mbps、MC-Rev.A方式で最大9.3Mbpsに速度が向上しました。

このサービスの特徴は、携帯電話で初めてパケット定額制を導入した点です。これにより、ユーザーはデータ通信量を気にせず、様々なコンテンツを楽しむことができるようになりました。定額・高速というメリットを活かし、「EZ着うたフル」などの音楽ダウンロードサービスや、「EZチャンネル」などの動画コンテンツ、高速アプリケーション「EZアプリ(BREW)」などが提供されました。

サービス開始当初はCDMA 1Xが主流でしたが、2005年春以降はWINがauの主力サービスとなりました。WIN端末はCDMA2000 1xMC方式のエリアでも利用可能で、音声通話と下り最大144Kbpsのデータ通信が可能でした。また、N800MHz帯を主体に利用していた点も特徴です。

総務省による電波周波数再編に伴い、2GHz帯も利用するようになりましたが、2012年7月22日にはau ICカード非対応機種のサービスを終了しました。その後、LTEサービス「au 4G LTE」が開始されたため、CDMA 1X WINは「au 3G」に名称を変更し、一部のサービスを除き利用されなくなりました。

対応機種の開発も2015年に終了し、2018年11月7日をもって新規受付を終了、2022年3月31日にサービスを完全終了しました。

沿革

2003年04月30日：2GHz帯での1xEV-DO Rel.0によるデータ通信試験サービスを開始。
2003年11月28日：CDMA 1X WINサービス開始。
2004年08月01日：EZフラットをダブル定額に変更。
2005年05月01日：パケット割WINをダブル定額ライトに変更。
2005年11月01日：基本料金を改定。
2006年12月13日：1xEV-DO Rev.Aによるデータ通信サービスを開始。
2009年11月09日：無料通話なし、Eメール無料の料金プラン「プランE」を追加。
2010年08月08日：au ICカード非対応機種の新規申込受付を終了。
2010年11月05日：1xEV-DO MC-Rev.Aによる「WIN HIGH SPEED」データ通信サービスを開始。
2011年09月28日：無料通話なし、au宛通話が定額制の料金プラン「プランZシンプル」を追加。
2012年07月22日：L800MHz帯によるCDMA 1X WINサービスを終了。
2012年11月02日：CDMA 1Xと統合され、au 3Gのサービス名となる。
2018年07月20日：同年11月07日をもって新規契約を終了する旨を発表。
2018年11月16日：本サービスを2022年3月末に終了する旨を発表。
2022年03月31日：サービス完全終了。

WIN開始の背景

KDDIは、NTTドコモに次いでCDMA 1Xを開始しましたが、最大通信速度が144Kbpsに制限されており、大容量データの配信にはさらなる高速化が必要でした。また、データ通信の需要増加に伴い、定額制サービスへの要望も高まっていました。これらの背景から、KDDIは日本初の第3.5世代携帯電話サービスであるCDMA 1X WINを開始しました。

WINという名称は「We Innovate the Next」の略であり、また、キャリア、ユーザー、コンテンツプロバイダ、端末メーカーなど、関係者全員が利益を得られる「WIN-WIN」の関係を築き、競合他社に「WIN（勝利する）」という複数の意味が込められています。

課金体系

CDMA 1X WINの課金体系は全国共通となり、パケット通信料金は値下げされましたが、通話料金は実質値上げとなりました。ソフトバンクモバイルの「料金戦争」により、他社との差は縮小しました。

料金プランは無料通話分が付与されるプランがあり、無料通話分を使い切ると利用料金が加算される仕組みでした。

料金プラン

プランSS：ドコモと同一のプラン。
プランS：ドコモより基本使用料が高いが、通話料単価が低い。
プランM以上：無料通話分が多い。
プランW、プランZシンプル：au宛の音声通話定額制、Cメール無料。

「家族割」と「誰でも割」の加入で家族間通話は24時間無料。「指定通話定額（指定3件分）」の24時間通話無料も併用可能でした。

パケット通信料金

パケット通信料金は、プランによって異なり、以下の通りです。

プランE以外で割引なし：0.21円/パケット
プランE：0.105円/パケット。国内でEZ WINを利用するEメールは無料。
ダブル定額スーパーライト：0.105円/パケット
ダブル定額ライト：0.084円/パケット
ダブル定額：0.0525円/パケット
パケット割WINミドル：0.02625円/パケット
パケット割WINスーパー：0.01575円/パケット
ISフラット：パケット通信料の概念なし

端末

携帯電話型端末

CDMA 1X WINに対応した携帯電話端末は、2003年から2008年と2009年から2015年で型番のルールが異なります。

型番法則（2003年 - 2008年）

型番は「Wynm」の形式で、yはWIN開始からの年数、nはメーカーがその年に発売した端末の番号、mはメーカー識別用のアルファベットを表します。

型番法則（2009年 - 2015年）

型番は「ms0n」の形式で、mはメーカー名、sはシリーズ名、0nはメーカーが何番目に発売した機種かを示します。数字部分は年度が変わってもリセットされずに増えていきます。また、2013年夏モデル以降より、スマートフォンやフィーチャーフォン等のau端末は製造型番に「CDMA xxDyy」「CDMA xxLyy」等と表記しなくてもよい新ルールに変更となりました。

端末シリーズ

x000シリーズ：通常端末
Y00シリーズ：スマートフォンを含む特定機能特化型端末
Y20シリーズ：au 4G LTE対応特定ユーザー特化型スマートフォン
Lシリーズ：au 4G LTE対応スマートフォン
Tシリーズ：au 4G LTE対応タブレット
Fシリーズ：au 4G LTE対応フィーチャーフォン
iidaシリーズ（X00/X20シリーズ）：デザイン特化型端末
IS00シリーズ：個人向けスマートフォン/スマートブック
IS00xシリーズ：スマートフォン
EIS00xシリーズ：法人向けスマートフォン
ISW00xシリーズ：+[[WiMAX]]搭載スマートフォン
TBi00xシリーズ：タブレット型端末（Wi-Fi通信専用）
ETBW00xシリーズ：+[[WiMAX]]搭載法人向けタブレット型端末
DATA00/DATA00Wシリーズ：CDMA非携帯電話型端末
SP00シリーズ：CDMA通信モジュール内蔵デジタルフォトフレーム・電子書籍端末
P00シリーズ：非発売の試作用端末

脚注

[1] : 例外として、試作機であるP01などのように、市販されていない端末にも型番が与えられている場合がある。

関連項目

WIN HIGH SPEED
au (携帯電話)
CDMA 1X
CDMAぷりペイド
ECナビケータイ

外部リンク

au
ITMedia cdma2000 1xEVはなぜ安い？

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