STS-37

STS-37ミッション：コンプトンガンマ線観測衛星展開と宇宙遊泳

STS-37は、1991年4月にスペースシャトル・アトランティスによって実施された8回目のミッションです。このミッションの主な目的は、グレートオブザバトリー計画の一環であるコンプトンガンマ線観測衛星（CGRO）の展開でした。さらに、1985年以来となる2回の宇宙遊泳が実施され、そのうち1回は緊急対応として行われました。

乗組員

STS-37には、以下の5名の宇宙飛行士が搭乗しました。

船長： スティーブン・ネーゲル (3回目)
操縦士： ケネス・D・キャメロン (1回目)
ミッションスペシャリスト1： リンダ・ゴドウィン (1回目)
ミッションスペシャリスト2： ジェリー・ロス (3回目)
ミッションスペシャリスト3： ジェローム・アプト (1回目)

打上げと準備

STS-37は、1991年4月5日午前9時22分44秒（EST）にフロリダ州のケネディ宇宙センター第39発射施設Bから打ち上げられました。打ち上げ前には、発射場上空の雲の高さと爆風の伝搬に関する気象条件の懸念から、カウントダウンが一時中断されましたが、その後問題ないと判断され、打ち上げは無事に行われました。打ち上げ時の重量は116,040 kgでした。

コンプトンガンマ線観測衛星（CGRO）

ミッションの主要なペイロードであるCGROは、飛行3日目に展開されました。しかし、CGROの高利得アンテナがコマンド通りに開かず、ジェリー・ロスとジェローム・アプトが緊急宇宙遊泳を行い、手動で展開することになりました。この緊急宇宙遊泳は、1985年以来6年ぶりとなるものでした。翌日には、2人は予定されていた宇宙遊泳を行い、宇宙飛行士の移動手段と将来のフリーダム宇宙ステーションのための装置の試験を行いました。

CGROは、Burst and Transient Source Experiment (BATSE)、Imaging Compton Telescope (COMPTEL)、Energetic Gamma Ray Experiment Telescope (EGRET)、Oriented Scintillation Spectrometer Experiment (OSSE)などの科学機器を搭載しており、NASAのグレートオブザバトリー計画の2機目として、高エネルギーガンマ線の観測を行いました。CGROは重量約17,000kgで、スペースシャトルから低軌道に展開された最も重い人工衛星となりました。また、初の軌道上燃料補給が可能となるように設計されていました。後に、ガンマ線天文学に多大な貢献をしたノーベル物理学賞受賞者であるアーサー・コンプトンにちなんで改名されました。

宇宙遊泳

CGROの高利得アンテナの展開に失敗した後、ジェリー・ロスとジェローム・アプトによる緊急宇宙遊泳が行われました。ペイロード運用コントロールセンターからの指示や、アトランティスのシャトル・リモート・マニピュレータ・システムによる操作でも問題が解決せず、ロスは宇宙遊泳開始から17分でアンテナブームを解放しました。これは、1985年4月のSTS-51-D以来の緊急宇宙遊泳でした。アンテナの展開は、予定より4.5時間遅れの午後6時35分（EST）頃に完了しました。

翌日、ロスとアプトは予定された宇宙遊泳を行い、乗組員の移動手段と将来のフリーダム宇宙ステーションで使用される周辺装置の試験を行いました。宇宙の大規模構造の外周を移動するカートの手動、機械式、電動での移動手段の評価が行われ、その結果、手動での移動が最も効率的であることがわかりました。2回の宇宙遊泳の合計時間は10時間49分に達しました。

2回目の宇宙遊泳中には、アプトの右手袋にステンレス製の手のひらを保持する棒が穴を開けるというアクシデントが発生しましたが、幸いなことに宇宙飛行士自身の手と絹のコンフォートグローブが穴を部分的に塞ぎ、減圧はほとんど検出されませんでした。

その他のペイロードと実験

STS-37では、Crew and Equipment Translation Aids (CETA)、Ascent Particle Monitor (APM)、Shuttle Amateur Radio Experiment II (SAREX II)、Protein Crystal Growth (PCG)、Bioserve/Instrumentation Technology Associates Materials Dispersion Apparatus (BIMDA)などの実験が行われました。特にBIMDAは初の飛行であり、医学、製造プロセス、流体科学などの分野での商用利用の可能性を調査する実験が含まれていました。また、Shuttle Amateur Radio Experiment (SAREX)では、5人の乗組員全員がアマチュア無線オペレーターとして参加し、ジョンソン宇宙センターのW5RRR局から高速度走査アマチュアテレビ動画を受信する初の試みも行われました。

着陸

STS-37は、1991年4月11日午前6時55分29秒（PDT）にカリフォルニア州エドワーズ空軍基地の第33滑走路に着陸しました。着陸時のロールアウト距離は6364フィート、ロールアウト時間は56秒でした。着陸は当初4月10日に予定されていましたが、エドワーズ空軍基地とケネディ宇宙センターの気象条件により1日延期されました。オービタは4月18日にケネディ宇宙センターに戻りました。着陸時の重量は86,227 kgでした。

着陸時、高層風の読み違いから、アトランティスは滑走路の閾値のマークまで623フィート手前に着陸しましたが、乾燥した湖底への着陸であったため、大きな問題とはなりませんでした。着陸速度は168ノット（等価大気速度）で、スペースシャトル計画の中で最も遅かったSTS-28の155ノットを13ノット上回りました。

ミッション記章

ミッション記章には、上部に3つ、下部に7つの星が描かれており、これはミッション番号STS-37を表しています。また、73という数字はアマチュア無線用語で「敬具」を意味し、乗組員全員がアマチュア無線免許を所持していたことと、SAREX実験に参加したことを表しています。

起床コール

NASAでは、アポロ15号以来、宇宙飛行士の起床時に音楽をかける習慣があります。各々の曲は、宇宙飛行士の家族によって選ばれ、個々の宇宙飛行士にとって特別な意味を持つものや、日々の活動に適したものが選ばれます。

外部リンク

NASA mission summary
STS-37 Video Highlights

出典

(上記外部リンク参照)

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