UCIトラックサイクリング・ワールドカップ

UCIトラックサイクリングワールドカップ：歴史と日本人選手の軌跡

UCIトラックサイクリングワールドカップ（旧称：UCIトラックワールドカップクラシックス）は、1993年から2020年まで開催されたトラックレースの国際的なシリーズ戦でした。本記事では、その概要、歴史、日本人選手の活躍について詳しく解説します。

大会の概要

ワールドカップは、ロードレースのUCIロードワールドカップに倣い、トラックレースの振興を目的として創設されました。1993年5月にデンマークのコペンハーゲンで初開催され、当初は春から夏にかけて年間4〜6戦が行われていました。

2004年〜2005年シーズンからは、UCIのトラックレース振興策に基づき、開催時期が秋から初春（11月〜翌年2月）に移行し、年間4戦のシリーズ戦となりました。また、シリーズ戦終了後の3月下旬には、世界自転車選手権のトラックレースが開催されるようになりました。

日本では1995年7月に東京ドームで一度開催されたことがありますが、その後は開催されていません。冬季開催への移行後は、全て室内での開催となっています。

大会の特徴

各種目で総合優勝を果たした選手には、白色のジャージが授与され、世界選手権での着用が認められていました。また、ワールドカップは世界選手権の予選も兼ねており、総合上位入賞者には世界選手権の出場権が優先的に与えられました。2008年の北京オリンピックでは、ワールドカップの総合優勝者にオリンピック出場権が付与されました。

2007年-2008年シーズンからは、UCI登録のトレードチームの参加も認められるようになり、大会の国際性が高まりました。

日本人選手の活躍

ワールドカップには、初年度から競輪選手を中心に多くの日本人選手が参加し、素晴らしい成績を残しています。

メダル獲得日本人選手一覧

1993年
斉藤正剛 - コペンハーゲン・ケイリン 2位
大野直志 - コペンハーゲン・エリミネーション 3位
1995年
神山雄一郎 - アデレード・1㎞タイムトライアル 2位
大野直志 - アデレード・ポイントレース 3位
北川智博 - 東京・スプリント 3位
神山雄一郎、北川智博、本田晴美 - アデレード・オリンピックスプリント（後のチームスプリント） 3位
斉藤正剛、横田努、稲村成浩 - 東京・オリンピックスプリント 3位
1997年
神山雄一郎 - フィオレンツオーラ・ケイリン 2位
十文字貴信 - アデレード・1㎞タイムトライアル 3位
不明 - フィオレンツオーラ・オリンピックスプリント 3位
1998年
稲村成浩 - トゥーロン・1㎞タイムトライアル 2位
1999年
太田真一 - カリ・ケイリン 優勝
吉井功治 - バレンシア・ポイントレース 2位
2001年
山田裕仁 - ボルデノーネ・ケイリン 2位
飯島規之 - イボー・個人追抜 2位
濱田浩司、大森慶一、荒井崇博 - メキシコシティ・オリンピックスプリント 2位
金子貴志、永井清史、佐野梅一 - イボー・オリンピックスプリント 3位
2002年
伏見俊昭 - 昆明・1㎞タイムトライアル 2位
長塚智広、金子貴志、井上昌己 - 昆明・チームスプリント 2位
飯島誠 - モスクワ・ポイントレース 3位
2003年
矢口啓一郎 - アグアスカリエンテス・ケイリン 優勝
長塚智広、永井清史、伏見俊昭 - シドニー・チームスプリント 優勝
伏見俊昭 - シドニー・ケイリン 2位
長塚智広、神山雄一郎、伏見俊昭 - モスクワ・チームスプリント 3位
2004年
長塚智広、伏見俊昭、井上昌己 - アグアスカリエンテス・チームスプリント 2位
金子貴志 - シドニー・スプリント 3位
井上昌己 - シドニー・1㎞タイムトライアル 3位
長塚智広、神山雄一郎、伏見俊昭 - シドニー・チームスプリント 3位
2004年〜2005年
成田和也、渡邉一成、及川裕奨 - モスクワ・チームスプリント 2位
成田和也、渡邉一成、及川裕奨 - シドニー・チームスプリント 2位
成田和也 - ロサンゼルス・スプリント 3位
成田和也、渡邉一成、及川裕奨 - マンチェスター・チームスプリント 2位
2005年〜2006年
盛一大 - シドニー・ポイントレース 2位
金子貴志 - モスクワ・スプリント 3位
西谷泰治 - スクラッチ 3位
井上昌己、金子貴志、渡邉一成 - シドニー・チームスプリント 3位
2008年〜2009年
盛一大 - コペンハーゲン・スクラッチ 優勝
2010年〜2011年
浅井康太 - 北京・ケイリン 3位
2012年〜2013年
河端朋之 - カリ・ケイリン 2位
河端朋之、坂本貴史、稲毛健太 - カリ・チームスプリント 2位
前田佳代乃、石井寛子 - カリ・チームスプリント 2位
坂本貴史 - グラスゴー・ケイリン 3位
渡邉一成 - アグアスカリエンテス・ケイリン 2位
2016年〜2017年
上野みなみ - 第1戦イギリス・グラスゴー・女子スクラッチ 2位
上野みなみ - 第2戦オランダ・アペルドールン・女子ポイントレース 2位
2017年〜2018年
梶原悠未、古山稀絵、橋本優弥、中村妃智、鈴木奈央 - 第2戦マンチェスター・女子チームパーシュート 3位
梶原悠未 - 第3戦カナダ・ミルトン・女子オムニアム 優勝
2018年〜2019年
脇本雄太 - パリ・ケイリン 優勝
小林優香 - ベルリン・ケイリン 3位
2019年〜2020年
雨谷一樹、新田祐大、深谷知広 - 第4戦ニュージーランド・男子チームスプリント 優勝
* 長迫吉拓、新田祐大、深谷知広 - 第5戦オーストラリア・男子チームスプリント 優勝


数多くの日本人選手がメダルを獲得し、世界にその実力を示しました。

大会の終焉と新たな幕開け

2021年、ワールドカップはUCIトラックサイクリング・ネイションズカップへと名称と形式を変更し、新たなスタートを切りました。第1戦は香港で開催され、新たな歴史が刻まれています。

UCIトラックサイクリングワールドカップは、長年にわたりトラックレースの発展に貢献し、数々のドラマを生み出してきました。その功績は、UCIトラックサイクリング・ネイションズカップへと引き継がれ、今後も世界中のトラックレースファンを魅了し続けるでしょう。

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