穂積老

穂積 老（ほづみ の おゆ）について

穂積老は、飛鳥時代の後期から奈良時代の中期にかけて活躍した貴族であり、また万葉歌人としても名を馳せた人物です。その官職としては、正五位上、大蔵大輔という地位にありました。老の生涯は、その時代の政治的変動と深く関わっており、多彩な経歴を持っています。

経歴の概要

老は大宝3年（703年）に山陽道巡察使を務めた際、正八位上の位についていました。和銅2年（709年）には従六位下から四階昇進し、従五位下に叙爵されました。そして、和銅3年（710年）の元明天皇の朝賀では、左将軍の大伴旅人の副将軍として、騎兵や地方民、さらには蝦夷を率いて朱雀大路を行進する機会を得ました。

その後、和銅6年（713年）には従五位上、霊亀3年（717年）には正五位下に昇進しました。また、養老2年（718年）には正五位上及び式部大輔に任命され、元明朝から元正朝の初めにかけて官位を順調に昇進させていきました。ただし、霊亀3年には同族である石上麻呂の訃報に対し、官人を代表して誄を執行する義務も果たしています。

一方で、養老6年（722年）には元正天皇を批判したことが原因で不敬罪に問われ、斬刑の危機に直面しましたが、皇太子の首皇子（後の聖武天皇）の奏上によって減刑され、佐渡島への流罪となりました。これにより、老は一時失脚を余儀なくされました。しかし、天平12年（740年）に聖武天皇から大赦を受けて入京が許され、元の地位である正五位上に復帰し、大蔵大輔の職に再任されました。

天平16年（744年）に難波京に遷都された際には、恭仁京の留守官を任され、その後も天平18年（746年）には左大臣である橘諸兄と共に元正上皇の中宮西院へ奉仕し、肆宴に参加しました。彼の生涯は、天平勝宝元年（749年）8月26日に終了し、最終的な官位は大蔵大輔・正五位上でした。

万葉集とその詩

穂積老の詩は、『万葉集』に多く収められています。特に、行幸に随行した際に詠んだ短歌や、佐渡島への配流中に作った長歌とその反歌が収録されています。老の作品は、彼の人生と感情を豊かに伝えており、当時の社会や文化を理解する手助けとなります。

最後に

穂積老は、その経歴や詩作を通じて、飛鳥・奈良時代の貴族社会で重要な役割を果たした人物です。しかし、彼の子孫については確たる記録が残っておらず、穂積濃美麻呂が彼の子とされることがあるものの、詳細は不明です。そのため、彼の存在は歴史の一部として、今も語り継がれています。

もう一度検索