アクス市

アクス市

アクス市は、中華人民共和国新疆ウイグル自治区アクス地区に位置する県級市であり、同地区の行政の中心地です。ウイグル族、漢族など、様々な民族が共に暮らしています。アクス川とタシカン川の間の肥沃な平原に位置し、西を流れるアクス川は、カシュガル川、ホータン川と合流してタリム川となります。

「アクス」という名はテュルク語で「白い水」を意味し、かつてこの地が洪水に悩まされたことに由来すると言われています。

歴史

アクスは、古代には姑墨国として栄え、前漢時代には南城という都が置かれていました。新の時代には、姑墨は温宿国を併合しましたが、その後、莎車国や亀茲国に支配されました。また、エフタル、柔然、突厥といった遊牧民族の支配下にもありました。唐の時代には、仏僧・玄奘三蔵が『大唐西域記』の中で、姑墨国を跋禄迦国として記述しています。唐が西域を支配した際には、姑墨国の故地に姑墨州が設置され、撥換城が築かれました。撥換城は一時チベットの吐蕃に占領されましたが、後に唐によって奪還されました。しかし、再び吐蕃の支配下に入り、宋代にはウイグルの支配下に入りました。

13世紀に元朝が成立すると、アクスは皇帝の直轄地となり、その後、モグーリスタン・ハン国（東チャガタイ・[[ハン国]]）の支配下に入りました。15世紀に書かれた歴史書『ザファール・ナーマ』には、アクスが中国の商人にとって重要な都市であったことが記されています。また、16世紀の歴史書『ターリーヒ・ラシーディー』にも、アクスが東トルキスタンにおける重要な都市の一つとして登場します。カシュガル・ハン国の成立後も、アクスはその重要性を維持しました。

ジュンガルによる支配を経て、1760年に清朝の支配下に入り、温宿直隷州が設置されました。ヤクブ・ベクの乱の際には、アクスはヤクブ・ベクに占領されましたが、1884年に新疆省が設置されると、阿克蘇道が設けられました。1907年にアクスを訪れた日本の軍人・日野強は、著書『伊犁紀行』の中で、アクスが商人や家畜で賑わう様子を記録しています。1913年に阿克蘇県が設置され、1983年に県が廃止されて市となりました。

行政区画

アクス市は、以下の行政区画を管轄しています。

街道

欄杆街道
英巴扎街道
紅橋街道
新城街道
南城街道
柯柯牙街道
多浪街道

鎮

カラタル鎮（喀勒塔勒鎮）
アイキョル鎮（阿依庫勒鎮）

郷

エゲルチ郷（依干其郷）
バイシテュグメン郷（拝什吐格曼郷）
トプルク郷（托普魯克郷）
クムバシ郷（庫木巴希郷）

気候

アクス市は、乾燥した大陸性気候で、夏は暑く、冬は寒さが厳しいのが特徴です。降水量は少なく、年間を通じて乾燥しています。

経済

アクス市では、特産品の羊毛を利用したギャバジン、サージ、フェルトなどの製造が盛んです。また、地下に埋蔵されている鉱塩は、塩化ナトリウムの含有量が非常に高く、水晶塩や氷塩として珍重されています。

交通

航空

アクス空港

鉄道

中国[[国家鉄路集団]]
南疆線

道路

高速道路
吐和高速道路
国道
G219国道
G314国道
G580国道

脚注

参考文献

駒井正一「アーコースー」『世界地名大事典』 6巻、朝倉書店、1974年1月。ISBN 4-254-16556-0。
張治国（監修） 編『最新中国地名事典』日外アソシエーツ、1994年5月。ISBN 4-8169-1231-2。
前嶋信次（編）、加藤九祚（編） 編『シルクロード事典』芙蓉書房、1975年1月。全国書誌番号:73013327。
塩英哲（編訳） 編『精選中国地名辞典』凌雲出版、1983年3月。ISBN 4-947526-11-4。

関連項目

* 姑墨

外部リンク

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