バンダ (オーケストラ)

バンダとは

バンダ（banda）は、オーケストラなどの演奏において、主となる編成とは別に、多くは離れた場所で演奏する小規模なアンサンブルのことです。イタリア語で「バンド」を意味する言葉が語源となっています。舞台音楽、特にオペラや劇付随音楽で用いられることが多く、音楽に特別な効果や奥行きを加えるために活用されます。

舞台音楽におけるバンダ

バンダは、舞台裏で演奏される場合と、舞台上で出演者として演奏される場合があります。舞台裏で演奏する場合、かつては副指揮者が付き添っていましたが、現在ではテレビカメラで本指揮者の映像を中継し、それを見ながら演奏するのが一般的です。ただし、映像での同期が難しい場合には、副指揮者やアシスタントが付き添うこともあります。また、舞台上での演奏では、カメラを使用する場合としない場合があります。

舞台裏やオーケストラピットに合唱が入ることもあり、暗くて見えにくい場合には、合唱指揮者がペンライトで指示を出すこともあります。テンポを合わせる必要がない場合には、録音テープなどを使用することもあります。

バンダの編成と楽器

バンダの楽器は、金管楽器や打楽器が中心となることが多いですが、楽曲によっては他の楽器が加わることもあります。例えば、ベルリオーズの『幻想交響曲』ではオーボエが使用され、ペンデレツキの『エルサレムの7つの門』では、金管楽器と打楽器に加え、クラリネット、ファゴット、コントラファゴットも用いられています。

楽譜上では、ドイツ語で「auf dem Theater」、イタリア語で「tromba interna」や「banda」と記載されることがあります。

バンダが使用される楽曲の例

バンダは、オペラ、バレエ音楽、管弦楽曲など、様々なジャンルの楽曲で使用されています。以下に代表的な例を挙げます。

オペラ

モーツァルト - 『ドン・ジョヴァンニ』、『魔笛』
ベートーヴェン - 『フィデリオ』
ドニゼッティ - 『ランメルモールのルチア』
ヴェルディ - 『リゴレット』、『椿姫』、『仮面舞踏会』、『ドン・カルロ』、『アイーダ』、『オテロ』
ワーグナー - 『恋愛禁制』、『リエンツィ』、『さまよえるオランダ人』、『タンホイザー』、『ローエングリン』、『ラインの黄金』、『トリスタンとイゾルデ』、『ニュルンベルクのマイスタージンガー』、『パルジファル』
ウェーバー - 『魔弾の射手』
ビゼー - 『カルメン』
ボロディン - 『イーゴリ公』
R・シュトラウス - 『グントラム』、『ばらの騎士』、『影のない女』、『エジプトのヘレナ』、『無口な女』、『カプリッチョ』
プッチーニ - 『マノン・レスコー』、『ラ・ボエーム』、『トスカ』、『蝶々夫人』、『西部の娘』、『トゥーランドット』
ベルク - 『ヴォツェック』
ショスタコーヴィチ - 『ムツェンスク郡のマクベス夫人』
ツィンマーマン - 『兵士たち』

バレエ音楽

ストラヴィンスキー - 『火の鳥』
ラヴェル - 『ダフニスとクロエ』
レスピーギ - 『シバの女王ベルキス』

管弦楽曲・吹奏楽曲・その他

ベートーヴェン - 『レオノーレ』序曲第2番・第3番
ベルリオーズ - レクイエム、幻想交響曲
ヴェルディ - レクイエム
チャイコフスキー - 序曲『1812年』
マーラー - 交響曲第1番・第2番・第3番・第8番、『嘆きの歌』
R・シュトラウス - 英雄の生涯、アルプス交響曲、祝典前奏曲
レスピーギ - 交響詩『ローマの松』・『ローマの祭り』
ヤナーチェク - 『シンフォニエッタ』
ショスタコーヴィチ - 祝典序曲
ハチャトゥリアン - 交響曲第3番
グレインジャー - 『戦士たち』
デ・ナルディス - 交響詩『宇宙の審判』
H・O・リード - 交響曲『メキシコの祭り』
A・リード - 『エルサレム讃歌』
ネリベル - アンティフォナーレ-金管6重奏とバンドのための
セルゲイ・プロコフィエフ - 交響組曲『キージェ中尉』

バンダの多様な役割

バンダは、音楽に奥行きや立体感を加え、特別な効果を生み出すために重要な役割を果たします。舞台裏からの遠隔的な演奏によって、空間的な広がりを演出したり、劇的な場面で効果的なアクセントを加えたりします。また、舞台上で演奏する場合には、視覚的な要素も加わり、よりドラマチックな表現が可能になります。

一部の楽曲では、奏者一人だけを別に立てる例もありますが、これらは厳密にはバンダとは呼ばない場合もあります。しかし、便宜上、ここではバンダとして扱っています。

バンダは、音楽表現の可能性を広げる上で欠かせない存在であり、その効果的な活用によって、より豊かで感動的な音楽体験を提供することができます。

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