姚緒

姚緒（よう しょ）

姚緒（生没年不詳）は、五胡十六国時代の後秦に仕えた軍人・政治家です。南安郡赤亭（現在の甘粛省定西市隴西県）の出身で、羌族の部族長である姚弋仲の子として生まれました。後秦の創建者である姚萇の同母弟にあたり、その治世において重要な役割を果たしました。

生涯

姚緒は、征虜将軍に任じられた後、386年7月には姚萇の指示により司隷校尉に任じられ、首都である常安の鎮守を任されました。393年12月に姚萇が亡くなり、その長男である姚興が後を継ぐと、姚緒は安定の鎮守を命じられました。

395年、姚興が皇帝に即位すると、姚緒は晋王に封じられました。しかし、396年12月には、西燕の河東郡太守だった柳恭と安定郡太守だった秦茂がそれぞれ兵を擁して抵抗を試みたため、姚興は姚緒にこれらの討伐を命じました。柳恭らが黄河を拠点に防衛線を敷いたため、姚緒は渡河に苦戦しましたが、鎮東将軍薛強の助けにより龍門から黄河を渡り蒲坂へ進軍、新平・安定を攻略し、柳恭らを降伏させました。その後、新平・安定の6千戸を蒲坂に移住させ、その地の発展に貢献しました。これらの功績により、姚緒は并州・冀州二州牧に任じられました。

399年、姚興が皇帝から天王を称するようになると、姚緒は王爵を辞退しましたが許されず、再三の辞退の末にようやく晋公に封じられることとなりました。

402年5月、後秦は北魏討伐を計画し、姚緒は河東の兵を率いて前軍節度として参加しました。同年10月、柴壁の戦いで後秦軍が大敗を喫すると、北魏軍は蒲坂へ侵攻しましたが、姚緒はこれを堅守し、北魏軍は戦果を上げられずに撤退しました。

姚緒の没年は不明ですが、官位は丞相にまで至り、敬王と諡されました。412年には、姚碩徳・姚旻・姚崇・尹緯らと共に姚萇の廟に配饗されました。

人物・逸話

姚緒は姚萇の同母弟であったため、姚萇から非常に愛されていました。姚興は、領域内および朝廷の文武諸官に対し、姚緒と姚碩徳の名を避けるように布告を出し、特別な礼遇をもって遇しました。また、姚興は姚緒の権威が大きくなることを懸念し、清廉な人物を選んで補佐につけました。

姚興は姚緒に会うたびに、家族としての礼を尽くし、名ではなく字で呼んでいました。また、車馬服玩などの品は、常に姚緒と姚碩徳のものを優先し、自身はそれらに次ぐものを用いていました。国家の重大な事柄については、必ず二人に諮ってから実行しました。姚興が河東に赴いた際には、姚緒は城を出て出迎え、臣下としてではなく家族として接しました。

家族

父：姚弋仲
兄弟：姚益、姚若、姚襄、姚萇、姚碩徳、姚尹買、姚旻、姚晃、姚紹、姚靖

参考文献

『晋書』巻116、巻117
『資治通鑑』巻106、巻108、巻111、巻112
* 『十六国春秋』巻55、巻56、巻60

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