小笠原常春

小笠原常春

小笠原常春（おがさわら つねはる）は、江戸時代前期から中期にかけて活躍した旗本です。彼は徳川吉宗が主導した騎射の諸儀式復興に深く関わり、幕府の騎射師範役という重要な役職を務めました。彼の家系は代々この役職を継承し、今日の小笠原流弓馬術礼法へと繋がっています。

生涯

出自と初期

寛文6年（1666年）、旗本・小笠原直経の四男として生まれた常春は、延宝6年（1678年）に4代将軍・徳川家綱に謁見します。同年の12月には家督を相続し、寄合に列しました。天和3年（1683年）には小姓組に加わり、元禄2年（1689年）には桐間番に移り、その後小姓に進みます。しかし、同年9月には「ゆえありて」小普請に落とされています。

役職と活躍

元禄3年（1690年）に大番に列した常春は、元禄9年（1696年）には御小納戸に移り、翌年には大番に復帰します。同年には、500俵の廩米を改め、下野国梁田郡、安蘇郡、都賀郡に500石の采地を与えられました。元禄11年（1698年）には、5代将軍・徳川綱吉の養女である八重姫の水戸徳川家への輿入れの式典を担当し、時服2領と黄金2枚を賜りました。この後も、将軍家の姫の輿入式の任を度々務めています。

宝永5年（1708年）に小姓組番士となり、正徳3年（1713年）には次期将軍・徳川家継の元服の式典を執り行いました。正徳5年（1715年）に徒士頭、享保2年（1717年）には目付へと転任します。

騎射師範としての功績

享保9年（1724年）、常春は幕臣に対して流鏑馬と笠懸を指導する役目を任じられました。将軍の前での披露では、時服3領を賜っています。また、享保11年（1726年）には、番士たちに騎射を指導する役目も担い、将軍の御前で披露し、同様に時服3領を賜りました。この功績により、赤沢小笠原家（小笠原平兵衛家）は代々幕府の騎射師範役を務めることになります。

その他の活動

享保13年（1728年）には、天然痘を患った徳川家重の快癒を祈願し、流鏑馬を奉納しました。享保14年（1729年）には新番頭に転じ、元文2年（1737年）には徳川家治の誕生の礼式を執り行い、時服2領と黄金2枚を賜りました。元文3年（1738年）には幕命により流鏑馬を披露し、時服2領と黄金3枚を賜っています。元文4年（1739年）には御槍奉行に転じ、元文5年（1740年）には吹上御所にて幕臣による騎射を将軍に披露しました。

晩年と死

延享2年（1745年）には、老齢を理由に職を辞し、寄合に列します。この際、時服3領を賜りました。延享3年（1746年）に致仕し、養老料として300俵を賜り、延享4年（1747年）に82歳で亡くなりました。彼は浅草の長徳院に葬られています。

まとめ

小笠原常春は、江戸時代中期における武術と儀礼の復興に尽力した人物であり、その功績は現代の小笠原流弓馬術礼法へと受け継がれています。彼の生涯は、武士としての責務を全うし、文化の継承に貢献した模範的な例と言えるでしょう。

参考文献

堀田正敦 編「巻第百九十四 淸和源氏 義光流」『国立国会図書館デジタルコレクション 寛政重脩諸家譜』 第1輯、國民圖書、1922年12月30日。

関連項目

赤沢氏
小笠原氏
小笠原流
有職故実

外部リンク

小笠原流弓馬術礼法

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