札幌連隊区

札幌連隊区について

札幌連隊区は、大日本帝国陸軍の連隊区の一つであり、北海道の一部地域における徴兵や召集といった兵事事務を管轄していました。その前身は札幌大隊区であり、組織の改編を経て、最終的には札幌地区司令部へと統合されました。この連隊区は、地域の防衛体制を担う重要な役割を果たしていました。

沿革

1894年（明治27年）10月19日、大隊区司令部条例の改正により、札幌大隊区が設置され、第7師管第13旅管に属しました。同時に定められた陸軍管区表によって、その管轄区域が決定されました。

1896年（明治29年）4月1日、札幌大隊区は連隊区司令部条例によって連隊区に改組され、旅管は廃止されましたが、引き続き第7師管に属しました。この際、廃止された空知太大隊区と天塩大隊区の区域が編入され、管轄区域が拡大しました。

1898年（明治31年）4月1日には、連隊区司令部条例の改正により、十勝連隊区が廃止され、旭川連隊区が新設されました。これに伴い、札幌連隊区の管轄区域は大幅に変更されました。

1903年（明治36年）2月14日、陸軍管区表が改正され、再び旅管が採用され、札幌連隊区は第7師管第13旅管に属することとなりました。

1907年（明治40年）10月1日、全国的に管轄区域の大幅な変更が行われましたが、北海道においてはほとんど変更はありませんでした。しかし、1910年（明治43年）3月11日には、後志国区域を函館連隊区へ移管するなどの管轄区域の変更が行われました。

1925年（大正14年）5月1日、陸軍の第三次軍備整理に伴い、旅管が廃止され、引き続き第7師管に所属しました。

1940年（昭和15年）8月1日、札幌連隊区は北部軍管区旭川師管に属することになりました。ただし、北部軍管区に関する事項は、同年12月2日まで施行が延期されました。1945年には作戦と軍政の分離が進められ、同年3月24日、連隊区の同域に地区司令部が設けられました。地区司令部の司令官以下要員は連隊区司令部人員が兼任しました。同年4月1日、旭川師管は旭川師管区と改称されました。

管轄区域の変遷

札幌連隊区の管轄区域は、その歴史の中で幾度かの変遷を遂げています。以下に、主な変遷をまとめます。

1894年10月19日：札幌大隊区設置時の管轄区域
石狩国：札幌区、札幌郡
後志国：小樽郡、高島郡、忍路郡、余市郡、古平郡、美国郡、積丹郡
胆振国：千歳郡、室蘭郡、有珠郡、虻田郡、幌別郡、白老郡、勇払郡

1896年4月1日：連隊区改組時の管轄区域
石狩国：札幌区、札幌郡、空知郡、夕張郡、樺戸郡、雨竜郡、上川郡、浜益郡、厚田郡、石狩郡
後志国：小樽郡、高島郡、忍路郡、余市郡、古平郡、美国郡、積丹郡
胆振国：千歳郡、室蘭郡、有珠郡、虻田郡、幌別郡、白老郡、勇払郡
天塩国：増毛郡、留萌郡、苫前郡、天塩郡、中川郡、上川郡
北見国：宗谷郡、枝幸郡、礼文郡、利尻郡

1898年4月1日：十勝連隊区廃止、旭川連隊区新設時の管轄区域
石狩国：札幌区、札幌郡、空知郡、夕張郡、樺戸郡、雨竜郡、浜益郡、厚田郡、石狩郡
後志国：小樽郡、高島郡、忍路郡、余市郡、古平郡、美国郡、積丹郡、岩内郡、古宇郡
胆振国：千歳郡、室蘭郡、有珠郡、虻田郡、幌別郡、白老郡、勇払郡
日高国：沙流郡、新冠郡、静内郡、浦河郡、様似郡、幌泉郡、三石郡

1898年5月31日：石狩国空知郡の管轄変更
空知郡は富良野村を除く区域となり、富良野村は旭川連隊区へ移管

1903年2月14日：後志国小樽区を追加

1907年10月1日：胆振国勇払郡の管轄変更
勇払郡は占冠村を除く区域となり、占冠村は旭川連隊区へ移管

1910年3月11日：後志国区域を函館連隊区へ移管、胆振国虻田郡の区域変更
虻田郡は虻田村と弁辺村のみ管轄とし、その他は函館連隊区へ移管

1918年5月29日：胆振国室蘭区を追加

1923年3月31日：札幌区を札幌市、室蘭区を室蘭市に変更

1925年5月1日：北海道の管轄区域を市と支庁による表記に変更
札幌市、室蘭市、石狩支庁、胆振支庁、浦河支庁、空知支庁

1932年10月29日：浦河支庁を日高支庁に変更

1943年6月26日：岩見沢市、夕張市を追加、最終的な管轄区域
札幌市、室蘭市、岩見沢市、夕張市、石狩支庁、胆振支庁、日高支庁、空知支庁

歴代司令官

札幌連隊区の司令官は、その時々の陸軍将校が務めました。以下に、主な司令官の名前と在任期間を列挙します。

安東貞一郎 歩兵少佐：1895年6月6日 - 1898年1月21日
林昌介 歩兵少佐：1898年1月21日 - 1902年2月10日
米津逸三 歩兵少佐：1902年2月10日 - 不詳
遠藤昶 歩兵中佐：不詳 - 1906年3月29日
米津逸三 歩兵中佐：不詳 - 1907年11月13日
林康太 歩兵少佐：1907年11月13日 - 1909年10月9日
大塚嘉輝 歩兵中佐：1909年10月9日 - 1911年9月26日
横山重雄 歩兵少佐：1911年9月26日 - 1912年3月8日
高橋於兎丸 歩兵中佐：1912年3月8日 - 1913年9月30日
若井敬 歩兵中佐：1913年9月30日 - 1914年9月11日
金田房吉 歩兵中佐：1914年9月11日 - 1917年8月6日
岡欽一 歩兵中佐：1917年8月6日 - 1921年7月20日
渡辺祐次 歩兵中佐：1921年7月20日 - 不詳
篠原三郎 歩兵大佐：1929年8月1日 - 1932年2月29日
木村直樹 歩兵大佐：1937年8月2日 - 1939年5月19日
田村理七 騎兵大佐：1939年5月19日 - 1941年3月1日
庄司巽 歩兵大佐：1942年4月17日 - 1945年3月31日
* 中代豊治郎 予備役陸軍少将：1945年3月31日 -

まとめ

札幌連隊区は、その設立から終戦まで、北海道における兵事行政の一翼を担いました。その管轄区域は、時代と共に変化し、地域の軍事体制に大きな影響を与えました。この連隊区の歴史を振り返ることで、当時の日本の軍事組織や社会情勢をより深く理解することができます。

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