阿久根駅

阿久根駅

阿久根駅（あくねえき）は、鹿児島県阿久根市栄町に所在する肥薩おれんじ鉄道線の駅です。駅番号はOR21で、阿久根市の中心駅であるとともに、鹿児島県における最西端の駅として知られています。観光列車「おれんじ食堂」が全列車停車することでも知られています。

歴史

駅の名称は、出水郡阿久根村の中心駅として設置されたことに由来します。「あくね」という地名の古い表記は「英祢（あくね）」でした。

年表

1922年（大正11年）10月15日：鉄道省川内線 阿久根 - 西方間が開通し、それに伴い開業。
1945年（昭和20年）8月12日：米軍の阿久根空襲により駅舎が全焼。
1946年（昭和21年）2月21日：仮駅舎が完成。
1949年（昭和24年）
3月27日：現在の駅舎が完成。
6月1日：公共企業体である日本国有鉄道が発足。
1976年（昭和51年）4月2日：第1・2ホーム間の跨線橋が完成。
1978年（昭和53年）4月25日：みどりの窓口が新設。
1984年（昭和59年）2月1日：貨物取扱が廃止。
1985年（昭和60年）3月14日：荷物扱いが廃止。
1987年（昭和62年）4月1日：国鉄分割民営化によりJR九州の駅となる。
2004年（平成16年）
3月13日：九州新幹線開業に伴いJR九州から肥薩おれんじ鉄道に移管。
3月27日：新八代 - 当駅間を結ぶ観光快速「海風」が運行開始。定期列車で初めて当駅止まり列車が設定。
2005年（平成17年）3月1日：「海風」が川内まで延伸され、当駅止まり列車が消滅。
2009年（平成21年）1月25日：寝台特急「なは」で使用された24系客車を利用した「あくねツーリングSTAYsion」が駅前に開業（2014年10月末に閉鎖）。
2013年（平成25年）10月：駅舎改修工事開始。
2014年（平成26年）5月3日：駅舎改修工事が完了し、「にぎわい交流館阿久根駅」としてリニューアルオープン。
2015年（平成27年）
4月1日：肥薩おれんじ鉄道による「にぎわい交流館」の管理が終了。
5月3日：にぎわい交流館オープン1周年記念イベント開催。

新幹線開業による影響

阿久根駅は、かつて国鉄・JR時代には特急「つばめ」や寝台特急「なは」「はやぶさ」など、多くの優等列車が停車する主要駅でした。肥薩おれんじ鉄道への転換後も主要駅としての役割は変わらず、土日祝日には快速列車「オーシャンライナーさつま」が停車し、普通列車の本数は以前よりも増加しましたが、全体的な列車本数は減少しています。九州新幹線開業後の調査では、阿久根への観光客やビジネス客の減少、周辺住民が阿久根を通らず出水駅や川内駅へ直接向かうようになったことによる、阿久根の商店への影響が指摘されています。

同様の例として、新幹線開業に伴い在来線特急が廃止された小諸駅（しなの鉄道）、三沢駅・野辺地駅・浅虫温泉駅（青い森鉄道）、魚津駅・滑川駅（あいの風とやま鉄道）などが挙げられます。

駅構造

相対式ホーム2面2線を有する地上駅です。1番のりばと2番のりばが向かい合って配置されています。駅の管理は、阿久根市の公益財団法人「阿久根市美しい海のまちづくり公社」が担当する簡易委託駅です。

開業当初の駅舎は木造平屋建てでしたが、1945年の阿久根空襲で焼失。現在の駅舎は1949年に再建された2代目の木造駅舎で、2014年に改修されました。1番のりばの裏には、かつて貨物ホームだった2本の側線があり、現在は保線用車両の留置に使用されています。2000年代頃まで貨物ホームの施設が残っていましたが、2009年のライダーハウス開業時に撤去されました。

かつては単式ホーム1面1線、島式ホーム1面2線の計2面3線構造で、3番線と貨物列車用側線がありました。3番線は一部列車の待避に使用されていましたが、貨物列車削減により使用されなくなり、1986年11月1日のダイヤ改正以降は使用停止となり、1987年中に撤去されました。跡地は駐車場などに転用されています。現在も川内方には、3番線で使用されていた安全側線の跡が残っています。

阿久根市の中心駅として、国鉄・JR時代には特急や急行など多くの優等列車が停車していました。また、海水浴シーズンには、山間部の薩摩大口駅から海水浴客向けの臨時直通列車も運行されていました。駅にはみどりの窓口があり、全国のJR指定券が購入可能でした。駅舎内にはキヨスクや居酒屋があり、駅弁も販売されていました。駅前には無料駐車場や駐輪場も整備されています。

ホームには、市民グループが設置したプランターが設置されています。鹿児島本線時代から主要駅であり、折り返し運転も可能な構造ですが、定期列車での当駅止まり、当駅折り返し運転は、2004年の肥薩おれんじ鉄道移管時に設定された観光快速「海風」のみでした。「海風」は2005年に川内方面に延長され、当駅止まりの定期列車は廃止されました。現在は、毎年3月中旬に開催される「高尾野中の市」開催時に臨時列車が当駅 - 米ノ津駅間で折り返し運転されるのみとなっています。

のりば

1番のりば：主に当駅始発、川内方面からの列車が停車。
2番のりば：列車交換時などに使用。一部列車は1番のりばを使用せず、2番のりばを使用する。

付記事項

にぎわい交流館の開放時間は6時30分（土休日は7時00分）から21時00分までで、それ以外の時間帯は防犯上の理由から閉鎖されます。自動券売機は交流館内にあるため、閉鎖時は乗車券の購入ができません。その際は、車内で整理券を取り、降車駅で運賃を支払う方式となります。

駅舎改修

旧駅舎は老朽化が進行しており、多数の鳥が巣を作るなど問題があったため、2013年10月から改修工事が開始されました。阿久根市が約2.1億円を投じて行い、2014年5月3日に「にぎわい交流館阿久根駅」としてリニューアルオープンしました。駅舎のデザインは「ななつ星in九州」を手がけた水戸岡鋭治氏が担当しました。駅舎内には、図書室、キッズルーム、多目的イベントスペースなどが設けられています。

また、待合室はホールとしても利用可能で、コンサートなども開催されます。駅構内には「阿久根屋食堂」が出店しており、地元食材を使った料理を提供しています。さらに、阿久根市の特産品を扱う土産物店「あくね市場」も併設されています。

営業時間

駅の管理と業務は、公益財団法人による業務委託で、にぎわい交流館の管理運営は阿久根市が行っています。2015年4月1日より、食堂とカフェは一時休業しましたが、4月17日よりカフェ、5月1日より食堂が営業を再開しました。

駅窓口：
平日：6時45分 - 17時45分
土休日：7時50分 - 16時15分
にぎわい交流館「阿久根屋」
食堂：11時00分 - 14時00分
カフェ：8時00分 - 19時00分
売店：10時00分 - 21時00分
旬なモノ市（毎月第一日曜日）：11時00分 - 18時00分

その他、イベントスペースでは多数の臨時イベントが開催され、営業時間が変更となる場合があります。

利用状況

2019年度の1日平均乗降人員は574人です。

駅周辺

阿久根駅は、海沿いに広がる市街地の北東端に位置し、阿久根市内の様々なスポットへのアクセスに便利です。阿久根温泉や阿久根大島などの観光地も近隣にあります。

主な周辺施設

阿久根市役所
阿久根市立阿久根小学校
阿久根郵便局
阿久根市民病院
ヤマダデンキテックランド阿久根店
阿久根警察署阿久根中央交番
市場食堂「ぶえんかん」
鹿児島県立鶴翔高等学校
国道3号
国道499号
阿久根大島
阿久根温泉

バス路線

駅前ロータリーには、南国交通の「阿久根駅前」停留所があります。

車庫前 / 阿久根新港
車庫前 / 西方駅前
佐潟口 / 水俣車庫
佐潟口 / だんだん市場前・平尾車庫前
エアポートシャトル：鹿児島空港 / 阿久根市役所

隣の駅

肥薩おれんじ鉄道

■肥薩おれんじ鉄道線

折口駅（OR20） - （赤瀬川信号場） - 阿久根駅（OR21） - 牛ノ浜駅（OR22）

脚注

関連項目

日本の[[鉄道駅]]一覧
日本の都道府県の東西南北端の駅の一覧
並行在来線問題
三沢駅（青い森鉄道）
小諸駅（しなの鉄道）
魚津駅（あいの風とやま鉄道）
鯖江駅（ハピラインふくい）

外部リンク

阿久根駅（各駅案内） - 肥薩おれんじ鉄道
国土地理院地図閲覧サービス - 阿久根駅周辺の1/25000地形図
あくねツーリングSTAYtion - ウェイバックマシン（2010年8月4日アーカイブ分） - 駅から徒歩約15秒（駅舎左横；旧ブルートレイン車両活用の宿泊施設）

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