雨部

雨部（うぶ）について

雨部は、漢字を部首によって分類したグループの一つです。康熙字典では214ある部首の中で173番目に位置づけられています。この部首は、空から地上に降る水滴、つまり「雨」を意味する漢字に由来し、天候や気象に関わる漢字を多く含んでいます。

概要

「雨」という漢字は、空から水が落ちてくる様子を象形したもので、その字形は、雲間から水滴が降る様子を表しています。また、「雨が降る」という動詞の意味も持ちます。部首としては、天候や気象に関連する意味を示す意符として機能し、多くの場合、漢字の上部に位置する「冠」として使われます。

雨部に属する漢字には、「雨」を構成要素とするものだけでなく、「雲」を意味する漢字（例えば、靉や靆など）も含まれています。これは、雨と雲が密接な関係にあることを示唆しています。

字体のデザイン差

「雨」という漢字の中にある、水滴を表す4つの筆画には、書体によって異なるデザインが見られます。印刷書体（明朝体）において、『康熙字典』では、単体の「雨」は4つの点で表現されますが、冠の「雨」は篆書の字形に基づき、短い4つの横画（「雪」のような形）で表現されています。

日本と中国ではこの康熙字典の字体が採用されています。一方、台湾の国字標準字体や香港の常用字字形表では、楷書の字形に基づいて、短い点・撥ね・左払い・右払いの形（「摂」「渋」や「氺」などの4点に似た形）が使われています。しかし、コンピュータのフォントによっては、この字形が正しく表示されない場合もあります。特に、Windowsの標準フォントである細明體・新細明體では、バージョンによっては康熙字典の字体で表示されることがあります。

部首の通称

雨部は、地域によって異なる通称で呼ばれています。

日本: あめかんむり、あまかんむり
中国: 雨字頭
韓国: 비우부 (bi u bu、あめの雨部)
英米: Radical rain

部首字

雨部の部首字は、言うまでもなく「雨」です。

中古音と現代音

「雨」の音は、時代や地域によって変化しています。

中古音:
広韻 - 1.王矩切、麌韻、上声 2.王遇切、遇韻、去声（動詞、ふるの意）
詩韻 - 1.麌韻、上声 2.遇韻、去声
三十六字母 - 喩母三等
現代音:
普通話 - 拼音：1.yǔ 2.yù 注音：1.ㄩˇ 2.ㄩˋ ウェード式：1.yü3 2.yü4
広東語 - 粤拼:1.jyu5 2.jyu6 イェール式:1.yu5 2.yu6
日本語 - 音：ウ（漢音・呉音） 訓：1.あめ 2.あめふる
朝鮮語 - 音：우(u) 訓：비（bi、雨）・비 올（bi ol、雨が降る）

例字

雨部に属する漢字には、以下のようなものがあります。

3画: 雪、雫
4画: 雲、雰
5画: 電、雹、雷、零
6画: 需
7画: 霄、震、霆、霈
8画: 霙、霍、霓、霎、霑、霏、霖
9画: 霞、霜
11画: 霪、霧
12画: 霰
13画: 霸、霹、露
14画: 霽、霾
16画: 靄、靆、靈（霊7）、靂
28画: 䨺
40画: 𩇔
最大画数: 44画:䨻

これらの漢字からもわかるように、雨部は、天候や気象、自然現象を表す漢字を包括的に含む、漢字文化において重要な部首の一つであると言えるでしょう。

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