1940年の音楽

1940年の音楽

1940年（昭和15年）は、世界的に音楽の分野で多様な動きが見られた年でした。グレン・ミラーによる「タキシード・ジャンクション」の録音や、ウォルト・ディズニーのアニメーション映画「ファンタジア」の公開など、今日でも語り継がれる出来事が数多くありました。

世界の音楽動向

1940年、世界の音楽シーンは多様な展開を見せました。

グレン・ミラー: この年、「タキシード・ジャンクション」を録音し、その人気を不動のものとしました。
アントニオ・ブロサ: 3月28日、ニューヨークのカーネギー・ホールで、ジョン・バルビローリ指揮のニューヨーク・フィルハーモニック管弦楽団と共演し、ブリテンのヴァイオリン協奏曲を初演しました。
ウディ・ガスリー: 4月26日、ニュージャージー州カムデンのRCAビクター・スタジオで、「ダスト・ボウル・バラード」の多くをレコーディングしました。
Quartetto Egie: 5月27日に初めて公の場で演奏を行いました。
ビルボードマガジン: 7月20日、最初の「音楽人気チャート」を発行しました。
エドムンド・ロス: 8月、自身のルンバ・バンドを結成し、ラテン音楽の普及に貢献しました。
ホアキン・ロドリゴ: 11月9日、バルセロナで「アランフェス協奏曲」が初演され、ギター音楽の新たな地平を開きました。
ウォルト・ディズニー: 11月13日、レオポルド・ストコフスキー指揮のクラシック音楽に合わせたアニメーション映画「ファンタジア」が米国で初演され、音楽と映像の融合という新たな試みで話題を呼びました。
ドミトリ・ショスタコーヴィチ: 11月23日、モスクワ音楽院で、作曲家自身のピアノ演奏により、ピアノ五重奏曲が初演されました。
アーノルド・シェーンベルク: 12月6日、ヴァイオリン協奏曲が初演され、現代音楽の新たな可能性を示唆しました。
ハル・ケンプ: 12月19日、バンドリーダーのハル・ケンプの車が正面衝突事故に遭い、数日後に亡くなりました。

日本の音楽動向

日本では、紀元二千六百年を記念した6社競作レコードが前年の1939年12月下旬に発売され、国民的な盛り上がりを見せました。

主な楽曲

洋楽:
アルノルト・シェーンベルク「室内交響曲第2番」
イーゴリ・ストラヴィンスキー「交響曲ハ調」「タンゴ」
イルデブランド・ピツェッティ「交響曲」
コダーイ・ゾルターン「管弦楽のための協奏曲」
コンスエロ・ベラスケス「ベサメ・ムーチョ」
ジャック・イベール「祝典序曲」
ネッド・ワシントン、リー・ハーライン「星に願いを」
姚莉「玫瑰玫瑰我愛你」
ポップスタンダード「フールズ・ラッシュ・イン」
グレン・ミラー「ブルーベリー・ヒル」

邦楽シングル:
青葉笙子「木曽の旅唄」「戦場撫子」
淡谷のり子「散りゆく花」
一色皓一郎「ビルの窓から」
伊藤久男「熱砂の誓ひ」「高原の旅愁」「お島千太郎旅唄 (w.二葉あき子)」「白蘭の歌 (w.二葉あき子)」
小笠原美都子「みのる秋」
川田義雄とミルクブラザース「地球の上に朝が来る」
霧島昇「蘇州夜曲」(渡辺はま子とのデュオ）「誰か故郷を想わざる」「目ン無い千鳥 (w.ミス・コロムビア)」「愛を呼ぶ唄」「新妻鏡 (w.二葉あき子)」「東京セネタースの歌 (w.松原操)」「燃ゆる大空 (w.藤山一郎)」
小夜福子「小雨の丘」
志村道夫・奥山彩子「蛇姫絵巻」
東海林太郎「戦場初舞台」
菅原都々子「風の又三郎」
スリー・シスターズ「夢去りぬ」
田端義夫「別れ船」「兄弟」「旅出の唄」
高峰三枝子「湖畔の宿」
灰田勝彦「森の小径」「燦めく星座」
ディック・ミネ「雪の満州里」
徳山璉「隣組」
新田八郎「南洋航路」
橋本國彦「交響曲第1番」
藤山一郎、渡辺はま子「まわる笑顔」
藤山一郎、二葉あき子「打てば響く」「春よいずこ」「なつかしの歌声」「北海道歌」
二葉あき子「めんこい子馬」
古川緑波「ロッパ南へ行く」
松島詩子「上海の踊り子」
山田一雄「印度」
渡辺はま子、霧島昇「蘇州夜曲」
童謡「めんこい仔馬」「りんごのひとりごと」
市歌「尼崎市歌」「松本市歌」
県民歌「山口県民歌」
戦時歌謡・軍歌：伊藤久男「暁に祈る」、内田栄一「月月火水木金金」、「靖國神社の歌」

物故者

1月16日 - マクシミリアン・シュヴェードラー、フルート奏者（ 1853年）
3月13日 - 永井建子、軍楽隊指導者・作曲家（ 1865年）
9月15日 - 北廉太郎、歌手（1920年）
10月5日 - シルベストレ・レブエルタス、作曲家・指揮者・ヴァイオリニスト（ 1899年）
12月5日 - ヤン・クベリーク、ヴァイオリニスト（* 1880年）

1940年は、音楽史において多様な才能が輝き、新たな音楽の潮流が生まれた重要な一年でした。

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