Havok (ソフトウェア)

Havok Physics（ハボックフィジックス）とは

Havok Physicsは、アイルランドのHavok社によって開発された、ゲーム開発向けの高度な物理エンジンミドルウェアです。単にHavok（ハボック）とも呼ばれます。このエンジンは、コンピュータゲームやビデオゲームにおいて、オブジェクト同士やキャラクターとの間でリアルタイムな相互作用を実現するために設計されました。

概要

Havok Physicsは、ダイナミックシミュレーションという技術を採用しており、これにより、ラグドール物理のような現実世界に近い動きやアニメーションをゲーム内で再現することができます。このエンジンはC言語およびC++で記述されており、さまざまなプラットフォームへの移植が容易に行えるよう設計されています。中核となるエンジン部分だけでなく、関連するツールやシステムもC/C++と互換性のあるコンパイラで動作します。

Havok社について

Havok社は、物理エンジンだけでなく、「Havok Animation Studio」や「Havok AI」といった、ゲーム開発をサポートする様々なミドルウェアを開発しています。同社は2007年9月14日にインテル社に買収され、その後2015年10月2日にマイクロソフト社へと所有が移りました。

対応プラットフォーム

Havok SDKの最初のバージョンは2000年のGame Developers Conferenceで発表されました。それ以降、継続的な改良が加えられ、Havokバージョン5.0は2007年9月にリリースされました。このエンジンのソースコードは、ライセンス契約を結んだ開発者に提供され、以下のような幅広いプラットフォームで採用されています。

Windows
Xbox, Xbox 360, Xbox One
ニンテンドーゲームキューブ, Wii, Wii U, Switch
PlayStation 2, PlayStation 3, PlayStation 4|PlayStation_4, PlayStation 5|PlayStation_5, PlayStation Portable, PlayStation Vita
macOS
Linux

採用実績

Havok Physicsは、2000年のSDK公開以来、150を超えるゲームに採用されています。特にファーストパーソン・シューティングゲーム（FPS）での採用が多く、以下のようなタイトルでその性能が発揮されています。

F.E.A.R.（Monolith Productions）
BioShock2（2K Marin）
バトルフィールド1943（エレクトロニック・アーツ）

FPS以外のジャンルでも、以下のような著名なタイトルで採用されています。

ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド（任天堂）
カンパニー・オブ・ヒーローズ（THQ/Relic Entertainment）
アサシン クリード シリーズ（ユービーアイソフト）
スタークラフト2（ブリザード・エンターテイメント）
The Elder Scrolls IV: Oblivion（2K Games/ベセスダ・ソフトワークス）
Demon's Souls（フロム・ソフトウェア）
デッドライジング2（カプコン）
ロスト プラネット エクストリーム コンディション（カプコン）
Dead Space 2（エレクトロニック・アーツ）
Source Engine（Valve Corporation）

その他の採用事例

Havok Physicsは、ゲーム開発だけでなく、以下のような様々な分野でも利用されています。

オートデスク 3ds Maxのreactorプラグイン
オートデスク Mayaのプラグイン
Adobe Director - Shockwave向けのxtraプラグイン
* Second Life：2008年にHavokバージョン4、2014年にバージョン2011.2を導入。仮想空間内での物理演算を可能にしている。

Havok Physicsは、その高度な物理シミュレーション能力と幅広いプラットフォームへの対応により、多くのゲーム開発者にとって不可欠なツールとなっています。

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