T-4 (練習機)

航空自衛隊 T-4 中等練習機：国産ジェット練習機の雄

T-4は、航空自衛隊で運用されている亜音速ジェット練習機です。プロペラ機による初等訓練を終えたパイロットが、ジェット機による訓練に移行するための中等練習機として開発されました。純国産のジェット練習機としては、T-1Bに続く2機種目となります。

開発の経緯

1980年代初頭、航空自衛隊ではT-33AやT-1A/Bといった旧式の練習機が老朽化し、後継機の必要性が高まっていました。特にT-33Aは、操縦特性が現行機と大きく異なり、練習機としては不適当であるという課題がありました。そこで、防衛庁（当時）は国産による次期中等練習機の開発を決定。川崎重工業を主契約企業として、三菱重工業、富士重工業（現SUBARU）の協力を得て、開発が進められました。

設計の特徴

T-4は、コストコントロールを重視した設計がなされており、開発費や量産価格、運用コストの低減が目標とされました。機体構造にはアルミニウム合金が主体ですが、垂直尾翼などには複合材料を使用することで軽量化を図っています。主翼には、遷音速域での良好な飛行特性を実現するため、スーパークリティカル翼型が採用されています。

コックピットはタンデム配置で、前席に訓練生、後席に教官が搭乗します。機上酸素発生装置（OBOGS）を搭載しており、従来の液体酸素補給が不要となり、整備性の向上に貢献しています。

エンジンは国産のF3ターボファンエンジンを2基搭載し、最大速度はマッハ0.9、実用上昇限度は14,815mを誇ります。訓練空域への往復時間を短縮するため、高い上昇率と航続性能が要求されました。

各種

XT-4: 試作機
T-4: 量産型。練習機や連絡機として使用
戦技研究仕様機: 第11飛行隊「ブルーインパルス」で使用する機体。アクロバット飛行に必要な改修が施されています。

運用

T-4は1988年から部隊配備が開始され、T-33AやT-1A/Bを順次更新しました。パイロットの育成だけでなく、連絡機や、災害時の情報収集など、多岐にわたる任務で活躍しています。特に、航空祭などで披露されるブルーインパルスの展示飛行は、多くの人々を魅了しています。

今後の展望

T-4は長年にわたり航空自衛隊のパイロット育成に貢献してきましたが、機体の老朽化が進んでいます。後継機の開発も検討されており、将来の日本の空を担う新たな練習機の登場が期待されています。

各地の配備

連絡機として使われており、飛行場のある基地には概ね配備されています。

千歳基地：第2航空団 - 第201飛行隊・第203飛行隊
三沢基地：第3航空団-第301飛行隊- 第302飛行隊・北部支援飛行班
松島基地：第4航空団 - 第11飛行隊（ブルーインパルス）・第21飛行隊
百里基地：第7航空団 - 第3飛行隊
入間基地：中部航空方面隊司令部支援飛行隊
小松基地：第6航空団 - 第303飛行隊・第306飛行隊、航空戦術教導団 - 飛行教導群
浜松基地：第1航空団 - 第31教育飛行隊・第32教育飛行隊、第1術科学校
岐阜基地：飛行開発実験団
芦屋基地：第13飛行教育団
春日基地：西部航空方面隊司令部支援飛行隊
築城基地：第8航空団 - 第6飛行隊・第8飛行隊
新田原基地：第5航空団 - 第305飛行隊、飛行教育航空隊 - 第23飛行隊
那覇基地：第9航空団 - 第204飛行隊・第304飛行隊・南西支援飛行班

登場作品

T-4は、その美しい機体と航空自衛隊の象徴としての役割から、様々な映画やドラマ、アニメ作品に登場しています。

映画・TVドラマ
『電車男』（2005年）
『相棒 -劇場版- 絶体絶命! 42.195km 東京ビッグシティマラソン』（2008年）
『空飛ぶ広報室』（2013年）
『映画 ハピネスチャージプリキュア! 人形の国のバレリーナ』(2014年)
漫画・アニメーション作品
『青空少女隊』
『レスキューエンジェル』
『アイドル防衛隊ハミングバード』
『超次元ゲイム ネプテューヌ』（2013年）
小説
『オーバースペック』
『ネオ・ゼロ』
『超空自衛隊』
『わたしのファルコン』
コンピューターゲーム
『エアロダンシング シリーズ』
『パイロットになろう! シリーズ』
『群青の空を越えて』
『ぼくは航空管制官シリーズ』
* 『モダンウォーシップ』

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