蟹ケ谷

蟹ケ谷（かにがや）の詳細

概要

蟹ケ谷は、神奈川県川崎市高津区の南東端に位置する、住居表示が未実施の大字です。面積は42.4ヘクタールで、高津区の南東端、下末吉台地の北東部に広がっています。北端には矢上川が流れ、丘陵地には谷戸が刻み込まれた地形が特徴です。一帯は宅地化が進んでおり、住宅地として発展しています。

地理

蟹ケ谷は、高津区の南東端に位置し、下末吉台地の北東部にあります。北端には矢上川が流れ、丘陵地には谷戸が形成されています。西端に近い蟹ヶ谷槍ケ崎公園付近が最も標高が高く、神奈川県道106号子母口綱島線が南北に縦断しています。この道路は、高津区の子母口と、下田町、高田町、綱島を結ぶ重要な幹線道路です。隣接地域としては、北端で矢上川を挟んで高津区子母口や明津、東端で中原区井田、南端で横浜市港北区下田町、西端で高津区久末と接しています。

小字

蟹ケ谷には、以下の小字が存在します。

鎗ヶ崎（やりがさき）
西の森
池の里
緑下
東神庭（ひがしかみにわ）
仲町
西田原
往古滝
四方嶺
清水

これらの小字は、蟹ケ谷の歴史や地形を反映した名称となっています。

地価

住宅地の地価は、2024年1月1日の公示地価によれば、蟹ケ谷字清水313番50の地点で22万4000円/m²となっています。この数値は、周辺地域の地価を測る上での指標となります。

歴史

中世以前

蟹ケ谷の東端に隣接する井田からは、神庭遺跡や井田伊勢台遺跡など、縄文時代から古墳時代にかけての遺跡が多数発見されています。また、蟹ケ谷でも市内唯一の前方後円墳である蟹ヶ谷古墳群が発見されており、古代からこの地が重要な場所であったことを示しています。中世には、東端と井田の境界付近を鎌倉道下道が南北に通り、源頼朝が鞍をかけたという伝説のある松が残っています。専念寺の敷地には、安元年間に伊東祐清の子息である祐高が蟄居したという伝承もあります。

江戸時代

江戸時代初期には、蟹ケ谷は旗本の小幡氏の領地でしたが、1697年（元禄10年）に天領となりました。石高は、正保期の『武蔵田園簿』で46石あまり、『元禄郷帳』で61石あまり、『天保郷帳』や幕末の『旧高旧領取調帳』では66石あまりでした。低地や谷戸には水田が広がり、台地上には畑が作られていました。

明治以降

明治維新以降、蟹ケ谷は神奈川県に属し、蟹ケ谷村、橘村を経て川崎市となりました。子母口と蟹ケ谷を結ぶ新道（現在の神奈川県道106号子母口綱島線の前身）が作られました。昭和に入ると、帝国海軍が通信隊を設置し、戦時中には地下壕も設けられました。戦後しばらくは農村でしたが、1960年以降宅地化が進行しました。旧海軍の鉄塔の一部は航空無線の施設に転用され、長く使用されました。1989年には集中豪雨による土砂崩れが発生し、住民と消防隊員を含む6名が犠牲となる惨事がありました。

地名の由来

蟹ケ谷の地名の由来には、いくつかの説があります。

神庭（かにわ）説: 1625年の知行状に「橘樹郡加丹羽村」とあること、また神庭遺跡から勾玉などが出土していることから、「祭祀を行う場所」という意味の「神庭」から転じたという説。
自然地名説: 急な崖を意味する「カニ」から、「急な崖の多い谷戸」という意味で付けられたという説。小字の「滝ヶ谷」の「タキ」も同様の意味を持ちます。
蟹説: 崖下から湧き水が出て、そこにサワガニが多く住んでいたことから、「サワガニのいる谷戸」という意味で付けられたという説。

沿革

1697年（元禄10年）：天領となる。
1868年（明治元年）：明治維新。神奈川県所属となる。
1874年（明治7年）：大区小区制により、第4大区第8小区に属する。
1889年（明治22年）：町村制施行により、橘村が成立し、その大字となる。
明治末期：八太権現社が橘樹神社へ合祀される。
1930年（昭和5年）：帝国海軍東京通信隊が設置される。
1937年（昭和12年）：橘村が川崎市に編入され、川崎市蟹ケ谷となる。
1938年（昭和13年）：耕地整理により、子母口や明津と一部で境界を変更。
1943年（昭和18年）：東京通信隊が地下壕を設ける。
1945年（昭和20年）：東京通信隊跡地に慶應義塾獣医畜産専門学校が移転（2年後に志木町へ転出）。
1958年（昭和32年）ごろ：八太神社が分祀、再建される。
1960年（昭和35年）：市営蟹ケ谷住宅が作られる。
1972年（昭和47年）：川崎市が政令指定都市へ移行し、川崎市高津区蟹ケ谷となる。
1996年（平成8年）：中原区井田の住居表示施行に伴い、井田の一部を蟹ケ谷へ編入。

世帯数と人口

2024年9月30日現在、川崎市発表のデータによると、蟹ケ谷の世帯数と人口は以下の通りです。

(データは省略)

人口の変遷

国勢調査による人口の推移は以下の通りです。

(データは省略)

世帯数の変遷

国勢調査による世帯数の推移は以下の通りです。

(データは省略)

学区

市立小・中学校に通う場合、学区は以下の通りです（2023年10月時点）。

(データは省略)

事業所

2021年経済センサス調査による事業所数と従業員数は以下の通りです。

(データは省略)

事業所数の変遷

経済センサスによる事業所数の推移は以下の通りです。

(データは省略)

従業員数の変遷

経済センサスによる従業員数の推移は以下の通りです。

(データは省略)

交通

路線バス

川崎市交通局、東急バスが運行しており、武蔵新城駅、武蔵小杉駅、元住吉駅、綱島駅、高田駅、溝の口駅などと蟹ケ谷を結ぶバス路線が利用可能です。主なバス停は蟹ヶ谷バス停（蟹ヶ谷槍ケ崎公園前）です。

また、東急バスがさくらが丘Issac日吉（蟹ヶ谷バス停から東へ500m）と日吉駅を結ぶ小型バスも運行しています。

道路

神奈川県道106号子母口綱島線が蟹ケ谷を通過しており、地域を縦断する主要な道路です。また、宮内新横浜線の計画もあり、将来的な交通網の整備が期待されています。

施設

専念寺（浄土真宗東本願寺派）
八太神社

その他

日本郵便

郵便番号は213-0025で、集配局は高津郵便局です。

警察

町内の警察の管轄区域は以下の通りです。

(データは省略)

脚注

(脚注は省略)

参考文献

『川崎の町名』日本地名研究所 編、川崎市、1995年。
『川崎地名辞典（上）』日本地名研究所 編、川崎市、2004年。
『角川日本地名大辞典 14 神奈川県』角川書店、1984年。

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