九州産馬

九州産競走馬：歴史、現状、そして未来

かつて南九州地方は競走馬生産が盛んな地域でした。しかし、戦後日本の競走馬生産の中心が北海道に移り、大規模化が進むにつれて、九州の競走馬生産は衰退の一途を辿りました。

それでもなお、九州での競走馬生産を奨励するため、中央競馬（JRA）の小倉競馬場や地方競馬の佐賀競馬場では、九州産馬限定競走が開催されています。2022年には、地方競馬で初の九州産馬限定の新馬戦が佐賀競馬場で行われるなど、その取り組みは着実に成果を上げています。

九州産馬生産の現状

2011年の九州における軽種馬生産頭数は73頭と記録されています。2021年の血統登録馬数は、熊本県25頭、宮崎県11頭、鹿児島県32頭でした。近年では、北海道の種牡馬を繋養し、繁殖牝馬を九州に戻して出産させるという方法が一般的になりつつあります。テイエム牧場はその代表例で、自牧場の種牡馬を積極的に活用しています。この手法により、九州産種牡馬の産駒が限定競走で占める割合は減少傾向にあるものの、ニルキング牧場（鹿児島）や本田牧場（熊本）といった牧場がJRAで活躍した馬を積極的に導入することで、九州産馬の血統レベルは向上し、重賞競走で活躍する馬が出現する確率も高まっています。

2023年4月15日には、イロゴトシが中山グランドジャンプで優勝し、九州産馬として史上初のGI級競走制覇という快挙を達成しました。これは、九州産馬の競走能力の高さを示す大きな出来事と言えます。

主要な九州産馬限定競走

ひまわり賞（JRA・小倉競馬場）
霧島賞（佐賀競馬場）
たんぽぽ賞（佐賀競馬場）

活躍馬

括弧内は主な勝ち鞍です（太字はGI級競走）。

キングスピード（京都杯）
フェロースピード（小倉大賞典）
ニルキング（デイリー杯3歳ステークス）
ケンセイグッド（日経新春杯）
アオイライコー（東京盃、大井記念）
ゴールドイーグル（大阪杯、マイラーズカップ）
マークオー（霧島賞）
マークキングオー（ひまわり賞）
ミクニノホマレ（菊水賞、播磨賞）
ダンツセントー（アネモネステークス）
シンセイマーク（たんぽぽ賞、霧島賞）
コウエイロマン（小倉3歳ステークス）
テイエムチュラサン（アイビスサマーダッシュ）
コウエイソフィア（トゥインクルレディー賞）
コウエイトライ（小倉サマージャンプ、阪神ジャンプステークス、東京オータムジャンプ、新潟ジャンプステークス）
テイエムトッパズレ（京都ジャンプステークス）
タガミホマレ（楠賞全日本アラブ優駿、六甲盃、兵庫大賞典、新春賞、園田金盃）
スマノダイドウ（アラブダービー）
ウットマン（全日本サラブレッドカップ、霧島賞、名古屋大賞典）
コウエイノホシ（大井記念）
コウエイハート（ひまわり賞、紅梅ステークス）
ヨカヨカ（北九州記念、フェニックス賞）
ルクシオン（福島2歳ステークス）
イロゴトシ（中山グランドジャンプ）
ネオシエル（佐賀皐月賞、カペラ賞）

九州で繋養されている種牡馬

スクワートルスクワート
ネロ
ケープブランコ
エーシントップ
ワンアンドオンリー
アールスター
ムーンヴィグラス

九州で繋養されていた種牡馬

アイフル
アグネスプラネット
アサカホマレ
アラムシャー
イシノサンデー
イシノナイト
カブトシロー
カンパニー
キャプテンスティーヴ
キョウワスプレンダ
ゴールドプルーフ
サイレントハンター
サニースワロー
シンウルフ
スクワートルスクワート
スターオブコジーン
ストラヴィンスキー
スピリットスワプス
タイキウルフ
ダンツシアトル
ニッポーキング
ネーハイジェット
ハクタイセイ
ハッピープログレス
ヒカルイマイ
ビゼンニシキ
ブラックスキー
ブラックホーク
マークオブディスティンクション
マルカダイシス
ロドリゴデトリアーノ
ダノンゴーゴー
ケイムホーム
* サドンストーム

まとめ

九州産馬は、歴史的には衰退傾向にあったものの、近年は血統レベルの向上や限定競走の開催などにより、着実に発展を遂げています。イロゴトシによるGI級競走制覇は、その象徴的な出来事と言えるでしょう。今後も、九州産馬の活躍に期待がかかります。

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